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学ぶと奪う

「よろしいか?」

とりあえずポン君に頼んでローブを軍服に変えて、仮面を軍帽に変形させて声を掛ける


「「「っ!?」」」

 獣人の人達の所に姿を現してみたらほぼ全員がこっちに武器や爪を向けてきた


「君は……迷い人かな」

 獣人の中のリーダーっぽくてケモ度の高い男っぽい人に聞かれた


「詳細は分からないが迷い人?という存在の可能性が高いだろう」

 ここに迷い込んだと言えば迷い込んだで間違ってないと思うから迷い人と答えておく


「でしたらすぐに戻られるのがよろしいかと。ここもその内安全では無くなってしまうかもしれないので……おい、送って差し上げろ」

 わぁ紳士的。でもここで帰っちゃったら意味無いからお話を聞かなくては


「待ってくれ。何かと戦闘をしていた様だが……どういう状態なんだ?」

 とりあえずお話を聞いてどういう状態なのか確認しよう。まぁ片方の言い分を聞いただけじゃ分からないだろうけどある程度の雰囲気は分かるだろう


「どういう状態というと?」

「迷い人の事、この場所の事、戦ってた相手との関係性。簡潔に教えてくれ」

 まずは情報入手が最優先だ


「そうですね。何も分からずに急に帰れと言われても納得はしないでしょう。説明します」

「ゆっくりで良い。教えてくれ。それと周りの奴に武器を降ろすように言ってくれるか?不快だ」

「おっと、すまないな。皆、武器を下げるのだ」

 ずっと周りの獣人達が警戒しっぱなしで会話していたので、このまま話を聞いていたら不意に誰かが先走って攻撃される可能性もあるから武器を下げてもらえたのはラッキーだ


「感謝する」

「それで、先程の事だがまずは迷い人から話そう。迷い人は我々の居るこの場所に地上からたまに人が来てしまう事が有るのだ。その迷い込んだ人をそのまま迷い人と呼んでいる。我々は地上の人に危害を加えるつもりは無い。だからちょっとした記憶処理をしてから魔法で地上に送り返す様にしている。問題が無ければお互いに接触も干渉もする事は無いからな」

 確かに人が消える神隠しと比べたら一部の記憶を無くす程度の地下街ツアー?なら大事になる可能性がかなり低くなる


「そしてこの場所はそうだな……伝わるか分からないが、君達が作り上げた街を再現している最中なのだ。そして、これは我々が戦っていた相手とも深い関わりがある」

「街の再現と、関わりがある?」

 地下街が地上と似ているとは思ったけど、それと敵とが関係があるのか


「あぁ、我々と奴らは元々同じ存在だった。だが、奴らは地上の知識を求め過ぎて、迷い人から知識を際限なく吸い取り、そちらの世界の人間を廃人にしてしまったんだ。最初は我々も新しい知識を取り込んで、街並みを知識から再現して素晴らしいと思っていたが、犠牲を出してしまう程の物とは思わなかった。そこで我々は迷い人を守る為に彼らと袂を分かったのだ」

 つまりは過激派と穏健派みたいな物か


「確かに我々も迷い人を送り返す時に少しだけ知識を覗かせてもらう。その過程で少しだけ記憶を失ってしまうが、日常生活に支障を出す程では無い」

 こっちに保護してもらえれば割と安全に帰る事が出来る。向こうに保護されると記憶とか知識をガッツリ持って行かれる可能性があるという事なんだろうか?


「我々も生きている様に地上の者達も生きている。その生活を破壊してしまいかねない行為は長期的に見ると不利にしかならない。だから止めたいのだが、奴らも戦闘の知識を得て、止める事が難しくなっている。何とか防衛はしているが、いつこの均衡が崩れてしまってもおかしくは無い」

「それで、現状こちらが不利で負ける可能性が高いと?勝つ見込みはあるのか?」

見込み無し、期限なしで戦うのはとてもでは無いが辛いぞ? 


「我々と奴らとで決めた取り決めとして、相手の代表を捕えたらこの争いを終わらせると契約したのだ」

 リーダーを捕獲された側が捕獲した側の意見に従うみたいな感覚だろうか?


「つまり相手のリーダーを捕獲したら、これからの迷い人の安全は確保される……そういう事か?」

「それはもちろん。急な知識の増加での変化は個人であれば対応出来ても、大多数が適応出来るかは別です。彼らのやり方が正しくなってしまえば、これからの迷い人は確実に廃人になってしまう可能性がとても高まります」

 知識を学ぶと知識を奪うの違いか……これは確かに面倒な話題になるかも


「その争いは迷い人?の俺が関与しても良いのか?リーダーを捕縛する等直接的な協力は」

 肝心なのはここだろう。これで関与出来なかったら、なんでここに来たんだという話になってしまう


「出来ない訳ではありませんが……まさか我々に協力して頂けるのですか?」

「こちらも迷惑を被っているからな」

 リーダーを捕まえたら争いを終わらせる事が出来る。だとしたらこれ程簡単な戦いは無いと思う


「そうだ。先程戦闘を見ていたが、煙状になってたあれは何だ?」

 あの戦闘していた時に煙状になっていたあれは何だったのだろう?もし、あれと戦えとなったら確実に物理攻撃は効かないぞ?


「あれは戦闘形態と言うべきか、お互いに傷付けない為に煙の装甲を着ていると言うべき状態です。本来なら致命傷クラスの一撃を貰っても3日も経てばまた戦える程度にダメージを抑えます。我々はお互いを滅ぼしたい訳では無いので、あのような状態で戦うのです」

 まぁリーダーを捕獲すれば終わると考えれば、相手を丸々仲間に出来る……2つに分かれた存在が1つに戻すんだから殺す必要が無いのか


「その状態でも俺の攻撃で相手を撤退させる事は出来るのか?」

「一応は可能かと……」

「ではその争いを終わらせる手伝いをしても良いんだな」

 リーダーを捕まえる。血を流さずに争いを終わらせる事が出来るのならやってやろうじゃないか



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― 新着の感想 ―
[一言] 教官殿~!!
[良い点] 【悲報】過激派さんたち、鬼ごっこのための礎となる。
[気になる点] 新たな変(身状)態が、手に入るのか!
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