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733/2002

事故が起こる前に

「そうですね。多分もう少し待っていれば実際に迷い込んだ方が店に来るかと……」

「え?」

 実際に迷い込んだ人の話を聞けるの?


「その方もこの店の常連でして、大体このくらいの時間に来るかと」

「店長!ブラック1杯!」

話をしていたら男が1人店に入って来てブラックを注文した


「はい、少々お待ちください」

 店主さんがこっちを向いてウィンクしてきたのであの人が例の迷い込んだ人なんだろう


「あの、すみません。ちょっと良いですか?」

「おっ?なんだ?」

「実は、フィフティシアの都市伝説みたいな物であるはずの無い地下街という物を探してまして……」

「俺、それ行った事あるぜ!」

 よし、足がかりにはなりそうだな?


「どの辺でその地下街に迷い込んだか覚えてます?」

「あぁそうだなぁ……どの辺だったかなぁ」

 これは、あれか?なんか奢ってくれないと思い出せないみたいな……どうしよう?アレ使っちゃうか?


「いやぁ、ここまでは来てるんだけど、あとちょっとが思い出せないんだよ。あっ、別に奢ってくれとかそういう訳じゃないぞ?本当に迷い込んだ場所が思い出せなくて、地下街みたいな所に行って見て回ろうと思ったら、気が付いたら大通りに出てたんだ」

「あぁ、そうだったんですね」

 僕に集ってきたのかと思ったら本当に思い出せなかったのか。という事は地下街に行くと記憶を消されたりするのかな?


「じゃあどういうルートで何処に行こうとした時に地下街に迷い込んだのか教えてもらう事って出来ますかね?ざっとで良いので。他の人がその地下街に迷い込んで帰れない……そんな事故が起こる前に何とかしたいんです」

 相手が協力的じゃなかったら、その地下街で人が居なくなったら情報をくれなかった貴方のせいで死んじゃうかも……みたいな脅しを掛けるつもりだったけど、会話している最中に事故とか言った辺りで相手の顔色が青くなっていたのでこれ以上追い込む必要はないと思う


「そ、そうだな!ちょっと待ってくれ!今頑張って思い出すから!」

 真剣に思い出そうとしてるし、この状態で嘘は言わないかな




「そうだ!あん時は腹減ったから飯買いに行こうと思って、一番近い店に行こうとした時に近道を使ったらいつの間にか大通りに出てたんだ!」

「なるほど、じゃあ近道をしようとした時に迷い込んだんですね。という事は裏路地でも通ろうとしたんです?」

「そうそう、おっ!サンキュー店長!えっと、大体この辺りだったと思う」

 コーヒーと一緒に地図を持ってきた店主さん。地下街に行ったという当事者の人も思い出せる大体の位置を示してくれたので、後で行って見よう


「ありがとうございます。一応身近な人だけでも良いのでその辺に近寄らない様に言ったりしてもらえます?もし早期に決着が着かなかったらそれこそ神隠しみたいな事件になる可能性があるので」

「分かった。それくらいは任せてくれ」

 思いがけない大事になるかもしれない。でもこれで確実に何か掴めそうだ


「皆さん、せっかくお茶に誘ってもらいましたが、これはちょっと急を要する事かもしれないのでちょっと調べに行ってきます。店主さんも美味しい一杯ありがとうございました」

「止めても無駄なのでしょうね。お気をつけて」

「絶対帰って来るのよ!」

「一応しっかり準備してから行けよ?」

「私達が待ってるからね」

「もう行っちゃうのー?」

 皆に別れを告げて調べに行く。さっき地図に示した場所はそこそこ近いから、すぐに調査に行ける。さっき自分でも言ったけど、他の人が巻き込まれる前に何とか終わらせるべきだろう


「お気をつけて」

 店を出る前に店主さんに言われたけど、確かに気を付ける事だろう。気を引き締めて行こう


『特殊クエスト 乖離の地下街 が開始しました』

 おっと、始めるかどうかじゃなく開始されたか


「これは、とりあえずポン君に協力してもらうか」

 ここは知覚を強化出来るポン君に手伝ってもらおう。白武と黒武を呼び出しても良いけど、街中だと目立っちゃうし、服と一体化出来るポン君はこういう時に凄く助かる


「という訳で、ポン君。手を貸してくれるかな?」

「良いよ」

 二つ返事でパンドーラからポン君が出てきた。そしてそのまま白ローブに取り付いてローブが黒くなる


「まずはここに向かってみよう。この範囲内にもしかしたら地下街に行ける場所があるかもしれない」

 とりあえず、地下街に迷い込む所がその一か所だけであれば被害は少なくて済むかもしれないけど、色んな所から地下街に行けたらちょっと危険度が上がる。僕は聞いてないけど、地下街から帰って来ていない人が居るかもしれない




「この辺か。ポン君、頼んだよ」

「いただきます」

 首筋にちくりとした痛みを感じたら【察気術】で感じ取れる範囲が拡大した。これで何か気になる事が有れば家や壁の裏でも発見出来るだろう


「迷い込むって事は知らずの内に淀みみたいな物に入って行っちゃうのかなぁ……急に連れ去るとかだったら流石に地下街に入る前に襲われたとか思うだろうし、自分から地下街に行く何かに知らずに突っ込んでいる可能性が一番高いと思うんだよなぁ……」

 地下街に入った場所が曖昧で、出る時に記憶が無いと言う事は自分から地下街に迷い込んで、地下街で何かあった結果出る時の記憶が無くなり気が付いたら大通りという事なのでは?



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― 新着の感想 ―
[一言] 海外の都市伝説みてーにいきなりストンと下に落ちるんかね…
[一言] さては超凄腕の客引きがいたんだな!
[一言] 記憶があやふやになると言うことは送り返される時の人物は 目が異様に大きく頭も大きい 体は若干小さく 肌の色はシルバー 手が長く 指先が仄かに光ってるこんな感じかな?
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