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噂話

「おぉ、美味しい」

 とりあえずミルクコーヒーを飲んでみた。完全にコーヒー牛乳だな


「いやいや、ハチさんそんなに呑気にしてて大丈夫なのかよ?そこまで強烈な呪いを受けて……」

「およ?意外な反応ですね?」

 引かれてサヨウナラかなと思ったけど、意外とそこまで引かれてない?


「最初はそれこそお金がすり抜けるのには驚いたけど、理由を聞けば納得って感じ?」

「何か訳アリの人だなぁとは思ってたけど、まさか呪いだったとはねぇ」

「呪いってやっぱり辛い?右腕がーとかなっちゃうの?」

 多分その呪いは中学2年辺りで受ける呪いじゃないかなぁ……


「それは無いね。別に腕とか目とかが痛むとかは一度も起きたことが無いよ。それで、引いたりしないんですか?呪われてるって言ったらびびって逃げていく人達を知っているので、その反応とのギャップでなんか拍子抜けで……」

「ハチさん。人は皆、様々な生き方をしています。善人として生きる人もいれば悪人として生きる人もいる。戦って生計を立てている人もいれば、我々の様に大道芸で生計を立てる人もいます。事故や戦いで体の一部や心に大きな傷を負ってしまった人もいれば、戦いとは無縁の生活をする人もいらっしゃいます。呪われても平気に過ごしている人が1人くらい居ても良いのでは?」

 なるほど、ダン団長のお陰で呪われててもそこまで怖がらないって事だったのか


「そう言ってもらえると助かります。中々こういう事は言う事はそんなに無いので……」

 この他人とも言えないかつての仕事仲間くらいの距離感の人達だからこそ言えたのかも?


「そういう事をカミングアウトするのは難しいよね」

「でも金を使わずにどうやってここまで来たのか聞きたいな」

「それは確かに気になるわね」

「気になるー!」

 さっきまで思い悩んでいたのがバカらしくなるくらい全員呪いの事を気にしていなかったので、これまでは自分で食材を集めて料理を現地調達で作ったり、必要な道具とかも作ったり、仲良くなった相手に貰ったり……何とかしてきた事を話した。まぁ今は島とか城とかあるけど、それは黙っていても良いだろう




「何か……凄いわ」

「お金って、無くても生きていけるんだな……」

「色んな経験をしたからあんな風に盛り上げたり出来るのかしら」

「すっごーい!よーし!今日からお金を使わないように頑張ってみよー!」

「ははは、それを言ったら今飲んでいる物も飲めなくなってしまうよ?」

「えー、これ美味しいから飲めなくなるのはやだー!」

 ユーちゃんはお金を使わない生活をするのは無理だろうなぁ……


「ふふっ、そう言ってもらえるのはありがたいですね」

 雰囲気を察したのか店長が軽く話しかけてきた


「そうだね。我々には出来ない事を無理にする事は無いよ。ハチ君はハチ君。ユーにはユーの生き方があるさ」

 ダン団長が凄いカッコよく見える。メタボ気味だけど


「そうそう。気になっていたんですが、ハチさんはどうしてあそこに?」

 僕の視線に気が付いたのか、ダン団長が話を振ってきた。別に何も言ってないデスヨ?


「何か困ってる人とか不思議な事とか起こっていないかなぁと探してた時にたまたま歩いていて、皆さんが大道芸をしている所に偶然出会いましたね。皆さんも何かそういうお話とか事象に出会ったりしてませんか?」

 せっかくだし、何か情報が無いか聞いてみる。ここで何か情報があればそれを探ってみるし、情報が無かったら今回は残念でしたって事で諦めてミルクコーヒーを味わって終わりだ


「不思議な事……ねぇ?」

「何かあったか?」

「特には……無いかも」

「あっ!そういえばあったよ!」

 おっと、ユーちゃんが何か知ってるのか?


「前に食べようと思って残しておいたクッキーが無くなっちゃったんだ!」

「……あー、そのクッキーカビてたから捨てたぞ?」

「がーん……」

 何か知っているかと思ったら勝手にカビてたクッキーを捨てられてただけだった。まぁ気が付かずに食べちゃったりしたら危ないし、それはドンマイとしか言えない


「一応安全に関わるし、それは捨ててもらって良かったんじゃ無いかな?どんなに大事にしようとしても食べ物だったらいつかは食べられなくなっちゃうから今度はそうしない様に気を付けたら良いと思うよ」

「確かに!今度は気を付ける!」

 失敗しても今度はその失敗をしない様に気を付ければ良い。これもまた学びだと言う事で……でもこれで特に収穫は無しと言う事になってしまったな


「度々失礼、どうやら何か不思議な事例をお探しかとお見受けしましたが……」

 ここでまさかの喫茶店の店主が会話にインしてきた。確かに今このお店には僕達しか居ないけど、それでもこの感じ、多分会話したくてウズウズしてたんだろうな。ダン団長と会話したそうな雰囲気あったし、その会話をさせなかった原因が問題を解決して誰でも良いから何か知ってる?みたいな話を振ったら気になるって感じなんだろう


「はい。探してるんですけど、何か知ってます?」

「それでしたら1つ気になる噂がありますよ。この街にはあるはずの無い地下街があってそこに地上の人が度々迷い込んでしまう……なんて噂があります」

 喫茶店の店主が話し出した内容は確かに気になる噂だ


「何故、地下街だと?」

「迷い込んだ人の話では、地上と似たような建物が並んでいて、上を見上げても空が見えなかったからそこは地下街なんじゃないかというお話です。私も店に来たお客さんの話を聞いただけなので何処まで本当の事なのか分かりません。ですが、私もこの街に長年住んでいますが、地下街など見た事が有りません。なので気になる噂としてお話させていただきました」

 長年住んでいる人も知らない謎の地下街……これは確かに気になるな


「それ、どの辺で迷い込んだとかのお話聞けませんか?」

 これは話を聞いて調査してみよう



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― 新着の感想 ―
[良い点] ハチ君は優しいぶん、先に傷つくことあるよな。 村で旅立ちを宣言したときとかもそうだけど。 強いのに弱い、優しいけど怖い。人間味が溢れてるなぁ。
[一言] 横浜駅かな?新宿駅かな?それとも魔境梅田駅?
[一言] これはまたハチ君の怖sゲフン株が上がりそうな展開!
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