昔の人として
「おぉ……」
花が開く様に屋根が開いて、展望台に早変わり。これは良いな?下に居る人達からは見られないし丁度良い
「うんうん、このくらい楽勝だよ!なんて言ったって師匠だからね!」
これ、続けていたら城の大改造とか全部モルガ師匠任せでも出来るんじゃないかな?
「ハチさんはこの仕掛けを何に使うんですか?」
「確かに、ここは何に使う気なの?」
「え?星を見る為の展望台って言ったよね?別に他に使う予定は無いけど……」
「「「「またまた~」」」」
何に使うと言われても本当に星を見るだけなんだけど……4人に何か実は別の意味があるんでしょう?みたいに勘繰られても困る。何か適当な事でも言っておくか
「うーん、いつか誰かと戦う時の為に決戦場が欲しかった……みたいな?」
とりあえず適当な事を言ってみた
「「「「あぁ……」」」」
ちょっと待って?何で皆納得してるの?というかその反応はおかしくない?さっきみたいにここは「またまた~」な反応なのでは?
「ハチ君ならそういうのも必要だな」
「これだけ様々な種類の魔物や人を纏めている人には決戦場も必要よね」
「街の人達も言ってましたが、ハチさん魔王みたいって言われてましたし、そういう場所は必要ですよね」
「まぁまぁ、そんな事もあろうかと、ここが開いている間は足場はしっかりしてるから安心してよ」
なんか……まぁ良いか。どっちにしてもこれで素晴らしい展望台が出来たからこれで今後星座魔法を強化する時に他の人に見えない所を探す必要が無くなったから感謝しよう。作ってもらったから文句を言える立場では無い
「丈夫な足場なら色々出来るからこれはありがたいですね。とりあえずこれで何かあった時にいつでも最終決戦ごっこが出来ますね」
ごっこ遊びとして、ここでラスボスごっこをする日が来るのかは分からないけどね?
「随分規模が大きい遊びだね……」
「遊びでそんな事をやるって……発想が違うわ」
「なんか面白そう……」
「えっとえっと、ハチ君は実際に魔王の真似したお陰でこの島を手に入れたらしいからね。たまにそういう事がしたくなるんだよきっと」
「「「なるほど~」」」
否定したい所もあるけどスルーで良いか
「これ、どうやったら屋根が戻るんです?」
「えっとえっと、その杖を下からなぞるように触れば良いよ。展開する時も上からなぞるように触れば屋根が開くから」
実際に杖の先端に付いていた玉の部分を下からなぞってみたら屋根が元通りに閉じた。なんか傘みたいだな?分かりやすくて良い
「モルガ師匠、やる気を出したら凄い事出来るんですね。最近食べてばかりだったから師匠と呼ぶのもちょっと考えてた所でしたが、やれば出来るって所を見せてもらってまた尊敬出来るようになりましたよ」
「ねぇねぇ?それ、最近まで尊敬してなかったって事だよねぇ?」
「さて、戻りますか」
「ねぇねぇ!?」
モルガ師匠の訴えをスルーし、下に戻る。ワープで連れて来てもらったが、帰る時もワープでなければならない訳では無い。屋根を閉じると階段に張られていた結界みたいな物が無くなり、階段を降りる事が出来る。そのまま下まで降りればそれで問題無くエントランスにでも戻れる。屋根を開くと物理的にこの部屋に城の内側からは入って来れない(もしくは入れるけど戻れない)状態なので、あの杖がこの部屋の鍵みたいな物という理解で良いな
「さてと……」
リリウムさん達の相手もしていても良いが、流石にもう少しくらいレベルを上げるか、イベントに向けての準備を進めたい。現実の方でも色々とやらねばならない事もあるし、今日は一旦落ちるか
「僕はもう寝ます。一応念の為に言っておきますが、旅人は一度寝ると2日3日起きないので、その間にここに来ても他の皆に話を聞くくらいしか出来ないかと。2人共勉強頑張ってね?」
「「はい!」」
「ありゃありゃ、寝ちゃうんだねハチ君?分かったよ。あとはこの尊敬出来る師匠に……」
「城に僕が居ない時にはゲヘちゃんとか、ジェリスさんが対応してくれると思うので、何かあった時は呼んでみてください。あとモルガ師匠?フォーシアスって大丈夫ですか?一応防衛はしましたが、また魔物の進行が無いか一応見に行った方が良いんじゃ?」
サーディライで防衛クエスト発生だったらエリシアちゃんとフォビオ君はここに勉強じゃなくて避難って形だったかもしれないけど、モルガ師匠の場合はあの時あそこに居なかった事は何か問題に問われたりしないんだろうか?
「ハチ君ハチ君、今の私は隠居の身。昔の人間があまり出しゃばっても良くないんだよ。いつまでもあの人が居るからと周りの人達が努力をしなかったらどうなると思う?私が本当に居なくなった時にはその街は間違いなく滅びるよ?今の所消滅する予定は無いけど、今の人達が努力して自分達の力で自分達の国を守れるだけの力を持って守る。それが理想的だと思わないかい?」
冷たいと言えば冷たいかもしれないけど、確かにあの人がやってくれるから自分達は見てるだけで良いというのはあまり健全な考えとは思わない。自分の国を、街を、自分達の手で守るのが一番健全なのかもしれない。モルガ師匠もある意味周りの人間が鍛錬を怠らない様にフォーシアスが攻め込まれた事は知っていたが、あえて手を出さないのかもしれない
「師匠……色々と考えていたんですね。改めて見直しました」
ここまで深い考えをもって行動していたとは……どうした?急に威厳が出てきたな?
「まぁまぁ、最初は守ろうかと思ったんだけど、見守ってたら貿易で稼いだり、旅人達を雇ったり、しっかり戦う人材も育てて敵が来てもしっかり撃退とかしてたからやる事ないなと思ってただけなんだけどね」
僕の今感じていた尊敬の念を返してくれ