魅了検証
「とりあえず魅了の危険性は分かったんで、出力調整をどうやってやるのか知りたいんですけど……」
「吸血鬼のやり方が人でも通用するかは分からないが、ハチ君はさっきどういうやり方で魅了を掛けたんだい?」
どういうやり方?うーん……
「3人に魅了を掛けたいと思って、自分から線を伸ばして3人に繋げた感じ?」
3人を意識して魅了との事だったから僕と3人をコードで接続みたいな感覚だったかもしれない
「あぁ、自分と相手を直接繋げる感覚だと全力の魅了だね。感覚的な話で申し訳ないけど自分から円形にその感覚を飛ばすと考えてくれると良いかな」
ラインを繋ぐんじゃなくて、自分を中心にしてエリアを作り、そこに入った相手を魅了する感じにすると適度な魅了になるのかな?
「じゃあそれを意識してもう一回やってみたいんですけど、良いですか?それとも、もう耐性が出来て試せないとかあります?」
魅了って同じ相手に何度も効くのかな?掛けるたびに同じ相手には効かなくなるとかあっても不思議じゃ無い
「そうだな、人の魅了がどうなるのか分からないから試してみて欲しい。2人とも良いよね?」
「もちろん今度は弱い魅了でお願いよ?」
「一応男女間での効果の差とかも分かりますかね」
そうか、エリシアちゃんとフォビオ君で男女で効果の差が比較出来るか。【ヴァルゴ】を使うと性別が変わるから同性、異性への効果の差が確認出来るのはありがたい
「分かりました。とりあえずやってみます【ヴァルゴ】」
とりあえず検証する為にも並んで座っている横の2人に魅了を掛ける為に自分から横方向に波紋を出す様に意識してみた。これで魅了の指向性と男女での影響を調べられるかな?
「「あっ」」
「おや、私には掛けなかったんだね?」
「男女差を確認するにはエリシアちゃんとフォビオ君だけで良いかなって思ったのと、後は選んだ人以外に魅了を掛けない様に出来るかの確認ですね」
同時に2つの事をチェック出来るのだからやらない手はない
「2人とも良かったらこの拘束を解いてくれないかな?抵抗出来るなら抵抗して良いから」
確実にさっきより魅了の威力は減ってるし、抵抗は出来るだろう
「抵抗は……出来る」
「抵抗出来るけど、可哀想なので……」
「出来てない!抵抗出来てないよ!フォビオ!」
「だって可哀想じゃないですか」
フォビオ君が僕の拘束を解いた。とりあえず検証結果としては女性よりも男性には効き目があるって事だな
「なるほど、一応異性に対して効果が強い……いや、ハチ君の場合は同性かな?あまり魅了に違いは無さそうだね」
「色々分かって助かりました。特にフォビオ君ありがとうね」
「いえいえ」
フォビオ君に頼んで歩いてもらったら、15m以上離れた所で魅了状態から強制解除された。魅了の波紋が広がったのは多分10mくらいだと思うから、一度魅了を掛けてしまえば意外と融通が利くかもしれない。あとは同時に何人にまで掛けられるのかが分からないけど……それは別に今調べなくても良いか
「今度オムライスでも作ってあげようか?」
「うわぁ!食べてみたい!」
「ケチャップ多めでお願いします!」
「美味しそうだね」
「待て待てぇい!それは聞き捨てならないぞぉ!」
「うわ出た」
食べ物の話題が出たところで現れたモルガ師匠。ほんとこの人は……確か英雄だったよな?英雄らしさが欠片も感じられないんですけど
「モルガ師匠ご飯の話題になると出てきますね……」
「まぁまぁ、ハチ君のご飯を食べちゃうと、自分で作った料理がマズく感じてね……」
これは餌付けをしてしまった僕の落ち度なんだろうか?
「ホントにホントにハチ君の作る料理は美味しいから食べるチャンスが1度でもあるなら1食でも多く食べたいんだよ」
「まったくもう……」
自分でもチョロいとは思っているけど、作った料理が美味しいと言われたら嬉しくなってしまう。利用されてるだけかもしれないけどそれで喜んでくれる人が居るならそれに乗っかっても良いかなと
「そうそう!ハチ君にはずっと迷惑をかけっぱなしだったから、お詫びとして何かしようじゃないか!たまには師匠らしい事もしないとね!」
「……」
たまには師匠らしい事をしないとと言われても、別に今の所やって欲しい事とか無い。何かしてくれると躍起になっている所悪いが、どうしよう……
「ほらほら~、遠慮せずに何でも言ってくれたまえ」
「うーん……じゃあ、この城に星を見る為の展望台とか作れます?」
「むむ?展望台?」
「最近、空の星を眺めながら草原に寝転ぶのが気持ち良かったんで、もっと空に近い所で星が見られたらなぁって」
星座魔法の強化の為の展望台を作るって意外と大変そうだし、それをモルガ師匠に任せてみるのも良いんじゃ無いかな?
「直接空を見られる展望台を城の屋根の上に作ろうと思ってるんですけど、時間が取れないから誰かに頼もうかなぁって思ってたんです。モルガ師匠はそういう物を作るとかって出来ます?」
「うんうん、面白そうだし良いよ!一番高い塔の屋上部分を使っても良い?」
「構いませんよ。それじゃあモルガ師匠にお任せします!」
「うんうん!任された!」
咄嗟に思いついた事だったけど、今まで飲み食いしてた分を返そうとしてくれているのならこういう事で返してもらおう。既にモルガ師匠も走って行ってしまったし、オムライスを作って皆と待っているか
「あ、どういうデザインにするか聞いてなかった……」