有名人?
「これも新しい星座魔法だよな?そろそろ星座魔法の強化も出来るかな?」
そういえばまだ【リブラ】しか強化してなかったし、夜になったら他の星座魔法を強化してみるかな?
「「あ、あのっ!」」
「ん?あぁ、皆さんお疲れさまでした」
声を掛けられたので挨拶を返しておく。無視したら失礼だしね
「あの!ハチさん……で合ってますよね!」
「えぇ、まぁ……そうですけど」
「本物だぁ!」
「やっぱ本物だった!」
「「サインください!」」
「えぇ……?」
サインくださいって……宅配便の受け取りサインくらいしか書いた事無いぞ?そもそもサインを書いたとしてそれをどうするつもりなの?
「サインはちょっと……」
「「で、ですよねー」」
とりあえず断ってみたけど、冗談だったっぽいな。まぁ冗談でなければ困るんだけどさ?
「すいません、用事が有るんでこれで」
「し、失礼しました!」
「お手を煩わせてすみません!」
何か怖がられてるのかなぁ……もう少し良い言い方があるか
「もしも、何処か別の戦場でまた会えたら、その時はまた一緒に戦いましょう」
サイン欲しいとか言ってたし、こっちに対して悪感情はそこまで無いと思うけど、いきなり頭を撫でるとかは失礼かもしれないし、2人と軽く握手をして言ってみた
「「っ!……はいっ!」」
とりあえずこのくらいのフォローで良いかな?これ以上求められても渡せる物は何も無い
「サラッとあんな事出来るんか……やっぱ中身は有名人だったりするんじゃね?」
「俺もあんなのされたらファンになるわ……もうファンだけど」
「生で初めて見たけどすっげー!あれが例の……」
うん、さっさと帰ろう。別に悪い事はしてないはずだけど、この注目のされ方はちょっと恥ずかしい。他の人に話しかけられる前に撤退するのが一番だろう
「それじゃ!」
空腹度に余裕があるからベルトパワーを使って港から走り去る事にした
「ふぅ……あの人達もイベントが始まったら……む?」
「ハチ君~?港の方で戦ってたらしいねぇ?」
路地を走っていたらもうそろそろ泉という所で声が聞こえたので、振り返ってみるとそこには親の顔より見たスク水……勿論そんな事は無いけどハスバさんが居た。危なかった。【察気術】が無かったら情報漏らしちゃうところだった
「ええ、ちょっとしたレベル上げの為に行ってました。ハスバさんもですか?」
「ああ、東方面にね。他にも何人か居たけど、どうやら皆戦いやすい陸上を選んでいたみたいで誰もハチ君とは被っていなかったみたいだね?」
港に来ていた近接系は本当に両手があれば数えられるくらいしか居なかったし、敵の大半が海の上に出てくるって段階で近接お断りとまでは言わないけど倒せる数は少なかったはずだ。あとは召喚獣の兼ね合いとか、魔法の適正とか……思い返せば、いつも通りの戦闘が出来る陸上が3方向用意されてたって言うのも人数調整の為だったんだろうなぁ……
「そっちはどんな感じでした?」
「こっちはゴブリン系が多く来ていたな。挑発して集まってきたのに味方が誰も攻撃してくれなかった時はちょっと焦ったよ」
ハスバさんの挑発って確かお尻叩いてやってた奴だよな?ゴブリン相手にお尻を叩いて他の人に見捨てられて袋叩きにあうハスバさんの姿が容易に想像がつく
「どうせそのくらいじゃハスバさんは死なないだろうしなぁ……」
「ハチ君も皆と同じような反応だねぇ?」
「それこそちゃんと対策を用意してからハスバさんを仕留めないと」
「皆と同じで終わらずに更にその先に行く所が素晴らしいねぇ!」
この人は本当に変わらないなぁ……まぁそれも持ち味か
「そういえばさっきサインくださいとか言われたんですけど、ハスバさん何か言いました?」
サインくださいって言われたのが誰かの入れ知恵なのか聞いてみる
「それは別に誰の入れ知恵でも無く、自然発生だと思うよ。ハチ君は人気者だからね」
割と真面目に言うハスバさんの反応から見るに嘘を言っている様には思えない。マジで自然発生だったの?
「そうなんですかね?」
「知っている度合いに寄るだろうけどね?ハチ君の話だけを聞いたら怖くて近寄れないだろうし、あのPVを見たらカッコ良かったり、可愛い一面もあったりするから会ってみたいって人は居るだろう。戦った事が有る人はある種トラウマの様な物が有ってもおかしくないし、共闘した事が有る人はまた一緒に戦いたいとも思う。だからそのサインが欲しいって言った人はPVを見た人あたりなんじゃないかな」
確かに普通はPVに出ている様な人と実際に会えたらちょっと気分が上がったりするかもしれない。そう考えたらサインくださいって言ってきたのにも納得出来る
「ハチ君はそもそも存在がレアだから、出会った証明みたいな物としてサインを欲しがったのかもしれないよ」
「テーマパークで隠れたネズミのマークを発見したら写真に撮っておく的な?」
「そうそう」
何とも言えない気分になった。君、隠れネズミと同列の存在だぞ。と言われてもちょっと素直には喜べないなぁ……
「あ、そうだハスバさん。普通のとはちょっと違うおにぎりありますけど食べます?」
「ん?普通のとはちょっと違う?どういう物かな」
「食べるとダメージを受けます」
そう言って宝呪おにぎりをインベントリから出す
「いただきます!」
ノータイムで受け取って食べるハスバさん。嫌いじゃないよ




