冷蔵庫権限
「色々とありがとうございます。集められそうな物は個人で集めてみようと思います」
お茶を飲みながら色々と毒のある物の話を聞いた。皮に毒性があったり、葉っぱに毒性があったり、色々と種類が有るみたいだ
「そうだ。ハチさん?私達の社の裏を少し使っても良いでしょうか?」
社の裏?一応草原のハズだけど、何に使うんだろう?
「スロウリの様に毒があるけど食べられる物などを作りたいなと」
「家庭菜園みたいな事をしたいからそれの許可が欲しいって事?多分そのくらいなら問題無いかな。流石にあまりにも大規模にやられちゃうと困るけど、常識的な大きさの家庭菜園なら他の皆も許してくれると思うよ。周りにおすそ分けとかしておけば許してくれるだろうし」
家庭菜園クラスの畑だったら周りの皆も許してくれると思う
「それなら作物が出来た時にはここに持って来ますね」
ありがたい話だけど、暗に毒物持ち込みますねって言われてるよね?
「気持ちはありがたいけど無理はしなくて良いからね?」
あくまで善意でやってもらえる範囲を越えたらそれは強要だ。無理なく自分の出来る範囲でやってもらえると良い
「それに、飯綱さんはウカタマの世話をしながらこっちで家庭菜園はちょっと負担が多い気もするので……」
「その辺は何とかなるでしょう。ご近所にはイア様も居らっしゃいますから」
そっか。イアちゃんが近くに居るから一応長期で来れないなんて状況になっても何とかなるかな?
「とりあえず他の皆が戻って来る前になんか料理でも作っておきますか。一応ですけど、ここに学びに来てくれる2人を歓迎するって事で。僕もいつ急用が入っちゃうか分かりませんし」
「分かりました。お手伝いさせていただきます」
飯綱さんと2人でいざ、クッキングだ
「うおっ!なんかいっぱい並んでる!」
「やったやった!これ食べて良いんでしょ?」
「これは……私達の為に用意してくれたのかな」
「「美味しそう……」」
飯綱さんに手伝ってもらって作ったオードブルの様な物は、皆の注目を集めている
「学びに来た2人にはここの料理とかもせっかくなら学んでもらおうかなと。飲み物もありますよ」
流石に血をグラスに注いでみたいな事は出来ないから普通の料理を並べてあるだけだ。リリウムさんのダンスパーティーの時も普通の料理は沢山出ていた。だから全く食べられないって事は無いだろう
「「いただきまーす!」」
「そこの2人まてぇい!」
モルガ師匠とウカタマ(人モード)が真っ先に料理に手を着けようとしていたので止める
「一応、今日はこっちの2人が主役みたいなものだから1口目は2人に譲ってください。大人でしょう?」
こういう時の大人牽制。ここで自分子供だからーなんて言ったらエリシアちゃんとフォビオ君の2人を前に出してこの2人よりも?と聞いてやるからなぁ?
「「……」」
「はい、じゃあ食べられそうな物があったら食べてみて、そしたらこの2人の待てを解除出来るから」
餌を前にして合図があるまで食べちゃいけない犬みたいなちょっと切ない顔のモルガ師匠とウカタマの2人が「さぁ早く一口食ってくれ」と言わんばかりにエリシアちゃんとフォビオ君を見ている
「「い、いただきます」」
流石にそうなったらフォークで近くにあった鶏の唐揚げを取ってパクリと一口食べる
「「美味しい!」」
「いただきまーす!」
待ってましたとモルガ師匠とウカタマもピザとかフライドポテトに手を伸ばす。この2人素早い……
「私も貰うよ。いただきます」
「いただいてます」
立ち居振る舞いが上品なリリウムさんと気が付いたら既に食べていた飯綱さん。恐ろしく速い自分用のオードブルの取り分け。僕じゃなきゃ見逃しちゃうね
「じゃあ僕も……」
食べようとしたその瞬間にメッセージが届いた。まだ食べてないし確認だけするか
『フレンド全員に送信。緊急でフォーシアスの街で防衛クエストが発生したんですが、今から来る事が可能な方が居たら至急フォーシアスに集合願います』
メッセージの送り主はタナカムさんだ。フォーシアスで緊急の防衛クエストですか。これは行った方が良いかな
「ちょっと急用が入っちゃったんでその料理は皆さんで食べてください。食後のデザートが欲しかったら飯綱さんにお願いしてください。冷蔵庫の中に入れてあるので」
作った料理はインベントリに入れる事も可能だけど、冷蔵庫は倉庫代わりになるのと、許可するとNPCでも中の物を取り出す事が可能になる。これを上手く使えばNPCに料理を作ってもらう、既に作った物を来客があった時に配膳してもらうなんて事が可能になる。NPCが関与出来ないインベントリに全部入れるよりもこうしておいた方が色々出来る
「因みに今の所冷蔵庫を開けられるのは飯綱さんだけだから」
「「えっ」」
その場に居た飯綱さんにはこのキッチンで調理とか出来る権限とかも与える事が可能だったので与えてあるが、つまみ食い予備軍のモルガ師匠とウカタマの2人には与えられても権限を与えるつもりはない
「それじゃあ僕はもう行かないと……食べたら後は片付けしてもらえれば良いから。それじゃ!」
「ハチ君ハチ君、私達に権限を与えないで何処に行くんだい!?」
「ちょっと人助けに行ってきます」
そう言い残して城から出て泉でフォーシアスに向かった