宝呪のチェック
「ふぅ、これでやっと料理の試作とか出来るな……」
料理の試作をする為にも出来る限り邪魔はされたくない。まぁ普通の料理も作るつもりだけど、危ない料理も作るつもりだから誰にも邪魔はされたくない。自分で味見するから、近くに野戦生薬とか用意しておかないとな……
「さて、宝呪を装備して作った料理はどんな感じかな?」
ダメージを受ける料理は流石に怖かったので、まだ宝呪を装備して料理は作ってない。今こそ試してみるべきだろう
「作っている最中に付けたり外したりしたらどうなるかな」
例えば最初は宝呪を装備しないで、数個同じ料理を作る時に途中で宝呪を装備したらどうなるのか、逆はどうなのか、そういう事を試してみよう。1つずつ作るなら小ぶりのおにぎりで良いかな。その後はクッキーとかで確認してみよう
「うん、おいし痛っ!?」
味の確認の為に宝呪を外して食べてみると普通に美味しいおにぎりかと思った瞬間、静電気でバチッとする様な衝撃が全身に走る。HPが1割くらい減ってる……
「味は普通だったのにダメージが入ったな。見た目も普通だし……これはロシアンルーレットでも使えそう」
これは毒とか入れたら更にダメージ上乗せも出来るかな?
「後は作っている途中で外すと作ってる途中で着けるだな」
忘飲忘食の呪いは宝呪を装備している間、作った料理は全て食べた者にダメージを与える効果が付与されるって書いているし、装備している間に作った。が何処までなのかを確認してみよう
「えーっと、最後の一握りする前に宝呪を装備したらどうなるか……」
とりあえずおにぎりを握って両手が塞がっているので、深淵尻尾で宝呪を執事服に取りつける。茨をクリップのようにして服に挟んで付ける事が出来た。これで装備している状態にはなっているだろう
「いただきます。うげっ!?」
おにぎりを食べるとHPに1割程度のダメージ。とりあえず味は変わらないだろうし、外すのも面倒だったのでそのまま食べたら味の無いおにぎりで、ダメージを受けるというただただ悲しい気分になるだけだった
「次は、途中で外してどうなるかだ……」
再度おにぎりを作る。今度は途中で宝呪を外しておにぎりを完成させたが……これで普通のおにぎりになるか、ダメージおにぎりになるか……いざ!
「……あれ?ダメージが無い。なるほど?つまり、装備している間に作ったって表現は料理が完成する時に偽食の宝呪を装備していたらその料理にダメージ効果が付与されるって事か」
という事は……ただのクッキーだと、完成のタイミングは焼き上がった時だと思うから、その時に焼いたクッキーが全部ダメージ効果を付与してしまうかもしれないけど、クッキーサンドみたいな間にクリームを入れて完成……みたいな一手間を加えれば、その時に付けたり、外したりでダメージ効果を付けるか、付けないか選んだり出来そうだな?
「これは……ハスバさん辺りに喰らわせると喜ぶかな?」
皆と同じ物を食べても刺激(1割ダメージ)があるみたいな事を言えば凄い食い付きそう。まぁ普通は使わないな
「そういえば地獄ッキーって人が食べたらダメージだったよな?それにこの能力を更に上乗せしたら人間には凄まじいクッキーが出来そうだな……」
クッキーで思い出したセーレさんから貰った地獄ッキー。あれを宝呪を付けて僕が作ったら対人間用の兵器クラスのクッキーになるんじゃないだろうか?食べ物に兵器は失礼だけど
「でもたまには普通のクッキーでも作るか」
宝呪を外し、ローブに着替えてクッキーを焼く準備をする。今は耳飾りで良いな
「ちゃちゃっと簡単に作っちゃおう」
小麦粉、溶かしたバター、牛乳、砂糖をよく混ぜた生地を20枚分くらいをオーブンの天板に並べてオーブンに入れて加熱!これですぐに完成だ
「さて、これを……」
ここから小分けにして村の皆の所とかに持って行こうか、ここからアイスとかを作ってクッキーバニラみたいな感覚で他の料理に使うかなんて考えていたら……
「おやおやぁ?早速来てみたら美味しそうな匂いがしますねぇ!」
「ハチ君?急に逃げなくても良かったんじゃないのかい?」
「「ここがハチの……」」
ついさっきまで会話していた面々が扉を開いて現れた
「流石に来るの早くないです?もう少し余韻を楽しみたかったんですけど?」
まぁリリウムさんも僕に2人の護衛を頼む時にこの島までやって来て依頼してきたんだし、いつか来るんじゃないかと思っていたけども
「君は不利になるのは嫌いだろうからアウェーの私の城からホームである君の城に来たんだよ?」
「まぁ追い返したりはしませんけど、今丁度焼けたクッキーでも食べますか?」
「「「クッキー!」」」
「頂けるかな」
保護者1人の子供3人とでも言えそうな雰囲気だな……クッキーは4人にあげよう
「それで、次はどんなご用件で?」
4人で来るという事は何か理由があるから来たと思って聞いてみる
「この2人が見分を広める為に私の所に来たというのは護衛の時に既に知っているだろう?」
「ええ、聞いてますね」
人間と吸血鬼の共存。それを成しえているリリウムさんの所におじいさんの所から旅してきたエリシアちゃんとフォビオ君の2人は見分を広める為にやって来たハズだ。決してそこで元おやつ抜き師匠と一緒にもしゃもしゃとクッキーを食べる為に来たのではない
「勿論、私の街で学べることは多いと思う。だが、私は人間と魔物が共存している所を偶然にも1か所知っていてね?そこの話をしたら是非とも見たいと2人にせがまれてしまったんだよ」
「「見たかった!」」
なるほど、それでここに来た訳だ。話の筋が通っているだけにお帰り下さいとは言えない
「正直見たとしても、役に立つかはちょっと分からないですね……とりあえずこの島に居る皆に迷惑を掛けなければ見学するのは許可しますよ」
街で商売をしている人達も厄介事を起こさなければある程度は好きにやらせているし、この4人が見て回るのは別に構わない。まさかのお客が増えたなぁ……




