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配慮

『本当にあとちょっとで到着するからハチさんの同行者の人もハチさんを止めてくれ!』

 まさかの船内放送での警告


「なんて言われてますけど……」

「止めた方が良いの?」

 やらないと決めたのに何を止めようというのか


「いえ、着陸するまで待てという船長の指示には従います」

「「ふーん」」

 なんか言いたげだなぁ?


「念の為揺れがあるかもしれないので、怪我をしない様に座って待機していてください」

「「はーい」」

 何となくだけど2人との距離感は近くなった気がする。ちょっと




『着陸するぜ!念の為揺れに気を付けてくれ』

 船内放送で着陸すると連絡があった。一応手すりとか廊下にあるのでその辺を掴んでおけば良いだろう


「おぉ、そこまでは揺れないな。これは凄い」

 着陸したというのは分かったけど、大きな衝撃を感じなかったのでこだわって作られた飛行船の凄さを感じる


『そこなら後部からそのまま降りられるぞ』

 廊下の先にあった階段の近くにある両開きの扉が開き、外の景色が見える。乗り込んだ時は階段で乗り込んだけど、今回は港とか駅みたいな準備した場所ではないし、これはある意味避難用の出口なのかも?これも使えるかどうかのチェックという事か


「では行きますよ」

「分かったわ。にしても、この飛行船凄いわね?」

「飛行船ってもう少し揺れる物って聞いていたんですけど……」

 普通の飛行船は乗ったことないから分からないけど、この飛行船は普通じゃないと言った方が良いかな?


「一応わたくしもこの飛行船の素材集めを手伝いましたが、かなりこだわって建造したらしいので揺れなどを減らす事が出来たのでしょう。素晴らしい職人技の結果です。普通の飛行船とは違うと思います」

 この飛行船は多分魔改造レベルの飛行船だと思う。だから普通の飛行船では無いだろう


「意外と凄い飛行船に乗っていたのね」

「本当に貴方への疑問が増えるばかりですね……」

 色々後ろで言ってたけど、2人ともついて来て船を降りる……前に伝声管で感謝だけ伝えておこう


「わざわざ送ってもらってありがとうございます。揺れもなく、速くて予定外の場所でもちゃんと着陸出来るので、この船はかなり素晴らしい出来だと思います」

「そうか。そりゃあありがてぇ話だ!」

「目的地はまだ先なのでそろそろ行かせてもらいます。皆さんも帰りは事故の無いようにお気をつけて」

「おう!ハチさんも気を付けてな!」

 おじさんに別れの挨拶をして、船を降りる。スロープが地面に向かって伸びていたので、降りるのもすぐだ




「これでリリウム様が居る街までの距離はかなり短くなりました。ここからは歩きで行きますよ」

「「はーい」」

 誰かに協力してもらって馬車を用意するのが一番早いかもしれないけど、ここは2人が今まで歩いてきたという事もあるし、徒歩で行こう。そもそも何かに襲われたとしても馬車に乗せて身動き取れないより、徒歩の方が小回りとか利くし


「とりあえず可能な限り人とは接触しない様にしますが……言ってる傍から来ましたね。逃げましょう」

「「うわっ」」

 流石にあの飛行船が目立ってしまうのは仕方がない事だ。船が降り立った時に近くに寄れなかったとしても船から降りた人が居るとしたら、興味の矛先がこちらに向くのも自然な事。話を聞こうとこっちに向かってくるプレイヤーと街の住人っぽい人達が視界に入った。あんな集団で魅了に掛かるとか厄介な事この上ない。さっさとフォーシアスから離れてサーディライに行かなくては


「失礼【ミスティックミスト】」

「え!?何!?」

「この霧は!?」

 一応護衛対象だから仲間判定で大丈夫だとは思うけど、2人と手を繋いで【ミスティックミスト】を発動する。これで追手が僕達を追跡する事は不可能だろう




「よし、このくらいまで来たらもう大丈夫でしょう」

「「はぁ…はぁ……」」

「大丈夫ですか?」

 2人とも息が上がっている。結構走ったし、呼吸を整える必要があるか


「ちょっと……待って……」

「息が……辛い」

 この感じ、なんかちょっと息切れと違うかも


「何か飲みますか?」

 一応飲み水は前にホフマンさんから貰ったもの凄い容量の瓶に詰めて用意してあるから喉が渇いたとかならすぐに対応出来るが……


「「日光が……」」

「っ、申し訳ありません!」

 走ったせいか、日光を浴びてしまったみたいだ。これは完全に僕が悪いな


「このような物しか用意出来ませんが……」

 空島の露店通りの所からタープテントを1つ貸してもらっていたので、2人の上で張って、寝かせる。これで多少は日光を遮れるだろう


「わたくしの勝手でお二人を危険な目に遭わせてしまいました。申し訳ありません……何か欲しい物はありますか」

「「血……」」

「畏まりました」

 フォビオ君に短剣を握らせて、僕の腕に切り傷を付ける。両手に傷を付けたら溢れる赤ポリゴンを2人の口元に持っていく


「「んくっ、んくっ、んくっ」」

 腕に付けた傷からペロペロと赤ポリゴンを舐め取る2人。舐められているので若干くすぐったいが、我慢だ


「配慮が足りていませんでした……」

 日光に弱いのに走っている最中にどこかしら日光に浴びてしまったりしたんだろう。そういえばこの2人、大体は歩いてた。激しい動きをすると日光を浴びてしまうから出来るだけゆっくり動いていたんだろう。モルガ師匠のマントも日光を遮る効果があっても範囲外だと効果が薄いとか充分にあり得る。2人の手を取って走ったからその腕に日光を浴びたとか充分に考えられる。これは日が出ている間は動かないようにしよう



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― 新着の感想 ―
[一言] これはハチ君もうっかり
[一言] 日光を避けるために夜闇に紛れて進むぞ! ……夜逃げっぽい
[一言] 日光に当たらないように日が落ちるまではアビス様に頼んで深淵にお邪魔させてもらいましょう。 精神が耐えられるかはわかりませんが・・・
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