お宝お届け!
「それじゃあこの辺と……あ、文献もありますね。あとはこれも貰っていくので、残りは皆さんで分配してください」
銀のチェーンに水色の宝石が付いたネックレスがあったので、それを貰っていく。ついでに巻物とかなんか装飾の凄い本とかを軒並み貰っていく。これを持って行けばマジナリア魔法学園にちょっとした貸しを作る事が出来るんじゃないかな?まぁ出来なくても、ルクレシアさんに渡せそうな物が入手出来たしオッケーだ。この辺にあるものはざっと見ただけだけど、何かしら能力が付いてる系の物は無かったので本格的に僕に必要な物が無い。まぁでも、単なる宝石ならドナークさんとか加工出来るだろうし、この辺も貰っていこう
「それじゃあ可能な限り均等にいこう」
「多少のブレは仕方ねぇな。だがこんなに貰えんのはありがてぇ!」
「こんなに頂けるんですね……新しい調薬用の設備が買えそうです」
「ハチさんありがとうございます!」
これで皆が納得出来る分配が出来た。いやぁ喧嘩にならなくて良かった
「よし、それじゃあ帰りますか」
「あぁ……ん?ふっ」
「ん?どうしましたハスバさん?」
「いや、ここに行く前にチェルシーが宝探しに行っただろう?ハズレだったらしい」
「ありゃ、それは残念でしたね」
「どうやら既に調査された後だったらしい。ほとんどお宝が無かったみたいだ」
博物館の物を壊してお宝の地図を見つけたらしいチェルシーさんの方は失敗したみたいだ。まぁそれは自業自得という事で残念でしたと言うしかないよね
「それは僕達もその可能性はあった訳ですから。運が悪かったんでしょう。まぁ僕達には関係無い事ですから」
「そうですね。失敗するかもしれないのが宝探しですし」
「そればっかりはどうしようもないよな……」
「運が悪かった……なんですかね」
「この発見はチェルシーさんに言わない方が良いですかね?」
トーマ君の配慮が光る
「じゃあこれは男同士の秘密にしておきましょうか」
「そうだな!男同士の秘密だ」
「男同士の秘密……分かりました!」
「良いぜぇ。そういうのは大好きだ」
「そうですね。男同士の秘密です」
男同士の秘密と言う事でこのお宝の発見はこの5人での秘密と言う事にした。タンケさんは別に約束しなくても問題無いだろう
「じゃあ出ますか」
空っぽになった宝物庫を後にする。インベントリを持ってる人間が5人も居れば宝物庫が空っぽにするのも簡単だなぁ……でもこれ結構怖い事だよ?たった数人が協力して中にある宝を全て回収し、その事実を誰にも言わなかったら……そこにあった歴史が1つ消える事になる。そう考えると過去の出来事等が記された書物はキチンとそれが保管出来る所に持って行くべきだろう
「では皆さん!また今度!」
頭に王冠を被ったタンケさんがエスケープパッドを使って行ってしまった。これ今から行ってもタンケさんの後を追いかける事は出来ないんだろうなぁ……
「それじゃあ帰りますか」
「そうだな」
「帰りましょう」
「お疲れさまでした」
「おっしゃ!そんじゃあ帰るか!」
皆でエスケープパッドに乗り、宝物庫から脱出する
「おっ、晴れてますね」
エスケープパッドで離脱してみたら最初に入った所に出てきた。入った時とは違い、晴れていたのであのマークは既に消えていた。どうなんだろう?もうあの場所に入れないかもしれないな
「無事に帰って来れたな。とりあえず街に帰るか」
「おう、急いで色々準備しないと間に合わなくなっちまうしな」
「注文しないとですね……」
「新しい道具か設備を買って、新薬でも作りましょうかね」
「じゃあ、僕は情報提供者に礼をしてきますかね。それじゃあ皆さん、お疲れさまでした」
「「お疲れさまでした」」
「「お疲れー」」
無事に帰ってこれたし、挨拶も済ませたのでルクレシアさんの所に書物関係を持って行こう
「ふぅ……」
「お疲れさまです。ルクレシアさん」
「うわっ!ビックリした……ハチさん。急に現れないでくださいよ」
図書館での仕事に集中してたルクレシアさんの前で気が付くまで待ってたら凄いビックリされた
「いやぁ、いつ気が付くかなぁと思って。そういえばあの取り巻き?の子達はどうしたんです?」
「ハチさん?普通、今の時間は授業の時間ですよ?私は許可を貰ってるのでこうしているだけです」
そっか、授業中にぶつける形でここに来たら取り巻きは居ないのか。今後調べものしたい時とかはそういう時間を狙うのが良さそうだな
「それで、今回はどんな要件で?」
「んー、じゃあどっちからにしようかな……ルクレシアさんが選んでくれる?」
ルクレシアさんの前に両手をグーの状態で出す
「え?どちらか選べって事ですか?じゃあこっちで」
ルクレシアさんが選んだ手を開けば中には何も無かった
「なるほど、それならまずはこっちですね」
書物とか本をインベントリから出して机に並べる
「……!?こ、これは!?」
「この前教えてくれた所を調査してきましたよ。本とか巻物系は一応ここにあるので全部のはずだから……」
「そんなサラっと大発見しないでくださいよ……」
「えぇ?だって教えたのルクレシアさんじゃん?」
調査が進んでないって言ったのはルクレシアさんの方じゃないか
「だからって!」
「あ、あとこれ。ルクレシアさんにお土産ね?」
あの宝物庫で選んで来たネックレスをもう片方の手を開いてルクレシアさんに渡す
「これ……本当にお宝を見つけたんですか」
「ルクレシアさんの情報のお陰で過去の書物とか見つかったし、見つけた物の中でこれはルクレシアさんに似合いそうだなって」
金色で宝石が滅茶苦茶付いているネックレスとかよりも、ルクレシアさんにはシンプルな銀のネックレスが似合うだろう。まぁ売っちゃっても良いんだけどね
「本当にハチさんは……もう」
多分、喜んでくれてると思う。露骨にえぇ?銀?みたいな反応じゃなくて良かったぁ……