食材補給
「すみません、以後気を付けます……」
「ま、まぁ褒めてくれるのは嬉しいから?別に褒めるなとは言わないから……そんなしょんぼりすんなって……」
つまり今まで通りで良いのかな?
「今後気を付ければ良いだけだから!な?」
「はい……」
「あぁもう!褒めて良いから!そういう相手を褒められるのがハチの良い所だから!私が悪かった!」
「いやいや、ドナークさんが謝る事じゃありませんよ。僕が気を付けた方が良い事をドナークさんが教えてくれたので、今後はそういう失敗が少なくなります」
ドナークさんに教えてもらった事を気を付ければ今後のいざこざは多少回避出来るかな?
「もうそれで良いよ……」
「なんかごめんなさい。とりあえず用事があるので……もう行きますね?」
「本当に気を付けろよ?」
最後にドナークさんに注意をもらってから、泉に向かった
『ホフマンさん、パンケーキ用の食材が欲しいんですが、貰いに行っても良いですか?』
『おう!幾らでも持って行ってくれ。セカンドラの所に置いてあるからよ』
よし、貰いに行こう。色々ご飯作ったりしたら結構消耗するんだよねぇ
『じゃあ貰いに行きますね』
卵とか結構使っちゃうんだよなぁ……補給させてもらおう
「よし、ホフマンさんのお店に行くか。恰好はどうしようかな……」
普通に白ローブで行くか、別の服装で行くか……そうだ
「ポン君、今大丈夫かな?」
「なにか、よう?」
パンドーラでポン君に連絡する。応じてくれればあの軍服スタイルで行けるだろう。たまにはそういう服で出掛けたい
「ちょっとポン君に手伝って欲しいなと思ってね?今呼び出しても良いかな?」
「どうぞ」
許可を貰えたし、呼び出そう
「カモン、ポン君!」
「よんだ?」
黒い粘液の体から口だけ出して答えるポン君。これだけ見たら怖がられる事も多いだろうけど、ポン君もかなり優秀なんだよなぁ
「前のポン君に任せた時の恰好ってまた出来る?」
「んー、これ?」
ポン君が僕の体に飛びついて、ローブを軍服に変形させる
「おぉーこれこれ。ありがとうポン君。少しくらいなら魔力とか吸っても良いよ」
「わかった!」
首筋に軽く噛みつかれて吸われる感覚がある。だけど、そのお陰なのか軍服の上からコートみたいな物が新しく生成された。カッコイイけど滅茶苦茶周りからは浮くよね?まぁたまには良いか
「どう?」
「ポン君分かってるねぇ?良いよこれ」
悪いか悪くないかで言えばかなり良いと思う。この恰好でとりあえずセカンドラに行くか
「おい、あれ……」
「あのお姿は……!」
「マジ?超ラッキーじゃん!」
「あれが例の……クッソかっこいいんだが?」
セカンドラにワープした途端、周りの人がこっちを見てザワザワし始めた。僕の目的地はホフマンさんのお店だからとりあえず無視だ
「……」
「「「っ!?」」」
なーんかただ歩いているだけなのに僕の進行方向に居る人が勝手に避けてかなり歩きやすくなっている。別に人に揉まれて進んでも構わないんだけど……
「わーい!いてっ!」
「「「「「っ!?」」」」」
急に横から飛び出してきた小さい男の子が僕にぶつかってコケてしまった。周りの空気が一気に凍った気がする
「大丈夫か?」
「ご、ごめんなさいぃ!」
なんでそんな今にも殺されそうみたいにビビるんですかね?とりあえず片膝を地面に着いて、目線を合わせる
「怪我は無いか?あれば言え。治療してやる」
一応この恰好の時は軍曹モードで行こう
「な、無いです……」
全身を見回してみたけど本当に傷は無い。確かに軽くぶつかってコケただけだし、アレで怪我するのは難しいだろう。ただ、腰を抜かしているのか中々立ち上がりはしない
「立てるか?」
「は、はい!立てます!」
聞いてみると何とか急いで立ち上がる男の子。良かった。ちゃんと立てるみたいだ
「元気なのは良い事だ。今後は周りに気を付けるんだぞ?少ないがこれをやろう」
あの時作った飴でほんの少しだけ残っていた切れ端は丸めて飴玉にしていたので、その飴玉を男の子にあげる。正直あれは空腹度の回復効果もほとんど無いので持っていても仕方のない物だったし、こういう時にお詫びの品として使ってしまおう
「あ、ありがとうございます!」
「礼もしっかり言えたな。よし」
とりあえず男の子の頭を撫でて、その場から立ち去る
「あの男の子……良いなぁ」
「俺もぶつかったら…」
「やめとけ!ぶつかる前にお前の頭蹴り飛ばされるぞ!」
めっちゃ噂が独り歩きしてるなぁ……別にぶつかっても「あ、すみません」ぐらいしか無いのに…さっきのはあくまでコケちゃって心配だったのと、残ってた飴の処理を同時に済ませただけだからあの対応だっただけなんだ
「あの店……ホフマンさんの所じゃん」
「あの人、飯を喰いに来てたのか……」
「隣にあんなの座ったら緊張して飯なんて喰えねぇよ……」
そりゃあ僕だって隣に知らない軍服着た人が座ってオムライスとか食べ始めたらどうしたら良いのか分からないよ。まぁ友達がコスプレしてご飯食べるって知ってたらそのくらいは許容出来るけども……何だかんだ周りの人が勝手な予想とかで僕の事を話していたけど、無視してホフマンさんの店に入る
「ふぅ」
いやぁ、やっぱりこの恰好目立っちゃうよねぇ?さっさと食材を貰って島に帰ろう
「「「「「……え?」」」」」
「ん?」
おっとぉ?先客が居たぞ?