海底の約束
「あのー、私も居るんですけど……」
「あ、ごめんなさい。忘れてました」
そういえばチェルシーさんも居たんだった。いやぁ、白武と黒武から感謝の言葉でジーンとしてて居た事忘れてた
「ひどっ!?」
「とりあえずチェルシーさんはタナカムさんと値段交渉なりなんなりしてください。僕はもう交渉は済んでいるので」
「ハチ君?私の扱い雑じゃない?」
「僕は今、仲間とやっと一方通行じゃない意思疎通が出来るようになったのでそっちに感動してるんです。どう?ちゃんと衛兵として出来そう?」
『できます』
ホワイトボードとマーカーを使い、僕に出来ると宣言する2人。ホワイトボードの筆談とはいえ、頼もしく感じる
「えっと、ホワイトボードとマーカーですが、1セット25万ですね」
「25万!?高くないですか?」
「意外と製作コストが高いんですよね……」
これ1つ25万もするの?足元見てない?
「それ、製作法も付けるならいくらで売れます?」
「それは作った仲間に聞いてみないと正確な値段は出せませんね……ですが、最低でも100万以上はすると思っていただけると」
「なるほど、ではその作った方と会わせてもらってもよろしいですか?詳しい値段はその時に決めるという事で」
「それなら作り出した彼も喜ぶだろうし、良いんじゃないかな」
「ではこのホワイトボードとマーカーは買わせてもらいます。製作法に関してはまた今度という事で!」
一応商談成立かな?
「商談も成立したみたいなので僕はこれで。ホワイトボードありがとうございました」
「いえいえ、こちらも属性金属などで既にかなりお世話になっているので、この程度でもまだまだ足りないとは思いますが……」
「その内ここよりももっとレアな鉱石が取れる所とか来るでしょうけど、それまでの繋ぎとして使うとかなら丁度良いんじゃないでしょうか?」
「繋ぎの物が個人の所から採れるという段階で中々だと思うが……」
そういえばあのカーボンウッドを採りに行った山とかレアな鉱石が出て来たりするのかな?
「あっ、そういえば……」
火山と言えば船長達と海底火山のお宝を取りに行く約束があったんだった。行かなきゃ
「ごめん、ちょっと約束してる事があったんだ。行ってくるから早速2人とも頼んだよ?」
『おまかせください』
島はこの2人に任せて行きますかぁ
「おや?ハチさんどこか行くんですか?」
チェルシーさんに捕まったけど……言った所でついて来れないし、秘密で行くか
「ちょっと人には言えない所ですね。因みについて来ようとしたら確実に死にます」
「またですか……ハチさん常識の破壊者とか言われてるって知ってます?」
「誰ですか?そんな事言ってる人?海の底に引き摺り込みますよ?」
「そう言ってる所が常識を破壊しているって言われるんじゃないだろうか……」
タナカムさんにも言われてしまった。まぁこれは仕方ないか……水中で呼吸出来ないのが普通だし
「多分ハスバさんあたりが言ってるんでしょう。今度会ったらシバいておきます」
実際に言っているかは知らないけど、ハスバさんなら言ってても不思議じゃないし、違ってもハスバさんなら喜んで罰を受けそうな姿が頭に思い浮かぶ
「え?見てたんですか?」
「え?本当に言ってたんですか?」
冗談のつもりだったのにマジで言ってたの?
「これはもう処すしかない」
「「うわぁ……」」
本人も居ないから単なる冗談だけど、これでこの2人が勝手にハスバさんに警告を出してくれるだろう。ついでにこれで泉移動すればハスバさんをシバきに行ったと誤認させながら海に行けるな
「船長!準備出来たんで来ました!」
「おっ来たか!恩人様よぉ!海底火山に行くぞぉ!」
すっごいノリノリだ。フィフティシアの港から海に飛び込んで魔笛を吹いたけど、今回は海上に出ることなくダイビング・デッドマン号に乗せてもらった。乗せてもらったと言うべきか海中で連れ去られたみたいな感じだったけど……
「ちょっと着替えさせてもらいますね?」
ルールイアの周りの海底と違い、今回の目的地は海底火山。確実に水圧だけでなく、熱にも耐えられなければならない。シロクマコスチュームを着て何とか耐えられるかな?
「よし!これで完全に準備オッケーです!」
「おぉ!?それで火山に近付けんのか!?」
「多分火山の熱さはこれで大丈夫かなと思います。あとは僕が件の海底火山地帯でお宝を見つけてこの船に戻って来るのが重要な事になるでしょうけど……」
生きて船に帰る事が出来なければお宝回収は失敗になってしまうかもしれない。上手く生き残れるように急に足元が噴火するかもしれないと想定しながら慎重に動くのが良いだろう
「お宝はどの辺にあるんですかね?」
「宝は海底火山の噴火口の近くに有るみたいだが、俺達の船じゃお宝を直接回収するまでは流石に近付けねぇ……ある程度近くまでは寄るが、そこから先は誰かの力を借りないと無理だ。そこで恩人様の出番って訳だ!もう少しで着くからあとは頼んだぜ?お宝は山分けだ!」
海底火山のお宝……頑張って取るぞ!