意思疎通
『この手紙が届いた旅人には次回のイベント「夜明けの逃走劇」の捕縛者として参加していただきたく存じます。なお、これ以上の情報は捕縛者として参加表明していただける方にのみ公開されます』
なるほど、何人かプレイヤーに運営側になってもらうって訳か。それで詳しい事が知りたかったら捕縛者っていう物での参加を選ばないと分からないと言う訳か
「これはどうやって参加とか……む?」
手紙の一番下にはYESとNOと書かれていた文字が光っていたので、YESの文字を押してみる
『捕縛者として参加表明していただける事に感謝します。次回イベント「夜明けの逃走劇」は特別エリアで逃げる旅人達とそれを追いかける捕縛者との勝負になります。逃走側は特別エリアから捕縛者に捕まらずに逃げ切る。捕縛者は逃走者を捕まえられるだけ捕まえるというのがルールになります。捕縛者に参加表明していただけた方はイベント開始時まで情報を伏せてもらえると助かります』
とりあえず参加表明だけって言うのはまだ開始の日程を決めてないからかな?逃げるプレイヤーを追い立てる側になるのは面白そうだな
「これでその内イベントが始まったら僕は捕縛者として参加させてもらえるんだな。次のイベントも楽しみだなぁ」
「捕縛者?また何か恐ろしい事にならなければ良いが……」
「ただの追いかけっこの追う側なだけだから……」
「ただの追いかけっこ……な」
何か制限を掛けられたりするかな?走ったらダメとかそういう感じの制限を掛けられると中々大変な状態になるだろうけど……
「とりあえず情報は洩らさない様に気を付けなきゃいけないから皆もこれに関しては他の人に言わない様にしてね?」
「言われなくても喋りはしない」
「ダマッテオキマス」
「「……」」
そもそも他の人と会話するのがジェリスさんだけじゃないかこれ?
「おっ?返信だ」
メッセージが返ってきたので確認しよう。というかなんでイベントの参加要請はメッセージで来なかったんだろう?演出重視みたいな物かな?
『ホワイトボードとマーカーでしたら私のクランで作っている者が居るのでお持ちしましょうか?』
『黒板とチョークでしたらすぐにご用意できますよ!』
えっと、タナカムさんとチェルシーさんか。へぇ?タナカムさんの所でホワイトボードとマーカー作っている人が居るんだ。それは凄いな?ちょっと黒板とチョークよりもそっちの方が気になる。チェルシーさんにはごめんなさいしてタナカムさんにお願いしてみよう
『ホワイトボードとマーカーを2セット程戴けませんか?何か鉱石とか必要でしたら鉱山とかで採取して行ってもらって構わないので』
『既に色々と頂いているのでボードとマーカーの2セットは差し上げます』
こういう時に島の物を持って行っても良いとしている事が結構役に立つな。交渉がスムーズだ
『ありがとうございます。では島の泉の所で受け渡しをお願いします』
『了解しました』
よし、これで2人分の意思疎通のアイテムゲットだ
『他の方から貰う事が決まったので申し訳ありませんが、今回は遠慮させてもらいます』
『なんですとー!?そういう訳なら仕方ありませんね。因みにどなたが?』
『タナカムさんの所でホワイトボードとマーカーを作った方が居るらしいのでそれを貰おうかと』
『なるほど、タナカムさんの所でそんな物が……』
あ、これは言わない方が良かった奴か?
『邪魔しないようにはするのでちょっとだけその話、噛ませてくれませんか?ホワイトボードとマーカーは私も欲しい物なので……』
あ、そういう感じか
『ちょっと待っててください。今連絡します』
タナカムさんに一度連絡しないと
『タナカムさん、さっき頼んだホワイトボードとマーカーなんですが、もう1セット増やす事は可能でしょうか?』
『もう1セットですか?可能ですよ』
『でしたら3セットお願いします。それとチェルシーさんが同席しても良いですか?3セット目はチェルシーさんが欲しがっているので』
『分かりました。3セット目も用意しておきます』
『チェルシーさんには売りつけて良いので』
『分かりました。商売の機会を設けて頂けたという事で』
こういう会話に後から入ってきたら損をするのは仕方ない事だよなぁ?
『お待たせしました。許可が出たんで来ても良いですよ』
『分かりました!待機してます!』
よし、これでタナカムさんにもある程度恩を売るとか出来るかな?
「それじゃあちょっと僕も白武と黒武の為の物が手に入りそうだから行ってくるよ」
「「……」」
「あ、ついてくる?」
2人とも会話用のアイテムを入手出来ると思ってついて来たいみたいだ
「オッケー多分ついてきても良いよ」
ついて来ても問題無いだろう。とりあえず貰える物もらってその場で使ってもらうのが良いかな?この子達が使いたがってたんですよーって
「そうと決まれば早速行きますかね」
「「……!」」
白武と黒武を連れてタナカムさんに会いに行こう
「わざわざすみません」
「いえいえ……そちらの強そうなお二方は?」
おっと、なんか2人を見る目がなにか獲物を見つけた風に感じるな?
「この子達は僕の仲間ですね。2人とも喋れないのでホワイトボードで意思疎通が楽になったらなぁと思って今回の話を持ち込みました」
「なるほど、喋れないのは確かに不便ですね。こちらがホワイトボードとマーカーになります」
「おぉ、ホントにホワイトボードとマーカーだ。ほら、何か書いてみて?」
渡されたホワイトボードとマーカーを2人に渡し、何か書いてもらおう
『はちさま、ありがとう』
「すいません、ちょっとハンカチください」
これはちょっと嬉しくて泣いちゃいそう