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65/2001

幻影手

「よし!オーブさん。敵何でも良いから出して!」

「は、はい!では出現させます!」

 いやーな雰囲気を吹っ切る為、敵を出してもらう。うん、マネキンですね


「ふっ、ふっ!せいっ!」

 両者の距離は2mくらいだったのでステップを踏んで屈んで右足で足払いの前掃腿(ぜんそうたい)で牽制する。それをマネキンが躱したので追撃で屈んだまま体を反時計に回して左足の後ろ回し足払いの後掃腿(こうそうたい)の連携でマネキンを捉える。倒れたマネキンの頭に向かって足払いの勢いをそのまま左足を一回転させ、マネキンの顔面に左足を着地させる。これ無理かな?と思ったけどステータスのお陰か結構上手く前掃腿、後掃腿の連携に踵落とし的な攻撃を混ぜ込む事が出来た。そして敵の頭を踏みつけた事でエゴの能力が発動する


「うわっ!」

「禍々しいですね……」

 頭を踏みつけた時にエゴの脛や踝から黒い瘴気の様な物が出て、マネキンの顔を包む。途端に震えだすマネキン


「恐怖の状態異常が付いてますね?」

「うん、これは正直思った以上にやられる側は怖いかも……」

 この瘴気が顔に当たれば恐怖の状態異常になるって事かな?そもそも相手の頭を踏みつけるって事自体やられる側は怖いけどそうそう出来ないだろうから発動する事はそんなに無いだろうなぁ……


「オッケー、こっちの能力は分かった。じゃあ次はこっち……」

 ガチンッと両拳をぶつける。【幻影手】とやらがどう発動するのか確認だ


「ほぉ……ほうほう!良いなこれ!」

 打ち合わせた拳は自分からはガラスの様に透明だけど輪郭が見える腕になった。実際の腕は動かしているけど自分の腕は拳を合わせたままの状態に見えるという何とも不思議な光景だ。そして幻影の腕は打ち合わせた状態からファイティングポーズをとる。そしてシュッシュッ!とシャドーをする。うん、僕自体は全く構えもしていないから腕だけがシャドーしてすごい違和感がある……


「ん?ハチ様、なんか動き変わりました?」

「おっ?やっぱりわかっちゃう?」

「何かぎこちない感じがしますね?」

「オーブさん」

「はい、なんです、えっ!?」

 何となく両手を下ろすイメージをしてみたら幻影手がシャドーを止めたのでオーブさんに向き直り、オーブさんを両手で優しく掴む


「ハチ様、今私が感じるこの感触はハチ様でしょうか?」

「もし、違ったらどうする?」

「ここには私とハチ様しか居ませんからハチ様以外考えられませんよ」

「そっか、おっと意外と1分って短いな?」

 最初の透明状態の腕の確認とか幻影手のシャドーとか見てたら1分はあっという間だった。風に吹き飛ばされる煙の様に下ろしていた両手が無くなり、代わりにオーブさんを両手で掴む実物の腕が現れる


「これ、そこまで使えますか?」

 オーブさんが少し疑問に思っているみたいだ


「凄く使えるよ?多分何も考えてなかったら勝手に動くんだろうけど両手を下ろすって頭で考えていたら幻影手は両手を下ろしたし、意識すればある程度自分で動かせるのも良いポイントだね。それで良い所だけど幻影手を実際の腕と重ねて幻影手の方だけ少し遅くしたり、早くしたらどうなります?」

「それは……防御スキルの種類によっては不発を引き起こせる可能性が有りますね……タイミングを崩されればハチ様からの連撃を貰う場合も有ります……」

 タイミングのずらし。このタイミングで攻撃が来ると思って用意して喰らうより、不意に攻撃を喰らった方がダメージが大きい


「幻影手でわざと攻撃を受けるフリをしたら?」

「それなら攻撃がすり抜けて……動揺して隙が出来る可能性がありますね……」

 当たると思って振った攻撃がすり抜ける。動揺を誘うには十分だ


「それにさっきみたいにオーブさんには僕が腕を下ろした状態に見えたけどオーブさんを掴めたでしょ?」

「そうですね。ハチ様の間合いで手を下ろした状態で近寄られて無警戒だったら一撃喰らってしまっても分かりませんね」

 素手の間合いで無警戒なのも普通は無いけど見た感じ両手を下ろしたり、ホールドアップした状態に見えても相手の首を絞めたり出来る


「全身じゃなくて体の一部が見えないという事が攻撃に活かせるという訳ですね?」

「まぁ思いついたのはそれくらいなんだけどね。とりあえず練習も出来たし、そろそろ行こうかな?」

「了解しました。行ってらっしゃいませ、ハチ様」

「オーブさんまたねー!」

 オーブさんに手を振ってアルターの世界に送ってもらう




「もっとコースをエグくした方が良いでしょうか?でもハチ様だけですし、まだこのままでいきましょう」

 簡単に最強のコースを突破された事を少し根に持っているオーブさんであった


「ふぅ、うおっ結構お腹減ってるなぁ……」

 丸1日入らなかったので3日間寝たままの状態だった体が栄養を求めている。とりあえずジャーキーを1つ食べる


「んー、味が広がるぅ」

 噛み応えがあって、塩の感じも良い感じにしょっぱ過ぎず薄すぎず、いつまでも噛んでいられそう


「おっと、とりあえず外に出てみよう」

 家の中でジャーキーを2つ食べてギリギリの状態からちょっとお腹減ったくらいまで回復して家を出る


「おぉ!なんか綺麗!」

 村の至る所に光る玉が浮いていたり、村の中央広場の泉の所に食べ物が置いてあった


「ハチ!起きたか!」

「やっと主役が来たな!」

「ぽよっ!」

「それじゃあやるか!」

 村に最初に居たメンバーが音頭をとり、宴会が始まった



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― 新着の感想 ―
[一言] 前の感想の補足 無影手は中国拳法の技法のひとつ。フォンヘイフォンの技のひとつでもあります。ジャッキーの酔拳でも敵役が使用していました。
[一言] 無影手を鍛錬なしで使用できるんですねw 無影脚は足がつりそう・・・
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