新生ファイトクラブ
「な、なんという事だァ!ランペイジが負けたァ!?」
「【コンバートマジック HP】【ライフシェア】」
ガッツリ減らされた体力をMPを消費して回復し、気絶から回復する程度までランペイジにもHPを分け与える
「げほっげほっ……私は負けたんですね」
現状を理解するランペイジ。今回は僕が差し出した手を掴んで立ちあがる
「良い試合だったぜ?」
「これで、ここで戦うのも終わりですね……思い返せば結構楽しかったかもしれません」
「は?何を言ってるんだ?」
なんだ?まるでもう辞めるみたいな雰囲気だけど……負けたら引退みたいな事でも考えていたのか?
「最初に言った言葉を忘れたか?負けたら奴隷だと……」
「あぁ、それか。じゃあ今からお前は俺の奴隷だ」
奴隷とかあんまり好きじゃないんだよなぁ……観客達も露骨にテンションが下がっている
「1つ、言う事が有るとするなら俺はお前に何か命令するつもりはない。そもそもそんな事を望んじゃいないからな。本気で戦う為に負けたら奴隷になるという条件が必要ならそれを了承したまでだ。俺は戦った相手に敬意を払う。これからもこのファイトクラブで戦う人気者でいてくれよ?」
「で、ですがッ!ランペイジが負けてしまった今ァ、このファイトクラブはもうマスクドVの物になってしまったのではァ!?」
司会がリングに上がって僕にマイクを突き付けてくる。その話もあったなぁ
「そうだな、今回の試合で言えば2試合目。相手の急所を執拗に狙うあのスタイル。実戦ならあれは有効だが、ここは試合をする場所だ。この場に居る者達に問おう!2試合目と3試合目。どちらが見ごたえがあった!」
正直白武と黒武がマッスルインセクトドッキングを披露してしまったのでインパクト勝負になるとちょっと厳しいかもしれないけど、負けてはいないと思う
「技で言えばあのコンビ技だけど……」
「ランペイジの試合の方が良かっただろ!」
「燃えたのは3試合目か?」
色々と話が聞こえてくる
「ではここで1つ皆に問いたい。君達は何故このファイトクラブに来た?戦いを見て盛り上がりたいから来たのではないのか?」
肝心なのはそこだと思う。ただ楽しみたいから来たんじゃないのか?
「そ、そうだ!俺達はどっちが勝つのかを楽しみに来たんだ!」
「ランペイジが勝って欲しかったけどあんたは良くやった!」
「俺達のファイトクラブを潰さないでくれ!」
なんで僕がファイトクラブを潰す方向で話が進むんだよ……
「なら俺達は客が楽しめる様に精一杯派手な戦いを見せてやるのがこの場に立つ戦士の役割なんじゃないのか!」
ちょっと大きく言ってみるとリングの上にはマスクをつけた4人が上がっている。正直ここそんなに大人数で上がる所じゃないんだけどな……
「今からは金的や目潰しなんてチャチな技じゃなく、もっと派手に行こうぜ!」
そのタイミングで多分モルガ師匠あたりがやってくれたんだろう。会場に小さな花火が何発か打ちあがる
「いまからこのファイトクラブは変わる!新しくなったファイトクラブの盛り上げる役目をそこのランペイジに頼もうじゃないか!なんせ俺はまだ生きてるからな。ここでずっとやっていける奴が必要だ。さっきの奴隷云々の話ならここの仕事は丁度良いんじゃないか?」
「……あぁ!謹んでその役目を担おう!」
最後に仲直りの握手をランペイジとする。もちろん全員が納得している訳ではないだろうけど、金的で倒しました目潰しで倒しましたで盛り上がるのはあまり良い盛り上がりとは思えないのでここは健全な運営を出来るように人気者がお目付け役として頑張ってもらおう。ゴーストヴァルキリエと言う事なら元は天使みたいな物。それなら役割がある方が良いだろう
「という事はァ……ご来場の皆様ァ!これからもファイトクラブをよろしくお願いしまァす!」
「「「「「うおぉぉぉぉ!」」」」」
とりあえず良い方向で纏める事が出来たみたいだ
「流石のお手並みだねぇ?」
「本来は負ける事も充分考えていたけど、この様子なら負けなくても良いかなって」
試合も終わり、全員が控室に戻る所でアイドル死神さんにリングに残れと言われたので残って2人で会話をする事になった
「じゃあ余裕はあった訳だ?」
「うーん、余裕があったかと言われたらちょっと微妙な所ですね。あ、ここで手を抜いたら確実に負けるって場面では手を抜かなかったから負けなかった……みたいな?」
攻撃を喰らう場面でも軽減を意識した行動を取っていたから蓄積も少なくて済んだし、多分その差が僕とランペイジの勝敗を分けた所じゃないだろうか
「とりあえずファイトクラブの方針はもう少し健全な、戦闘じゃなくて試合が見れるように調整したら良いかなって思います」
「オッケー!こっちでもそういう風に調整するよ。正直金的はあんまりよろしくないからねぇ……」
あれがバンバン使って良い技だと言われたら男の参加者自体が減るだろう。ある程度調整をすればバランス良く参加してもらえるんじゃないだろうか?
「ハチ君のお陰でファイトクラブがより良くなりそうだよ」
「これでより健全なエネルギーが集まれば死神さん達にとっても利益になるんじゃないでしょうか」
「いやぁ代行。分かってるねぇ?やっぱり君はとても良い。だから色んなのが引き寄せられるんだろうねぇ?」
どことなくそこらへんを見るアイドル死神さん。え?もしかしてまた何か僕見られてるの?