ラストマッチ
「エイト!ナイン!テン!ウィナー!マスクドホワイト&マスクドブラック!」
マッスルなドッキングを喰らってそのまま気絶したのか10カウントを迎えた。まぁ、見栄えは凄い技ではあるよなぁ……あれ?もしかして僕でも【ジェミニ】を使えば一人でドッキングを出せるんじゃないか?
「うぉぉぉ!なんだあの技!?」
「あんなの初めて見た!」
「すげぇ……芸術的!生きてて良かった!」
いや、死んでるじゃん……
「「……」」
勝利した2人は空に拳を突き立てる。2人とも良くやってくれた
「よくやった。マスクドホワイト、マスクドブラック。あとで褒美を出そう」
「「……!」」
追加のペロペロキャンディが貰える事と単純に勝てた事が嬉しいんだろう。これで僕が出られる所まで持ち込めたから2人の良い仕事には応えてあげないとなぁ……
「まさか……あの2人があんなにあっさりやられるなんて……」
「「嘘だろ……」」
ランペイジは勿論の事、ドギーラとエイピーの2人も唖然としている。まぁ、負けはあるにしてもあんな負け方だしなぁ?ここはプロレスって言うよりコロシアム的な戦闘だろうからあそこまで魅せる技って言うのも少ないだろう。だからこそ合体技というエンターテインメント要素の強い技には皆惹かれる。D・M・D・Kもマッスルインセクトドッキングも……前者は同じような技を使う仲の悪い者同士が強者に勝つ為に手を取って放った必殺技で、後者はコンビネーションが完璧な2人による魅せる技。会場もこれでかなり盛り上がっているだろう。全てを決めるラストマッチもすぐそこだ。最後の試合をどれだけ盛り上がらせて、どうやって終わらせるか。これはかなり慎重に動かないとマズいかもしれないぞ?
「うわぁ……どうしようこれ」
「ん?負けるのではないんですか?」
「いや、そう思ってたんだけどさ?これは僕達が勝って少しエンタメ向けの感じにした方が良いんじゃないかと思ってね……金的とか目潰しを率先して狙う様な環境じゃなくて、それこそチョップの張り合いでどっちが先に音を上げるかみたいな物の方が観客としては盛り上がるかなぁって」
一応勝てば僕達がここを頂くみたいな事を言ったので、ファイトクラブのあり方みたいな物を矯正出来るかもしれない。それを考えたらこの勝負を向こうが勝って防衛出来て良かったねで終わらせるのはどうなのかとちょっと思ってきた
「確かに勝てば良いという感覚で先程の2人は戦っていましたね。ハチさんの言うエンターテインメントとは程遠いかと思います」
「だったらだったら勝っちゃえばいいじゃん!それでここも弟子の物にしちゃって気に食わない所は直しちゃえば?」
「やっぱりそうなりますよねぇ……」
可能な限り魅せる戦いをしてあのランペイジことゴーストヴァルキリエさんに勝つ方向で頑張ってみるか
「とりあえず生々しいガチの戦闘じゃなくて、興行としての戦闘という物を見せてあげないとですね」
今回はランペイジ以外にも選手が見ている。そう考えると他の選手も興行としての戦闘が出来るようにもっと色々見せないとダメだろう
「よし、じゃあちょっとだけ精神統一してくるから時間になったら教えて」
またリングの掃除とか色々やるから休憩時間という事になり、大道芸人達や今度は食べ物の売り子みたいな人達も入って来ていた。僕は控室をもう一つ借してもらい、そこで精神統一という体でどう戦うのか作戦を練る事にした
「…………」
あのゴーストヴァルキリエさんは確実に前回よりも強くなっている。それを考えると前回みたいな恥ずかし固めはまず無理だろう。だったらどうやって魅せるか……そもそも相手だって前回の屈辱を覚えているだろうし、仕返しをしようと僕に恥ずかし固めを狙ってくる可能性もある。最初から武器を使ってくる事も充分に考えられる。いつもならその場のノリで戦闘する事もあるけど、今回は意外と制約があるし、ちょっと気を付けないといけない。どうやって攻略するのが良いのかな?
「大分集中している様なので邪魔しないようにしましょう」
「はいはーい」
「「……」」
飯綱さんは本当に気が利くなぁ……これだけ優秀な人が秘書みたいに働いてくれているのならウカタマの方も安心だな。本当に後ろに居る皆の事を考えると負けるのなんか馬鹿らしいな?
「よし!頑張ってみるか!」
頬を叩いて気合いを入れ直す。出来るだけ禁じ手にならないような攻撃を心がけよう
「さァ!皆様ァ!いよいよ、いよいよ最後の……ラストマッチです!」
会場の照明が落とされて、リングの上に司会がマイクを持ちながら現れた。めっちゃプレッシャー掛けて来るじゃん?
「まずは赤コーナーァ!ファイトクラブのチャンピオン!彼女を止められる奴は果たして居るのかァ!ランペェェェジ!ゴォォォストッヴァルキリエェェェ!」
赤コーナーから出てきたゴーストヴァルキリエさん。堂々たる歩みでリングまで進んでくる
「そして青コーナーァ!リベンジ成功なるのかぁ!?マァァァスクドッV!」
とりあえず僕も堂々と歩いて行くか




