ちょっと練習
ログアウトしてから丸1日アルターのプレイを控えた。宴会をするっていうんで途中で準備を見ちゃうのも悪いかな?と思って1日プレイしないと決めたから今までゲームをしていた分を全部課題をやる時間に当てた。お陰で課題がかなり進んでこれだといつものペースでやればイベントが終わるくらいには出された課題も終わらせる事が出来そうだ
「あっ、そうだ。オーブさんの所に行ってから皆の所に行こう」
オーブさんの所でちょっと練習してみたい事もあるし、丁度良い
「こんちわー!」
「あっ、ハチ様、いらっしゃいませ」
オーブさんは何か作業していたようでウィンドウを消してこっちに向き直った気がした。正直光の玉だからどこを向いているのかは分からないけどね?
「オーブさん?ここって練習場ですよね?敵を出したり、障害物を出したりもできるんですか?」
「もちろんです!お任せください!設定はどうしますか?」
ふわふわ浮いていたオーブさんがキビキビと動く。なんだろう……初めて練習モードをまともに使ったのがそんなに嬉しかったのかな?
「そうだなぁ、まずは適当で良いから街みたいな障害物出して欲しいかな?」
今まで森とか山だったし、街っぽい所での移動がどのくらい出来るかとか知りたい
「街ですか?お安い御用ですよ。10秒程待ってください」
オーブさんがそういうと白い空間にグリッド状の線が沢山出てきた。そしてその線に区切られた場所がせり上がったり、沈んだりして街っぽい場所になった
「こちらでどうでしょう?」
「オーブさん……100点!完璧だよ!こういうの助かるなぁ……」
「そうでしょう?どうぞ、存分に動いてみてください。アクティブスキルや魔法等はここで使用してもMPを消費しませんし、リキャストがあるスキルもここでは使用感の確認等がしやすい様に現在はリキャストを0秒に設定してあります」
「まさに練習用だね、よし!」
まずはせっかく作ってもらったんだからこの白い街並みの壁に向かって走る
「ほっ、ほっ、よっと!」
狭い路地の様な場所の壁を蹴りながら屋根の上に上がる。ほうほう?案外簡単に出来るな?
「中々の身体能力ですね?こんなのとかどうです?」
オーブさんが僕について来ていて、現在居る屋上より更に高い障害物を作りだしたと思ったらその障害物の側面からポールの様な物がニュッと生え、結構離れた位置に今居る高さと同じくらいの高さの小さな足場が出現した
「雲梯的な感じかな?」
ポールとポールの間は2mくらい離れているから普通だと絶対無理だけど
「【リインフォース】!」
身体能力を向上させてポールにぶら下がる。片手だけでぶら下がっても懸垂出来そうなくらい余裕だ。反動をつけて次のポールに飛び移る。ガッチリとポールを掴んで次のポールへ、と繰り返しながら足場へ飛び乗る。そして着地
「うん、良いね!きっちり動ける!」
イドとエゴを装備した状態で動き回ったけど全くズレないし、ポールとかもしっかり掴めるから何も問題無い
「オーブさん?何か障害物コース的なの作ったり出来ます?」
「障害物コースですか?分かりました」
街風の障害物が一度平面に戻り、直線のコースを形成した
「今までのハチ様の能力を鑑みて、難易度は最強にしてあります」
「それはオーブさん的に最強なのが僕にあっているって事?」
「はい、決してクリア出来ない事は無いと思います」
ふむふむ……とりあえずやってみようか
「オッケー、いつでも良いよ!」
「では……3、2、1、スタート!」
オーブさんのカウントダウンに合わせて走り出す。すると急に地面が観音開きの様にパカッと開いた
「うわっ!」
パカッと開いた事で体勢を崩して前のめりに倒れた事で右手が地面に付いた状態で地面が開いた。ここで初めて知る事になったが、手と足のうち2か所が付いていれば【登攀】が発動して壁に張り付く事が出来る事が分かった。お陰で開始一歩目で急に開いた地面にくっ付いた状態で何とか即リタイアとはならなかった
「これひょっとして……」
片手を壁に付けて歩き出す。うん、歩けるね?
「中々凄い事してますね……」
「いきなり地面を開けてくるのだって中々酷くない?」
そんな事を言いながらも先に進む。壁がせり出し、天井がせり出し、床がせり出しと真っ直ぐ走る事を許さないと言わんばかりの妨害だ。でもせり出してくるパターンは単純だ
「ここで滑り込んでジャンプして壁蹴ってスライディング!」
上からせり出す障害物を避ける為にスライディングして、下から出てくる障害物とその先の右からせり出す障害物を避ける為に左の壁に向かってジャンプ。左足で壁を蹴って上から迫る障害物を避けながらスライディングしてせり出しゾーンを抜ける
「おぉ!凄いですね!」
「で、さっきのポールか!」
間隔が遠いポールを掴んで前に進む。途中ポール自体が左右に動いたりしてたけど面倒になったのでポールから次のポールに飛び移る時、少し高めに飛んで、ポールの上に立ち、脚力に物を言わせて動くポールを跳びこす
「あぁ……私のいじわるポイントがぁ~」
「ゴール!」
オーブさんの残念そうな声が聞こえたけどもうゴールしちゃったもんね!
最強難易度とか言ってたけどコース自体がそこまで長くなかったのでトラップらしいトラップは3つしか無かった
「12秒38 当然最速タイムですね」
「当然なんだ……」
「だって誰もやってませんし……」
「「……」」
気まずい雰囲気になってしまったが、とにかくゴール出来たし、イドとエゴのスキルをチェックしよう