ファイトクラブ・リベンジ
「なんなら今から行ってみますか?」
「冥界に?流石にそれは遠慮しておくかな……」
「いやいや、気楽に生死の境を越えないで欲しいかな」
まぁ生死の境を越えた事については偶然の賜物って言うべきなのかも
「じゃあ僕はちょっと確認に行ってきます。あっちのファイトクラブが盛り上がると冥界もエネルギー不足にならなくなって良いらしいので久しぶりに出場しようかな?」
今回は前みたいに負けるのではなくしっかり勝ちたい所だ
「ついて行ってもよろしいでしょうか?」
「飯綱が良いのであれば構わないが……ハチ、無事に帰って来れるんだろうな?」
「2回くらい行ってますし、向こうからちょっと盛り上げる為に人を試しにつれて来てくれないかと言われてるんですよね。あ、別にあの世に引き摺り込むとかじゃなくてあくまで向こうの精神エネルギー?みたいな物の活性化の為っていう」
そういえば活性化の為にもあの門はプレイヤー達にも開放しなきゃいけないんだった。前に島の中央は工事中とか何とか言って止めたままだったな……そろそろ行っても良いようにしようかな?
「あの世の活性化か……」
なんか神妙な雰囲気のウカタマ。もしかしてゴースト系と相性が悪いとか?
「問題は無いんだな?」
「無いですね。一応僕も死神の仕事の手伝いとかもたまにするのでそれで問題があったらマズいでしょう?」
「え?え?死神の手伝いって何をしてるの?」
「本当にたまにですけど、彷徨って冥界に行けない魂を導くのがお手伝いですね。中々ないですけど」
「本当にそういう手伝いをしているんだな……」
「2人ともそれ食べてゆっくりしたり、気になる所を見て回って来ても良いよ。僕はその間に用事を済ませてくるから。ついてくるのは飯綱さんだけかな?」
「私も私も、安全って言うのなら今後の研究に役立つかもしれないから一緒についてく」
一緒についてくるのは飯綱さんとモルガ師匠の2人か。それじゃあ2人を連れて行ってみよう
「「……」」
「ん?もしかして2人も来たいの?」
ペロペロキャンディをどこかに仕舞ったのか、白武と黒武の2人がついて行くと言わんばかりにお辞儀をしていたので聞いてみたら頷いた。じゃあ4人で行こうか
「それじゃあウカタマ。ちょっと行ってくるね」
「あぁ、気を付けてな」
ウカタマは残るみたいなので5人で冥界の門に向かう
「ハチさん、凄い見られてましたね?」
「多分僕じゃなくてお二人と白武と黒武が見られてたと思うんですけどね」
僕の後ろを歩いて付いてくる狐巫女の飯綱さんと魔女帽子と群青色のローブを着たモルガ師匠。それに僕のサイドを固める白武と黒武……そりゃあ見られない訳が無いだろう
「まぁ見られたとしても別に……あの門は他の人にも開放予定なので追いかけてくるならそれでも良いかなって。まぁ島の中央に行っても良いとはまだ言ってないんでそこまでは追いかけてこないと思いますけど。さ、行きましょうか」
冥界の門の前まで行くとゆっくりと門が開き、冥界への道が現れる
「中々、迫力がありますね……」
「ねぇねぇ、本当に大丈夫なんだよね?」
「多分そこまで心配しなくても大丈夫ですよ……おっ?」
何となくワープみたいな感覚が体を包む
「ようこそー」
「……もしかして死神さんですか?」
大鎌のブローチを付けた少しボロボロスカートを着たアイドル系の人が出迎えてきた。大鎌モチーフの物を身に着けているし、この人も死神なんじゃないか?
「そうだよー!今後は現世からのお客さんが来る事になるだろうし、お出迎えから楽しんでもらえる様にって思ってねー。君はハチ君だよね?」
なるほど、まぁそもそもこの門を通ろうとする人が少ないだろうし、口コミで来てくれる人を増やそうという考えか
「はい、そうです。わざわざ門を建ててもらったのにまだ人を通してないからちょっと良くないですよね。これからは人が来るように封鎖を解除しようと思ってるからもう少しだけ待ってくれます?」
「分かったよー!」
良かった。これで約束と違うとか言われたらちょっと怖かった
「そうそう、今日は久しぶりにファイトクラブに出ようと思ってきたんですけど、参加って出来ます?」
「おぉ!そういうのを待ってたんだよ!実は前に戦ってくれた時からあの辱めからの敵の技を奪って逆転勝利!っていうのが中々ウケが良くてねぇ?たまにそういうのを再現しようとする奴は居るんだけど中々上手く行かなくてねぇ……」
という事はまた何かプロレスをする事を要求されているのかな?
「じゃあここに丁度5人居るのでそっちも5人用意して5対5とかどうです?1対1を1本、2対2を2本とか……」
「さっすが!それは面白そう!早速セッティングを……」
「あ、ちょっと待って下さい。それなら……」
死神さんに耳打ちしてこれからやりたい事を伝える
「なるほど!それ採用です!これは面白くなりそう!」
5人居るのなら3本勝負で丁度良いんじゃ無いかな?
「あ、皆?これからちょっとヒールになってもらうよ?」