ファイターお誘い?
「もう一つの方は別の日でも良いかな?材料をまだ集めてないから」
「「……」」
コクコクと頷く白武と黒武。蜂蜜たっぷりと言われているのでまたあの森で蜂蜜を採ってこよう
「ハチ、これを量産は出来るのか?」
「量産……まぁウカタマが持ってきてくれた材料だからさっきの作り方通りに作れば量産出来るんじゃないかな?」
「ふむふむ……飯綱、出来そうか」
「しっかりと、目に、焼き付けて、いますので、再現は可能かと」
ペロペロキャンディを舐めながら聞くウカタマと答えながら舐める飯綱さん。もしかしてこの前みたいに失われた調理法とか何とかじゃないよね?
「正直水あめだけでも収穫としては充分過ぎるくらいです。ハチさん、私達の国で飴を作ってもよろしいでしょうか?」
「良いんじゃない?別に悪い事じゃないと思うし」
飴を作って何が悪いのかっていう話だけど
「これなら御稲の国で新しい名産品として作る事も出来そうなのでハチさんに許可を貰うべきかと」
「なるほどね。海路が開いて海の向こう側ともフォーシアスが貿易を再開出来そうみたいな事言ってたし、販売出来る物が多い方が良いでしょ。売っちゃえ売っちゃえ」
僕が個人的に食べる分ならウカタマ達も素材をくれるだろうし、新しく売れる可能性がある物は売れば良い。それで関係性が更に良好になるのならこのくらい教えるのは構わない
「御稲の国が盛り上がってくれれば皆が幸せになるでしょ?」
「今後はハチの島にも色々持って来るぞ!」
「御稲の国にもいつでも来てください。ハチさんならいつでも歓迎しますよ」
御稲の国の2人ともとても喜んでいる
「うんうん、弟子が太っ腹で師匠としても鼻が高いよー」
「僕は色々あって個人的な商売とかはしないけど、国を運営する友達の為にお金を得る機会を与える事が出来るなら喜んで作り方を教えるよ。これでこれからも色々と交流してくれると嬉しいな」
僕達が居る空島は自己完結出来ているから特殊なのであって、他の所は国を維持する為に食べ物や着る物などで金が掛かる。それの手助けが出来るとなれば好都合だ
「もちろんです。ハチさんには国を救ってもらい、立て直しも手伝っていただいた様な物ですからこれからもお付き合いさせていただけるとこちらとしても嬉しく思います。しっ」
「こ、今後とも頼むなぁ?」
恭しくお辞儀をする飯綱さん。一瞬見逃しちゃうようなローキックが隣のウカタマに放たれていたが……まぁいつもの事なのだろう。ただ、神に対してローキックって……ウカタマの威厳なんて欠片もないぞ?
「飯綱さん? 一応は神様なんですからローは……」
「本当は私もこんな事は出来ればしたくないのですが、最近こちらでこっそり私を置いてお茶会に参加してたりするんですよ?」
お茶会っていうと教会の皆とお茶してるのかな?
「あぁ、それはロー入れても仕方がないですね。飯綱さんを置いて行くウカタマが悪い。飯綱さんだってそりゃあお茶会の1つや2つ出たいでしょうに」
「ほら見てください!これですよこれ!従者への労り!」
「いや、だって飯綱の方が資料纏めたりするの上手いじゃろ? 稲生やすのは得意だけど書類仕事は得意じゃないから……」
適材適所って言葉はあるけどここで喧嘩になるとあまり良くない。やんわりと仲裁しようか
「まぁまぁ、2人とも一旦クールダウンしよう。要するにウカタマは自分が苦手な書類仕事をしても邪魔になる可能性があるから資料を纏めるのが凄く上手い飯綱さんに任せて、自分は稲を生やす方に専念してるんだよね?」
「そうそうそうそうそう!」
削岩機でも使ってるのかって思う位の肯定の頷き。あと僕を盾にするのはやめてね?
「で、飯綱さんはウカタマの神様としての威厳を保たせる為とか、国をより住みやすくする為に尽力してくれてる! 違う?」
「はい。我々は御稲の国の為に常日頃から努力しています」
ちょっと鼻が高そうにふふんと笑う飯綱さん
「じゃあ喧嘩しないで頑張らないと! こっちの島は好きに来ても良いから僕が島に居る時だったら相談くらいなら乗るよ? そもそも、もう友達なんだからそんな畏まらなくて良いんだよ。僕的にはさっきみたいに畏まられた方が距離を置かれてる気がしてちょっと悲しいかなぁ……こっちに居る時はもっとバシバシやっちゃっても問題ないよ飯綱さん!」
「えっ!?」
ポカーンと口を開けるウカタマを尻目に飯綱さんをしっかり見る。だってあのくらいの蹴りだったら多分何の問題もないでしょ?
「時には激しくぶつかる事だって必要だろう! ここは飯綱さんのストレス発散をしても良い場所だよ!」
「ちょ、ちょちょちょ待ってハチ?」
「自分達の国じゃ上下関係があるかもだけど、こっちの島に来たら対等な僕の友達2人だ。その2人がじゃれ合う位問題無いよ!」
「良いんですか!?」
「良いんです!」
「良くないよ!?」
まぁたまにストレス解消はしてたと思うけど、こっちでご飯を食べるとか、暴れる……じゃれ合うくらいは問題無い。それに……
「もし、どうしてもストレスが溜まってしまって発散したいって思ったら多分もう見てると思うけど、あの冥界の門を通った先にある冥界ファイトクラブって戦う所があるからそこで戦うか観戦してストレスを発散って手もあるよ?」
「「「……」」」
おっと?どうした?
「ちょいちょい、ハチ君? 今冥界の門って言った?」
「はい、言いましたけど」
「あれ気になってはいたが、通って大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。死神さん達ともある意味仕事仲間?みたいな関係なので」
「ねぇねぇ、うちの弟子どうなってるの?」
「いや、そんな事聞かれても……」
「規格外としか言えないんじゃないでしょうか?」
モルガ師匠も会話に入って来てさっきの争いの雰囲気が無くなったぞ? やったね。仲裁成功だ!
「ハチ君ハチ君、ちゃんと丁寧にお話してくれるかな?」
余計な事言ったかなぁ?