ペロペロキャンディ
「えっと、これで水あめは出来たけど……とりあえずこのくらいかな?」
間違ってはいけないのは水あめを作ったから終わり。では無く、これからペロペロキャンディを作る為の素材が出来たという段階だ。ここで全部食べられたら非常に困るのでペロペロキャンディ分の水あめを確保してかなければならない。出来上がった瞬間に周りの、特にモルガ師匠辺りに取られない様に先手を打つ
「これは元々白武と黒武の2人の為に作る物の材料でこっちのは皆が食べても良い奴、こっちはペロペロキャンディに使う物だから食べたらダメな奴ね?」
食べても良い方、悪い方と先に伝えておく。これで僕がペロペロキャンディを作っている間でも暇を持て余さないで済むだろう
「うひょ~水あめ~!甘露ォ!」
「自然の甘味が詰まってますね。水あめも作れるとは流石です」
「これこれ~!この甘味♪」
3人とも出来上がった水あめに棒を絡めて食べている。その横で白武と黒武が見ているだけという……
「それも食べていいよ?元々は2人が頑張ってくれたお礼として作ってるんだから。これからペロペロキャンディを作るけどそれを作る間に食べると良いよ」
とりあえず2人にも水あめを食べても良いと伝えたけど……そういえばペロペロキャンディ用の着色料の事何も考えてなかったな。この城のキッチンにあるかな?
「おっ、色々着色料あるじゃん!良かった。これでちゃんとした物が作れる」
キッチンを探してみると結構色んな色の着色料がある。まぁ欲しかったのは白い着色料と赤い着色料だったのでこれを使って飴に色を付ければ良い感じのペロペロキャンディになるだろう
「よーし!それじゃあ作っちゃおうか」
水あめ、砂糖、水を合わせてしっかりとかき混ぜる。これを火にかける前にしっかりやらなきゃいけない事だ
「次は何をすればよろしいでしょうか?」
「これは慎重にやらないといけないから僕がやらないといけないし、見てるだけで良いよ」
火にかけている間に混ぜると固まらなくなってしまうらしいので焦げない様に温度に注意しなければならない。やっている様子を見ていたらかき混ぜなくて良いのかと焦ってしまうかもしれないし、これはちょっと任せるのは難しい
「大体135度くらいを目安だったな。ゆっくり火力を上げて……」
鍋の中が段々ぐつぐつと音を立てて泡立っていく。これはなにも知らなかったら焦げない様にかき混ぜようとしちゃうなぁ
「よし、このくらいか」
鍋の温度がだいたい135度程度になるまで温めたら今度はその飴の素を2つに分ける。少し冷ましながら半分に分けて今度は着色料で色を付けていく。白と赤を混ぜてピンクにした飴の素とそのまま白を使った飴の素の2つだ
「よし!これでほとんど完成だ!」
少し冷ました事で粘性が出てきて粘土の様に形を変えられる様になった。ここまで来たらもう完成した様なものだ
「あとはしっかりとこれを伸ばして……」
「「「おぉ~」」」
見られて恥ずかしいとか言っていたら飴が完全に固まってしまうので気にしないで2色の棒状に伸ばした飴をねじり合わせていく。あとはこのねじり合わせた飴をうずまき状に纏めて最後に棒を刺せばペロペロキャンディの完成だ!
『ペロペロキャンディ 空腹度回復+15% 甘くて疲労回復にオススメ。ペロペロとは言うけど最終的には齧って食べちゃう人多数』
説明文ェ……
「はい、ペロペロキャンディ2人分お待ち!」
「「……!」」
かなり長めに棒状にしたので半分にして2人分のペロペロキャンディにした。なんか喜んでるみたいだし、これは結構面白いかもしれない。飴細工ってこういう物をもっともっと細かくした物って感じかな?喜んでもらえるってそれだけで物を作るモチベーションになる
「飴だから今食べても良いし、後で食べても良いからね?残った材料も急いで使わないと固まっちゃうから……」
「「「じー」」」
「あの3人の分も作らないといけないからさ?」
目だけで「え?それ勿論自分達にも作ってくれるんだよね?」と言わんばかりの3人の分も残った材料で作る為にまだ固まっていない飴の素を急いでこねる。3人の分は白武と黒武の2人の物より小さくても良いだろう
「はい、3人分完成!」
「「「いただきまーす」」」
出来上がった小さいペロペロキャンディを3人に渡す
「「「うまぁ~」」」
美味しそうに食べるなぁ……
「最後にちょっとだけ残ったこれが僕の取り分だ」
最後に残った飴の素はちょっとした飴細工の練習として使ってみよう
「まぁ一番簡単そうな花かな」
飴を切り分けて楕円状にして少しずつ大きくする。この楕円を小さい順に大きい楕円でずらしながら包んでいくと花の形になっていく。これはさっきのペロペロキャンディと違って完成してから棒に刺すよりも棒の先にペタペタと貼り合わせていく方が綺麗に作れるし、飴の量が少なくてもある程度形にはなるから今の状況にはピッタリだ
「ほう?同じ飴でもこうも変わるか」
「綺麗な花ですね」
「うんうん、弟子が何でも出来ると師匠も鼻が高いよ~」
「褒めてもこれは僕の分なんであげませんよ?モルガ師匠」
「いやいや、流石にそこまではしない……よ」
なんか間があったなぁ?