水あめ作り
「ハチ、いやハチさん。これだけ貢献してくれたんだ。これは礼をしなければならない。この飛行船が完成したら是非とも乗ってくれ。なんなら完成した時に招待状でも出そうか?」
「招待状……僕に届くんでしょうか?」
乗せてもらえるのならありがたいけど招待状を送ると言われても常に動いている僕の所に招待状を届ける事は出来るんだろうか?
「それに関しては心配しなくてもコイツがハチさんの所まで飛んで行くぜ」
「えっと……鷹ですか?」
おじさんの肩に鷹が肩に止まった。この子が伝書鳩みたいに僕に招待状を届けるという事だろうか
「こいつはメルロ。怪我をしていたから治療してやったら懐いちまってな。よく遠くの奴との連絡を頼んでいるんだ」
「ピョーー!(よろしく!)」
「よろしく、僕の所まで飛んで来るのなら結構危険な所に行ってるかもしれないから気を付けてね」
「ピョ!?(なにっ!?)」
鷹のメルロが喋っている言葉が分かる。友好的だと分かるのかな?
「なんだ?ハチさんは動物とも喋れるのか?」
「まぁ少しだけ……」
「こいつぁすげぇ!動物とも話せるとは……それじゃあメルロもすんなりハチさんの所に飛んでいけるな?」
「ピョー!(行ける!)」
とりあえずメルロが招待状を持ってきてくれるらしいけど、招待されて行ける状態だと良いな?これから海底火山に行く予定があるし、メルロが来れない可能性もある
「色々見せてもらいましたし、そろそろ帰ります。飛行船造り頑張ってください」
「もう行っちまうんだな……分かった。ハチさんも頑張れよ!」
「お元気でー!」
とりあえずこれで飛行船の建造をする時間もかなり短縮されるだろう。飛行船が出来たらどうなるか楽しみだなぁ?
「さて、一旦島に帰りますか」
もう少し先を見ても良いけど白武と黒武の2人の為にパンケーキとペロペロキャンディを作る為の素材を集めなくてはならない。まずは飴の作り方を調べる為にも一度島に戻ってから落ちてネットで作り方とかを調べよう
「ほぉ、へぇ?ふーん……」
ペロペロキャンディの作り方……と言うべきかそもそもの飴の作り方を見てみると、ほぼ絶対に出てくるのは水あめ。まずはこれを作らなくてはいけない。砂糖と水でべっこう飴を作るのは簡単だが、ペロペロキャンディとなるとそれじゃあ味気無い。本格的に水あめから作ろうじゃないか
「もち米のお粥と乾燥させた麦芽か、発芽した大麦を煮出して発酵させて作られた麦芽糖を濃縮したものを一緒に煮て不純物を取り除いて煮詰めると水あめになるのかな?」
説明を見る限りそういう感じで作れそうだ。乾燥麦芽の入手は難しそうだなぁ……
「うーん、飴を作るならドンドン冷えていくだろうし、温めておく環境とかもあると良い……かも?」
飴を作る時に常温だとどんどん冷えて固まっていくのでその辺を何とかする用意も無いとハイスピード飴作りアクションを要求される。まぁ、飴細工をする訳でもないからそれは別に用意しなくても良いかな?
「まずは素材の入手か」
蜂蜜たっぷりパンケーキの素材とペロペロキャンディの素材。この2つを入手するには他の人の協力は不可欠。パンケーキ側の素材はホフマンさんに頼めば多分何とかなるだろう。乾燥麦芽とか発芽した大麦の入手は……どうだろう?思い当たるのは1体……というか1柱だけ居る
「おっ、居た居た。ウカタマー!もち米と乾燥した麦芽か、発芽した大麦出してー」
「どうしたんだいハチ君~?そんなものを頼むなんて~?」
喋り方ムカつくぅ
「割と真面目な話で白武と黒武が頑張ってくれてるから労いの為に何か作ってあげるって言ったら蜂蜜たっぷりのパンケーキとペロペロキャンディを食べたいって言ったからその材料として水あめの素材が欲しいんだ。だから協力してくれない?もちろん……」
「水あめ!久しぶりに食べたくなってきたぞ!良いだろう協力しよう!報酬は水あめだ!」
報酬さえあればウカタマは協力してくれるだろう。水あめ作りは城の中のキッチンでしようかな?
「さてそれじゃあ……」
「水あめ作りを始めるのだ!」
「「……」」
「邪魔してはいけませんよ?ウカタマ様、白武、黒武」
なんか……人数増えてない?
「あの、飯綱さん?どうしてここに?」
他3人を纏める様に何か割烹着を着て僕の手伝う気満々の飯綱さん。言い方は悪いけど呼んだ覚えは無いんだけど……というかなんで白武と黒武の2人も空島に居るの?
「一方的に押しかけてしまってすみません。実はウカタマ様の社をこの空島に建てた事で御稲の国とこの島との道が生まれたのです」
まぁ、ウカタマが勝手に社を建てただけだけど
「そして私も社を通じてこの島に来たのですが、この島の住人にも話を聞いた所島の持ち主はハチさんだと言うので、白武と黒武を御稲の国に置いておくよりも自分の主が居るこちらの島に連れてきた方が良いと思った次第です。2人とも禊は既に終えています。ここから先は自分の意思で決めるべきだと2人を連れて参りました。なので水あめ作りの手伝いはあくまでついでにございます」
いやぁ、狐の尻尾がぶんぶん振られているし、絶対ついでじゃないよなぁ……水あめって意外と狐人達も好きな物だったりするのかな?
「分かりました。ではお手伝い頼んでも良いですか?」
想定よりも水あめの量を増やした方が良いかもなぁ……