カーボンウッド納品
「流石に30秒でどうこう出来ないよなぁ……」
【レスト】や【バインドハンド】を使用する事も考えたが、相手は6体は居る。6方向から火のブレスとか撃たれたら流石に生き残れないかもしれない。何とかあのサラマンダー達の注意を引き付けられれば……ん?そうだ!注意を引き付けられるじゃん!
「【イリュジオ】」
僕の幻影を出し、準備する。行くぞぉ?
「そりゃ!」
魔硬貨をサラマンダーに投げつけて念の為岩場用のギリーマントを被って伏せる。それと同時に幻影の僕を山の頂上に向かって走らせる。頂上では無く、森の方に走ってしまうと他の人に被害が被る可能性もあるだろう。幻影だから別に山道を走っても速度が遅くなったりはしないだろうからサラマンダー達が戻って来るまでの時間は流石に30秒以上はあると思う。その間にカーボンウッドの入手を試してみよう
「お、ついて行ったな。今のうちだ」
しっかりと僕の幻影を追いかけて山を登って行くサラマンダー達を尻目に青く燃える木に近寄る。急いで採取だ!
「うぉぉぉ急げぇ!あっち!あっち!」
糸鋸でまずは枝を入手出来るかやってみる。葉っぱがパラパラ落ちてきて結構熱いからまずは枝を1つだけ入手出来たら撤退しよう
『カーボンウッド ×1 を入手』
一応枝でも木材になってくれるみたいだ。これはありがたいが……燃える葉のダメージが意外と馬鹿にならない。これ入手するのめちゃくちゃ難しいぞ……
「数を揃えるのなら木こり用の斧で速攻を掛けるのが一番か?」
根元から斧で切り倒すのが一番だろうけど、絶対に上から炎が降ってくるから例えサラマンダーを倒したとしても素材入手にはもう一工夫が必要になる訳か
「これはもう使っちゃいますか【アビスフォーム】」
木を切り倒せるレベルの破壊力を持っていて、上から降ってくる火の葉を何とか出来る物を考えると【アビスフォーム】の触手を斬撃付与しながら木を切り倒して深淵触手で火の葉を吹き飛ばすのが一番だろう
「はぁっ!」
物は試しと、アイリスさんがやっていた居合の様に触手で木に一閃。木の半分以上まで切れてバキバキと音を立てながら倒れてきた
「あっぶなっ!」
ボオォっと燃える葉が木と一緒に倒れて来るから恐ろしい。木の下敷きにならないように避けると倒れた木の火の葉が急速に消火していく。栄養の供給を断てば火も消えるのか……
『カーボンウッド ×25 を入手』
うん、1本採れるとかなりおいしいな?ただ、ここで全部の青く燃える木を伐採してしまったらさっき僕の幻影を追いかけて行ったサラマンダー達が戻ってきた時に餌を探して大変な事になるだろう。全部採るならさっきのサラマンダー達を全滅させないとマズい事になるだろう。一体ずつなら倒せない事も無いと思うが……ここはあと2本だけ木を伐採して撤退しよう。面倒事は可能な限り減らしたい
「よし!とりあえずこれだけ取れれば充分でしょ!」
全部で70個を超えるカーボンウッドを入手出来たのでフィフティシアに戻る事にする。無駄に戦闘をせずにまずはカーボンウッドをさっさと持ち帰る事にした。どのくらい必要になるのかは分からないけどとりあえずこれくらい持って行けばある程度さっきのおじさんと会話出来るかな?
「取るだけ取って逃げるのは楽で良いな」
船にするのにどれだけ必要なのか見当も付かないけど、これを持って行けば少しくらいは建造も進むだろう
「ん?おう、お弟子さんか。無事に帰ってきたみたいで何よりだ」
顔を覚え……いや、モルガンズ・カードとか仮面とか白ローブとかある意味印象に残る恰好をしているし、衛兵さんに覚えてもらっているなら今後問題が起こっても何かしらカバーしてくれるかもしれないな
「一応何とかなったので戻ってきました」
「ん?確かカーボンウッドを採りに行ったはずじゃ……あぁ、上手く逃げられたって事か」
「カーボンウッドを採って来れたので帰ってきました」
「まぁじかよ……モルガ様のお弟子さんってここまでやべぇのかよ……」
うーん、風評被害のような、そうでもないような……
「そうです。モルガ師匠に鍛えられたお陰でカーボンウッドを採ってくる事が出来ましたよ」
「モルガ様に鍛えられて……凄まじいな」
とりあえずこういう時はモルガ師匠のせいにしておこう
「街に戻っても良いですか?」
「あ、あぁもちろんだ。とにかく無事に帰って来てくれて良かったよ」
ここの衛兵さん結構優しいなぁ……なんか頼まれたら普通に受けちゃうかも
「あ、おじさーん」
「ん?さっきの奴か。どうした?」
「これ、70個くらい採って来たんですけど」
カーボンウッドを1つ取り出し見せる。うん、黒い木材って感じだけど中々堅い感触だ
「何!?それは本当か?」
「はい、とりあえずどうぞ」
柵の内側にカーボンウッドをインベントリから出す。積み上がると結構な量になるなぁ?
「ひい、ふう、みい……本当に70本以上採って来てやがる……お前、何者だ?」
「何者でしょうねぇ?とりあえずそれはあげます。船造り頑張ってください」
「待ってくれ!これだけ纏まった量を一気に納品出来る奴はまず居ねぇ……頼む!また採って来てくれないか?報酬は払う!」
『造船クエスト こだわりの飛行船 を開始しますか?』
実力を見せたからかクエスト始まったぞ?