図書館決闘
「えっと、因みに魔戦会のルールをどういう風に変えたの?」
「魔法で生みだした武器、魔法で自身の身体能力を上昇させての物理攻撃をありに変更してもらいました」
「へぇ~、話だけ聞いていれば僕でも一応参加出来そうにはなったかな?」
「今までは攻撃魔法一辺倒のマジナリア魔法学園でしたが、他の種類の魔法の重要性などをその身をもって体感していなければ分からない事だったのを分からせただけの話です。確かに攻撃魔法は極めれば1人で万の敵と戦う事も可能ですが、そんな大量の敵を倒せる人間が3人居たとしてもたった一人の奇襲に負ける。一対一の正面からの戦闘でも勝てないとなればあり方も変えるべきだと思いました」
つまり僕のせいという訳ですね?
「ハチさん、もう一度私と戦闘してくれませんか?」
「え?なんで?」
なんでルクレシアさんと戦う必要があるんだ……
「今の私がハチさんに通用するのかが知りたいんです。あの時は何も出来なかったのですから……」
「うーん、どうせ今から寝るだけのつもりだったし、やるなら1戦くらいだけど……何?魔法オンリーの戦闘?それともスキルとかアイテムありの何でもありの実戦?」
スキル無しだとかなり厳しいけど……魔法だけで戦えない事も無くは無いか?
「では、間を取ってスキルと魔法ありの戦闘でいかがでしょう?」
「オッケーそれで良いよ」
うん、悪いけどアイテムはどうでも良かった。ルクレシアさんなら可能な限り不利は無くそうとするだろうけど、僕に通用するか知りたいとか言ってたから多少の融通は通るだろうと思ってあえてあの言い方をしたけど、上手く誘導出来たな
「じゃあ今からやろうか」
「今からって……図書館で戦闘する気ですか?」
「僕は旅人だから別空間を呼び出して勝負が出来るんだよ。そこなら何も壊さないで済むし、誰にも見られない。それに死にそうな一撃でも死ぬ直前に命の保護が働いてオーバーキルするような一撃でも勝負に負けで済むから全力も出しやすいでしょ?」
「旅人には不思議な力があるとは言いますが、そんな力があるんですね?」
「本来は旅人同士で物事を決めたい時に使う物なんですけどね。旅人以外とも出来るって分かったんで今の実力がどれ程か……やってみますか」
「是非お願いします!」
意外とルクレシアさんって学んだ情報とか技術を活かしたい僕みたいな所があるかもしれない。そういう面で見ると意外と僕達って似た者同士なんだろうか
「じゃあ始めますよ?」
「いつでもどうぞ!」
『制限時間無し、HPが1になれば負け(デッドガード採用)、フィールド範囲限定(直径100m)、アイテム使用不可、アイテムやGの移動無し(戦績反映無し)』
前のルールと少し変えて魔法使いとしてルクレシアさんが全力を出せるようにフィールドサイズを大きくした。これで最初はルクレシアさんに有利な距離で、接近出来れば僕に有利な距離になる
『決闘開始!』
「【ファイアスプレッド】」
「おっと!」
開幕いきなりルクレシアさんが火の玉みたいな物を飛ばす。火の玉がある程度進んでから放射状に広がり、ルクレシアさんの姿が見えなくなる。距離が無いと広がらないし、拡散のタイミング的に中々扱いが難しい魔法みたいだな
「【スペルバリア】【マッドエリア】【モアグラビティ】」
一応耳を澄ましていたけど、炎の壁が消えた時にはルクレシアさんは周りにバリアと地面がドロドロに溶け、何となく魔法の名称的に重力が強化されてる気がする。最初から攻撃魔法を目くらましにして自分の防御を固めるか。固定砲台タイプは火力高いよな……
「へぇ?近接殺しだねぇ?」
バリアに足を取られるエリア、それに重力増加となれば接近が至難の業になると思う。しかも相手は攻撃してくるし
「ハチさんに近寄られたらおしまいですから。こうでもしないと勝てないと思いました」
確かに、接近出来なかったら攻撃出来ないから一方的に僕が攻撃を受け続けなければならない
「それじゃあどうやって突破しようかなぁ?」
「……っ!」
ゆっくり歩いてるだけなのに息を呑むルクレシアさん。こっちはまだどう突破するかの対策を考えてる段階なんだけどな……
「【プチファイア】【ウィンドカッター】」
「うおっ!大きくなった!?」
小さい炎の後ろからの風の刃が放たれたら炎を巻き込んで火炎の刃となって僕に向かってきた。これは奇襲性高いな……
「ハチさんを倒すのに大きな1撃に頼るのは不確実。低燃費で何発も波状攻撃をするべきでしょう」
「なんか対策練られてる……」
戦う事になるなら全力を尽くすのは分かるけど、なんか僕への対策がかなりガチガチになってる気がする。一応アイテム禁止だから魔硬貨を投げつけるのは良くないと思うけど、これはどう突破するべきか……あれ?そういえばさっき【スペルバリア】って言った?て事は接近したら攻撃じゃなくても魔法が弾かれるのか?本格的に突破法あるかなこれ……
「まぁ、その程度であれば何とかなるかな」
とりあえず困った時はハッタリで何とかしよう