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あの言葉のせい

「まぁこういう感じで」

「「歩くだけですね」」

 喋りながら本棚の裏に入って行き、【ジェミニ】を発動して分身体のみをそのまま歩かせて、僕はUターンして本棚の裏から出てくる


「!?」

「「どうしたんです?」」

 シャッフルするように分身体と立ち位置を入れ替わりながらルクレシアさんの所に歩いて行く


「……なるほど、これは騙される訳です。あの路地に入ったタイミングで分身と入れ替わったんですね。ハチさんが何か落としたみたいだったので不自然だとは思いましたが、まさかあの段階で既にバレていたとは……」

「なにかが飛んで追跡されてる気がしたから振り切る為にやったんだよねー」

「あれが察知出来たんですか?追跡用の魔法なので発生する魔力自体はかなり少ないはずですが……」

「察知出来なかったら回避出来てないでしょ?」

「ぐぬぬ……」

 オーラの感知は魔力感知とか生命感知とはまたちょっと違うんだろうな。じゃなきゃそんな魔法がすぐに見抜ける事無いと思うし【察気術】は偉大だなぁ……


「でも分身だけじゃ……分身も充分凄い事ですが、それだけじゃ追跡を躱す事は出来ないと思いますが……」

「それはまぁ簡単な事ですよ【擬態】」

 本棚にもたれ掛かり、【擬態】をして風景にとけ込む


「これは!……なるほど、分身と潜伏の合わせ技で追跡の目を回避していたんですか。あの路地に入った一瞬でこの合わせ技をされるのであれば追跡が失敗するのも納得です。追跡していた時に急に姿が消えたからこれはやられたなと」

 別に声を変えた訳じゃ無かったからあの時は分かってたけど見逃してもらえたって状態だったかもしれない


「結構追われる事があるから追手を撒く手段は色々考えてはいるんだよね」

「どうしてそんな逃亡者みたいな思考回路をしてるんですか?」

「そうだなぁ……まぁ簡単に言ってしまうとこっちから首を突っ込んで起こる事は自己責任だけど、巻き込まれるのはなんか面倒な事を押し付けられる可能性があるから嫌なんだよ。だから僕に主導権が無い巻き込みとか、連行されるとか無いように逃げ出してこっちから仕掛けられるタイミングでこっちから出向くっていう優位性が欲しいんだよ。助けてくれる仲間も居ないしね?」

 パーティを組まないで行動するっていうことは自由の代わりに何か突発性のイベントに巻き込まれた時に助けてもらえず、自分でどうにか乗り越えないといけなくなるから不利な状況でイベントに巻き込まれそうになった時に回避する方法を用意しておくのは大事だと思う。イベントとかクエストが始まるにしてもこっちが不利な状態で始まるのと、有利な状況で始まるのでは全然違う。あとは面倒そうなイベントの回避とかもね?


「それを言われると確かにハチさんを無理矢理連れて行こうかと考えていたのは良くない事だったかもしれません。学園に新しい風を持ち込んでくれたハチさんに褒美を取らせるべきと進言したら連れて来てくれと言われていましたが、ハチさんの意思を尊重します!」

 おっと?これはもしかしてなんか良いイベントスルーした感じか?いや、まだ判断するには早いか。褒美を与えるからのお叱りとかあるかもしれない。これはスルーで良いか


「それよりもあの街に居た時の周りに居た人達って友達?」

 友達だったらルクレシアさんにとっては一緒に街で買い物とかが出来る人があんなに居るんだったら良い事だと思うけど……


「あの人達は友達……というには少し違うかもしれません。単純にこの前に先生に掛け合って魔戦会で物理攻撃無しの所を魔法で作り出した物の物理攻撃ありにしてくださいと掛け合って変えてもらったんです。それのお陰で戦える様になった人がついてくるようになったというか……」

 え?舎弟か何か?


「因みに先生に掛け合ったってどういう風に……?」

 その先生に掛け合った結果、魔戦会のルールを変えるってなったら相当熱心に会話したのかなぁ


「ハチさんの言っていた話と図書館に侵入していた人達の話を聞いて、魔戦会の形もそろそろ変えるべきではないのかと実際に戦闘を通して説得しました」

「えぇ……」

 まさかの脳筋スタイルな方法だった


「この学園に来て、まず思ったのは攻撃魔法至上主義過ぎますね。魔戦会という物自体がそれを体現してます」

「ん?」

 なんだ?


「攻撃方法が攻撃魔法だけで物理攻撃は禁止。攻撃魔法があればどんな相手にも勝てると思っているから他の攻撃は必要ないとでも思っているんでしょう。だけど逆です。攻撃魔法しか出来ないんじゃどんなに優秀だろうと、僕は評価しないし、されない。むしろお荷物だと思ってます」

「あれ?」

 この言葉聞いたことがあるぞ?


「攻撃魔法の力は確かに凄いと思います」

「あっ」

 この言葉は……


「でもそれはエリアが限定された場所、人数や自分と同じくらいの力量を持ってる相手とか、整った環境下での話です。実戦で人や生き物相手に使うのに……」

 うん、間違いない。この言葉を言ったのは


「「そんな隙だらけじゃ死んじゃいますよ?」」

 これ、僕がルクレシアさんに言った奴だこれ


「この言葉を聞いてから、実際に目の前で攻撃を止められてから、魔法だけじゃダメだと色々な本や他の学園の生徒の剣術とかを見せてもらい魔法との融合を考えた結果を先生にぶつけたら倒せました」

 これ先生を1人倒した程度でルールが変わるとも思えないし、何人か実際に倒してルールを変えたんだろうか?だとしたら僕は相当ルクレシアさんに影響を与えてしまったのかもしれない



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― 新着の感想 ―
[一言] なんてことでしょう。 匠の技により、文学・魔法一辺倒だった少女が、立派な文武両道に。
[一言] 結構脳筋だったのねw
[一言] 図書館のヌシみたいな文学少女が魔法以外のインファイト的な手法とってくるとかギャップで何人かの男の心もノックアウトさせてそう。 悪魔をシスターにするような人だからね仕方ないね。
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