母校?へ
「そうかぁ……大儲けのチャンスだと思ったんだが」
「まぁチャンスでは無いかもしれませんが、良い物なら価値が分かる人が買うと思いますよ?」
宝剣が能力も無いただの煌びやかなだけの宝剣ならお金持ちの人とかがコレクションとして買うかもしれないし、能力がある宝剣なら冒険者が買うかもしれない。ニーズの違いだね
「情報ありがとう。ちょっと販売戦略を変えてみるよ。今なら他の奴らに差を付けられる!」
こうやってすぐに販売戦略を変える事が出来るのは凄いな。しかも他のお店に差を付ける気マンマンだ
「商売頑張ってください」
「あぁ!」
これでこのお店からなんとか離脱出来た。これだけグイグイ来るタイプの人達なら押しに弱くてお金持ってる学生だと買っちゃうかもしれないな……
「この街の商人は中々怖いな……下手に動いたらお金が無い状態で物を買わされて働かされるかも……」
ふらふら街を歩いていたらそこらへんのお店で何かを買わされて金が無いなら体で払ってもらおうか(労働)って言われるビジョンが何となく見える。ここはNOと言える日本人にならないとまずいな
「お客さぁん?」
「お客さん?」
「どうですかお客さーん?」
そう考えるとこの街は恐ろしいな……周りの人達皆が僕を借金地獄に落とそうとしている様に見える。やっぱり表は怖いなぁ……
「あれ?ハチさん?」
「む?」
後ろから声を掛けられたから振り向いてみたらそこに居たのは……
「やっぱりハチさんじゃないですか!?」
うん、ルクレシアさんだ。だけど、その後ろには何人か同じ制服を着ている生徒が一緒に居る。見た所女の子ばっかりだし、そこに入っていくのはちょっと嫌だな……こういう場面をもしもハスバさんとかに見つかったら面倒が起こらない訳が無い。ルクレシアさんに会う予定はあったけど、会うとするならもう少し周りの人間が少なくなった頃合いを見計らって会いに行くべきかな?ここは一旦知らない人のフリをしようか
「どなたかと人違いをしているのでは?失礼、今急いでいるので……」
「じゃあ今なんでハチさんって言葉に反応したんですか?」
しまった……まさかの最初の一言目がカマかけだったとは……これはどう乗り越えるか
「……私はハッサと言うので呼ばれたのかと思いまして」
自分でもちょっと厳しい言い訳かもしれないが、これくらいしかとっさの言い訳が思いつかなかった。正直、ハチさんって呼ばれた時に反応してしまった時点で僕の負けだ
「そうですか……間違えてしまったというのならすみません」
「いえいえ、たまにこういう事はあるんですよ。ハチさんという人と間違われる事が最近増えましてね……」
「あぁ……」
謎の納得されてる感が若干不服ではあるが、何か見逃してもらえたっぽいぞ?とりあえずその場から離れよう
「では失礼」
なんとかルクレシアさんから逃げる事は出来た
「やっぱルクレシアさんの記憶力を欺くのは無理があるか……」
が……オーラで分かる。何か人では無い何かに追跡されている。何か追跡魔法的な物を付けられたか?
「裏路地にもう一度入って追跡を振り切るか」
ここで【ジェミニ】が役に立つんじゃないかな?大体僕の背後に飛んでいるような状態の追跡している奴を欺くには【ジェミニ】が一番だろう。5分で消えるしね?
「よし……あっ!」
ワザと裏路地に向けて魔硬貨を転がす。後ろから追いかけてくるだろう奴の視線を切る為には急に動くしかないだろう
「【ジェミニ】【擬態】」
転がったコインを拾いに行く分身体と壁に張り付いて【擬態】で隠れる本体。分身体で魔硬貨を拾っても本体の方に戻ってくるから実際には拾わなくても良い。あとはこのまま分身体が街中を歩いて行けば……
「さぁ、どうなる?」
壁に張り付きながら追跡してきた奴がどう動くのか確認する。もし、見破られていて分身体の方に行かなかったら諦めて監視を受け入れるしかないけど……
「向こうについて行ったか。やったぜ」
空を飛ぶオーラが【ジェミニ】の方について行ったので僕の方はフリーになった訳だ。とりあえず隠れながらマジナリア魔法学園を探してみるか
「まぁ、人混みを回避しながらマジナリアの制服を着てる奴が何処に行くかを見るのが一番か」
良くも悪くも制服を着た学生達が居る訳だ。しかもマジナリア魔法学園は寮があるし、ある程度の時間になれば帰っていくだろう。そうなったらその生徒を追いかけていけばマジナリア魔法学園に辿り着ける
「大丈夫だよね?ストーカーとかで訴えられたりしないよね?」
バレたら危険だけど、確実な方法だ。まぁルクレシアさんに連行されるのがこれ以上ない確実な方法だけど……何かルクレシアさん達に連れていかれるって良くない気がするんだよなぁ……ただの予感だけど
「とりあえず他の人には見つからずにルクレシアさんに会うのが一番面倒事が少なくなりそうな気がするし、まずはマジナリア魔法学園を探しますか」
いざとなればまだ返却してなかったマジナリア魔法学園の制服を着て誤魔化すかな
「さぁ、それじゃあ母校?に帰ってみますか!」