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614/2001

融和

「恩人さんよ!大丈夫か?」

「おっ、迎えに来てくれたんだ。ありがとうございます!【解除】」

【アビスフォーム】を解除して迎えに来てくれたダイビング・デッドマン号に乗り込む


「奴をぶっ倒した恩人さん達なら海の向こうでもやっていけんだろ。向こうまで送っていってやるぜ?」

「お願いします」

 船に乗って海の向こう側を目指す……前にまずは海面から上がらないとだな




「「ハチくーん!」」

「「ハチさーん!」」

 台船の上から海に向かってハチを探す声がする。敵を倒したのに上がってこないのだから心配もするだろう


「どうしよう……探しに行った方が良いんじゃ」

「いや、彼なら絶対に上がってくるはずだ」

「アイツが溺れて死んだらネタにして笑ってやるわ!」

「ヒャッハー!奴なら絶対に上がってくるさ!」

「あっ!あれは!」

 海の底から何かが上がってくるのを見つけるトーマ君。そしてそこに注目していると徐々に海面が盛り上がり、1隻の船が現れる


「皆さんお疲れ様でしたー。それじゃあ先に進みましょう!」

「な?心配するだけ無駄さ」

 いつの間にか消えていたハチが呼び出した船がハチを乗せた状態でまた現れた


「今回はちゃんと会話してくれるだろうか……」

「流石に一緒に戦った仲になれば会話くらいはしてくれるでしょう。彼も理不尽なのは強さくらいでしょうし」

「いざとなったら私が色仕掛けで落としますわ」

「「いや、絶対無理だろ……」」

「なにをー!?」

「「そういう所だろ」」

 台船の方もわちゃわちゃと会話しつつ、2隻の船は海を越えた




「ここが新しい街かぁ……送ってくれてありがとうございます!」

「おう!じゃあまた今度な!」

 新しい街に辿り着いたのでダイビング・デッドマン号と港で別れる。装甲船と台船はそのまま港に泊まったけど、デッドマン号は海の中に戻って行った。停泊はしないんだなぁ……まぁそのまま行ってもおかしくないか。今度海底火山に行く時にまた会おう


「とりあえず何が話したいんです?」

 後回しにするのも面倒だし、さっさと要件を終わらせて解放してもらおう


「え、いやまぁそのぉ……おめでとう!」

「え?まぁ、皆さんお疲れ様でした……」

 何か労いの言葉を貰ったからとりあえず返しておく。なんだ?


「ねぇ、貴方?私達とフレンドになるかクランに入らないかしら?」

「あ、そういうの断ってるんで」

 勧誘はお断りだ。絶対面倒になる


「いきなりで申し訳ない。実はこの前のイベントの時から君には興味があってね?今後も出来れば君と良い関係性を築きたいと思っているんだ。最初はイベントで敵同士だったけど元々は我々は1つのゲームを一緒に楽しんでいる仲間として、フレンドになってくれると嬉しいなと思ってね」

 タナカムさんの言葉を聞いて、確かに若干あのイベントがあって元勇者軍の人と物理的に距離を取り過ぎたかもしれないと思った。空島とかほとんど勇者軍に居た人には未開放だし……


「そういうことですか、それなら別にフレンドくらいなら問題無いですね。じゃあタナカムさん。今後もよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 この人は大人っぽい雰囲気もあってフレンドになるのは別に良いかなぁとは思っていた。目立たなくてもいぶし銀な活躍をしている……的な存在?


「それなら私もクランは諦めますの。フレンドはいいかしら?」

「そんじゃ俺も良いか?俺も第一回イベントのアレは忘れられないが、アンタっていう存在をもっと知りてぇ。フレンドになってくれ」

「俺もじゃあ頼む!」

「俺も……君は越えなければならない壁だと思うが、フレンドくらいにはなってくれないだろうか?」

 何だ、単純にフレンドになりたいだけか。そのくらいなら良いだろう。気に喰わなかったらフレンドを切るか、メッセージ通知を切れば良いだけだ


「それじゃあこれからフレンドよろしくお願いします」

 タナカムさん、レイカさん、ガチ宮さん、グランダさん、ジェイドさんの5人とフレンドになった。他の5人は何か恐れ多いとかなんとか言ってフレンドになりたがらなかったので意思を尊重した


「そうですね。それじゃあ空島もそろそろプレイヤー全員に解放……って言いたい所なんですけど、人数制限してたから小競り合いとか起きずに上手くいってたと思うんで全員に解放は流石に出来ないかなぁ……」

 あそこはあくまでプライベートな空間を他のプレイヤーが入ってくる事を許可しているだけだ


「出来ればそれを許可してくれないだろうか?フレンドになったら一度その件で交渉したかったんだ」

 なるほど、それを込みで僕とフレンドになりたかったのか。まぁ空島は資源としても超が付く程優秀だしなぁ?


「そうですね。他の人でも分かりやすくするのなら……クランホームとかってあります?」

 クランと言えば自分達の家とか持って素材とかを保管しているイメージだが……


「クランホームはありますね。素材を保管したり、稽古したり出来ます」

「じゃあそのクランホームを一般開放して中の設備、素材を使わせろって言われたらどうします?」

「それは……ちょっと困りますね」

 空島の素材は一生懸命集めたりはしてないからその辺ちょっと違うけど、まぁ分かりやすくするならこういう説明だろう


「一応僕は善意でそれを元魔王軍の人達にだけしている状態です。クランとまでは行きませんが、一緒に戦った仲間なので。ですが、一緒に戦っていない、むしろ敵だった人達にそこを開放したらどうなるか……一応戦闘行動は出来ない仕様にはなっていますが、問題が起きる可能性が跳ね上がる気がして空島を開放するという訳にはいかないんですよ」

 一々問題起こす人を注意するとか限界もあるし、村の皆にも迷惑は掛かるだろう


「それを言われると何も言えないな!要はプライベートな場所を守りたいって事と一緒だろうしな」

「クランホームを一般開放は……流石に無理な提案だな?」

 ガチ宮グランダコンビはこっちの事情をすぐに分かってくれたか


「だから僕が譲歩出来るのは問題が起こってもすぐに対処出来るように今フレンドになった貴方達とパーティを組んで入ってくるぐらいの人数であれば許容出来ますね。問題行動が起こった時はすぐに対処すると約束出来るならオッケーです」

 一気に入ってこなければ問題ない、そのくらいは約束してもらわないと……


「分かった。プライベートな所に入れさせてもらうんだからそれだけ譲歩してもらって感謝するよ」

「じゃ、この街を皆で探索して泉を探しましょうか!」

 話も終わった事だし、まずは泉を登録しないとね?



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― 新着の感想 ―
[良い点] よかったー ハチくんがそこまで甘くなくて ここで一般開放したら少しモヤモヤしてたね笑
[一言] 確かにクランハウス開放しろとか言われても、もしもしGM?ってなりますよねw
[良い点] 毎回楽しく読ませて頂いてます^^ [一言] さすが勇者ジェイドさん。某RPGの勇者と同じで他人の家に勝手に入り込んでタンスや壺の中をあさる様に、自分が他人のプライベートスペースへ入る事を当…
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