師匠生存確認
「はいはい、どちらさ……おやおや！一番弟子のハチ君じゃないか！」
「わざわざ言わなくても良いと思いますがね……生きてますか？」
「きみきみ？ちょっとバカにし過ぎじゃないか？」
「だって師匠は料理作れないし……」
ご飯食べられなくて素材そのまま齧ってそうなモルガ師匠が料理するところも想像出来ないので見に来たけど……やっぱりちょっとやつれてないか？
「ぐぬぐぬ、反論出来ない……とりあえず何か作ってー」
「そんな事だろうと思って食材は色々持ってきてます。台所お借りしますね」
作って来ても良かったけど、出来たての方が多分美味しいだろうし、台所を借りる
「フライとかが良いかな……鍋も作るか」
深海戦闘で深海魚の食材とか色々あるし、それを使っても良いだろう。ロフィンコウというアンコウを村に持ち帰った時、ワリアさんがヌメヌメして切り難いからと自然に吊るし切りをし始めてアンコウ鍋を食べさせてもらったけど凄い美味かった。自分で作り方も調べて、見様見真似でワリアさんの吊るし切りを真似してみたり（最初は肝を切っちゃったり勿体無い事をしちゃったけど……）してロフィンコウの食べられる部分を切り分けてインベントリに保管してあるし、それを使ってロフィン鍋を振舞っても良いだろう
「これこれ！この美味そうな料理！これはまたハチ君には弟子になってもらわないとだねぇ？」
「雑用ばっかの弟子はもう良いですよ……とりあえずそれを食べてください」
「はいはい！いただきまーす！」
むしゃむしゃと深海魚料理を食べるモルガ師匠。良かった。口には合ってるみたいだ
「うまうま、ところで、何故ここに来たんだい？」
「何となく……ですかね？単純に生存確認もありますが……」
どうしてここに来たのかと問われればもしかしたら自分が成長したのを見せたかったのかもしれない。そんな事は恥ずかしいので口には出せないが
「ねぇねぇ？もしかして馬鹿にされてる？」
「え？まさかそんな……」
「やっぱりやっぱり！馬鹿にしてない！？」
ちょっと揶揄い過ぎただろうか？
「まぁ冗談はこのくらいで、モルガ師匠も無事そうでなによりです。それじゃあ僕はこれで」
「まぁまぁ、待ちなよハチ君。何か隠しているだろう？」
流石だなぁ？深淵の事を見抜いてきたか
「おぉ、分かりますかモルガ師匠。流石ですね」
体の周りにサークル状に深淵を出す
「……？あれあれ……？なにそれ？」
「え？これじゃないんですか？じゃあどれの事だ？」
深淵を仕舞い、他に何か隠していた事に関して考えてみる……うーむ、あっ！もしかして！
「これはとっておきの一匹だから自分用に隠してましたが、このカニの事を見抜かれてしまうとは……バレてしまっては仕方がない。茹でますか？」
「うんうん、それじゃないんだけどそれは貰うよ。さっきの力も気になるけど……ハチ君、別荘というかこの街の上に何か持ってるよね？」
あぁ、空島の事か。飛行戦艦だって情報は他に伝えてないからそれを知りたかったのか
「まぁデカい別荘と言えば別荘になるんですかね？島みたいな物ですけど」
「ハチ君ハチ君、師匠をその島に招待する権利をあげようじゃないか！」
「え？連れてけって事ですか？」
「そうそう！それとさっきの力の事も教えるんだよ？キリキリ吐け～」
しまった……余計な事を喋ってしまったか
「えぇ……それはちょっとなぁ？」
「ちょいちょい？仲間外れは酷いんじゃないか～？」
うーむ……モルガ師匠を他の人と交流させても良いんだろうか？
「他の人が物を売買してたりしてるしなぁ……」
「ふむふむ、そんな面白そうなところに行かせないなんて中々酷いじゃないか！よし決めた！ハチ君が連れて行ってくれるまでくっ付いていく！」
そう言ってモルガ師匠が僕の背中におんぶの状態にくっ付く。くっ付くって比喩表現じゃなくてマジでくっ付くのかい……これじゃあ戦闘も碌に出来ないぞ？
「さぁさぁ！さっさと連れて行ってくれたまえ！」
「仕方ないなぁ……」
流石に振り落とすのは可哀想だし、一旦空島に連れて行っても良いかな。泉まで普通に歩いて行けば良いか
「見つけましたよ！ハチさん！」
「空島から飛び降りたとか聞いたぞ？」
「まさかフレンド全員のメッセージを拒否にするとは……また何かやってたのかい？」
「ヒャッハー！全く、唐突に消えるから困ったもんだぜ！」
「居ない間にも色々レアな食品が見つかってるぞ？」
「お帰りなさいハチさん！」
「何処に居たのかしらぁ？」
「久しぶりに戦おうよー！」
「ハチさんにメッセ拒否されるのは慣れっこですが、流石にフレ全拒否だったのでやり過ぎて辞めちゃったかもと反省してました」
「ハチさんに見てもらいたい薬が出来たんですよ！」
「服の素材を見に来たついでに来てみたけど……なにか面白い事になってるわねぇ？」
アイリスさん、ロザリーさん、ハスバさん、ダイコーンさん、ホフマンさん、トーマ君、キリエさん、キリアさん、チェルシーさん、ドクター、めろにゃんさんと……僕のフレンドが勢ぞろいで泉の前で並んで待ってた。この異色のメンバーの威圧感たるや……
「お久しぶりです。ちょっと特訓してて全員のメッセージ拒否してました。とりあえず全員のメッセージ拒否は解除しておくので、何か要件があったら気兼ねなく言ってください」
一応頭を下げて、泉でワープしようとすると……
「「「まぁまぁハチ君。待ちなよ」」」
当然の様に止められました
