渚の岩窟
「ありがとうアイナさん。お陰でまた強い奴とも戦えそうだよ。アイナさんもあのデカい門を超えた先にある冥界ファイトクラブって所に行けば強い奴とも戦えるかもよ?」
「ワカッタ!ワカッタ!」
この力は急所に何発喰らっても生き残るような強敵相手に有効だ。アイナさんがくれたこの力を活かす為にももっと強い敵と戦わないとだなぁ……アイナさんも強くなれるように冥界ファイトクラブをオススメしておこう。僕はもっと先へ……
「海底、行くかぁ!」
確実に誰も行ってないだろう場所。そして相手もかなり強い気もするし、海の向こうに行く為にも海底でレベル上げしておけばボス戦が船上での戦闘になって、そこから海に引き摺り込まれても戦闘が続けられる。ソロ、あるいは少人数でボス戦に挑む事になっても海に引き摺り込まれて即終了にならないというのはかなり大きいメリットだ。それにあのクラーケンがボスであるのなら即死攻撃的なノリで海底まで連れていかれて圧死とかそういう攻撃も想定出来る。先に深海で動ける様にしておいた方が良いだろう
「イッテラッシャイ!」
「うん、行ってくるよ」
行ってくるとは言ったものの、まずは海底の水圧に耐えられる状態にならなければならない。その辺は明日ヴァイア様に話を聞いてみるのが良いかな?今日はもう寝よう
「お、やっぱりここに居た」
「ぬ?ハチか。どうした?」
翌日、ヴァイア様が入れる様に見繕った村の近くの池に行ってみたらどうやら水浴びしている最中だったみたいだ。これはラッキースケベカウントに入ってしまうんだろうか?そういう趣味してる人には入るかもしれないが、僕にそういう趣味は無いからノーカウントという事で……そもそもヴァイア様は服をそもそも着てないからラッキーも何も無いじゃん
「偉大なるヴァイア様のお力というか助言が欲しいんですが、海底みたいな水圧がもの凄い所でも生きられる方法って何かあるのでしょうか?あれば教えていただけませんか?」
自分に生えた触手を操るとか、深淵の使い方を探るは自分の力で何とかするべきとは思うけど、水圧に耐えるをのを気合いで何とかするとかは流石に無理がある。何かしらの方法があるのなら教えて欲しい
「むふふっ!仕方ないなぁ?そこまで言うのであれば仕方がない。ハチにはあの場所を教えてやろう」
「あの場所?」
「情報だ。この場所に行けばハチの求める力が手に入るはずだ」
ヴァイア様から位置データを貰った。これは……フォーシアス近辺かな?
「ははぁー、ありがたき幸せー!」
感謝を込めてヴァイア様にひれ伏す。さっきここに行けば求める力が手に入るって言ってたし、スキルか魔法が入手出来るのかな?
「むふふっ!もっと褒めても良いのだぞ?」
「ヴァイア様は強くてツヤツヤしてて美しいです!」
「むふふふっ!」
結構雑だったと思うけど、喜んでるからこれで良いんだろう
「では、教えてもらった場所に行ってみます!」
「気を付けていくのだぞ。一応人間には危険な場所だからな」
おっと……今回は棄てられた教会みたいな所とは違うみたいだ。戦闘にならなければ良いなぁ……
「んーと、まずは渚の岩窟って所に行けば良いのか」
フォーシアスの海沿いの岩場にあるらしい渚の岩窟と呼ばれる所をまず探す。位置データを確認しながら目標の場所に向かう。砂浜の方は狩りをする人とか遊んでいる人が居る。やっぱり着実にフォーシアスに到達している人が増えているな。なんか超次元ビーチバレーしているような人達も居る。だが、僕の目的地はここでは無いのでそんな砂浜をスルーして岩場に向かう。流石に岩場になれば遊ぶのも狩りする人も減り、釣りする人が何人か居るくらいだ
「おぉ……ここか。先客は居るかな?」
一応後を付けられるとかに警戒して【擬態】とか使って隠れながら移動したけど、位置データの示す場所に到着したら岩場の間に穴が開いていた。なるほど、これなら普通に地面に開いた穴だと思うし、多分これは海の干潮と満潮の影響で入口消える奴だよね?普通の人だとここは時間制限がある場所になっちゃう訳だ。僕はヴァイア様から【水中呼吸】を貰っているから海水が入って来ても探索する事が出来る。要するにそういう事なんだろう
「うーん……居なさそうだし入ってみますかぁ」
よくよく考えてみれば壁も歩ける、暗闇でも普通に見れる、水の中も問題無いというこの場所を探索するにおいては僕はかなり適している気がする。やっぱり僕は街に居るより洞窟とかに居るのが合っているだろう。洞窟王に僕はなる!……んー、洞窟の王になったところでやっぱ日の当たる場所歩けないんじゃないだろうか
「おぉ、フジツボいっぱい……」
渚の岩窟に入ってみたら沢山のフジツボがびっしりついていた。集合体恐怖症の人はこれだけでも嫌だろうなぁ……
「んー、この洞窟中々狭いな。戦闘なんか出来ないぞ?」
僕でもかがまないと先に進めない。先に進めば進むほど狭まってくるし、方向転換も難しい。これは流石に怖くなってきたぞ……
「おっ?ここは一旦休憩ポイントと見ていいのかな」
匍匐前進で何とか進んだら、立てるくらいに広まった場所に出た。そして潮溜まりの様な水たまりが3つある。この3つの内のどれに入ろうか