お手伝い姫様
ニッコニコで属性計を持って帰っていくヘックスさん。島の最深部に取り残されてしまったけど、行き方はもう分かったし、多分出る時も何とかなるだろう。もう少しここを見て回りたい
「魔力の増幅装置か……この島全域に魔力を行きわたらせるって時点で相当な増幅倍率な気がするし、かなりヤバい物だよな……あとこの滅茶苦茶デカい魔石も凄いよなぁ」
僕より大きい魔石だし、入れ替えるとかは出来ないな。というかこのサイズの魔石を一人で入れ替えとか難しいというか出来るか分からない
「他の人には見せられないなこれは……見せられない場所だし、ここに寝床を作っても良いかも?」
駆動音的な物はかなり小さいし、魔石の光も刺激的かと言われたら柔らかい光なのでここにベッドを作って寝ようと思えば寝れる。だったらここを僕の寝床にしてしまった方が良いんじゃないだろうか?ここに立派なベッドを作って寝れば良い寝心地を確保出来る気がする。ここなら熱いとか寒いとか風も無いし、唐突な来客も無いだろう。それに寝てる所を見られる心配も無い。意外とここは安眠スペースではないだろうか?
「まぁこれは後回しでも良い事だな。ヘックスさんの解析をとりあえず待つ……いや、どのくらい時間がかかるか聞いてなかった」
ベッドの材料とかもまだ調達して無いし、せっかくなら良いベッドを作りたいからそこは時間を掛けたい。それならばヘックスさんの解析がすぐ済む様であれば属性計がどう解析されるか見てみたいし、時間がかかるようなら別の事が出来るから一度ヘックスさんを追いかけてどのくらい時間が掛かるのか聞いてみよう
「もう村の方まで行っちゃったかな……」
一度村に持ち帰って解析すると思うし、村の方に行くか。この島には島に訪れる人用の泉とアストライトを持ってきた時に一緒についてきた泉、教会を持ってきた時についてきた泉と3つある。泉を使えば島の移動も楽に出来るな
「ヘックスさん居るー?」
「ヘックス?それなら家に走って行ったぞ」
「ありがとうドナークさん!」
「良いって事よ」
泉で村の方に来たらヘックスさんは既に自分の家に戻ったそうだ。早いなぁ?
「ヘックスさん、ちょっといい?」
「今ハチから貰った物の解析でいそが……ん?どうしたハチ?」
「解析にどのくらい時間が掛かるのか聞いてなかったから結果が出るまでどのくらいかかりそう?」
「そうだな、中々複雑な物だから最低でも3日は欲しい」
現実時間で最低1日か……それなら一旦放置出来そうだな
「最低3日ね。僕が居ない時に解析が終わったら解析結果は城の例の部屋にでも置いといてくれる?」
「あの部屋だな。分かった」
一応機密情報なので、報告する場所も機密の場所だ
「ごめんごめん、とりあえずそれだけ伝えたかっただけだから。解析よろしく!」
「あぁ、良い返事を期待して待っているといい!」
頼もしいなぁ。まぁ失敗して謝るヘックスさんも見てみたいと言えば嘘では無いが、物が物なので可能な限り成功はして欲しいが
「ハチ!」
「ん?姫様どうしたの?」
小鬼姫の姫様がヘックスさんの家から出たタイミングで話しかけてきた。そういえば最近あんまり会話してなかったし、たまには会話しないと
「この島の旅人達が訪れる露店通りで何か売ってみようと思うのだが、何が良いだろうか?」
「ん?何か売る?」
「ヘックスから聞いたぞ。お金があればこの島を動かせる様になるし、環境も良くなると!その為の手伝いとして何か売って城を直す為の資金を集めよう!」
なんか目頭が熱くなる。姫様めっちゃ良い子や……今度かんざしでも作ってあげよう
「そうだな……武器防具は旅人がもうやっちゃってるし、飲食も正直かなり出てた気がするから難しい……いや、待てよ?」
「何か妙案でも浮かんだのか!?」
妙案かどうかは正直怪しいが、姫様とゴブリン達でやれば結構イケそうな物の案は浮かんだ
「いっその事店を出すんじゃなくて、売り子をやってみるのはどう?」
「売り子?」
「店の商品を宣伝しながら歩いて欲しい人に売るんだけど、姫様可愛いから売り子やりますって言えば結構引く手数多な気がするよ」
売り子として姫様が商品を扱い、手数料を貰う形にすれば自分達で何かを売るという事はしなくても良いだろう。第一、姫様の手作りお守りの性能とか考えると、姫様達が作った物は話題になってしまう可能性が高い。そうなるとトラブルの素になりそうだし、あえて自分達は他の人が作った物を売る手伝いをして、報酬をもらう方が良いと思う
「それで本当に良いんだろうか?」
「お店の経営ってすっごく難しいんだ。そこに新しく入っていくより、既にあるお店の商品をもっと売れる様に頑張って宣伝した方が既にあるお店の人達だって嬉しいし、姫様だってキチンと働いてお金を得るんだから皆幸せだよ」
「なるほど、自分達の利益だけでは無く、手伝った店の利益も上げればその分店からの寄付も増えるという訳か!」
「そうそう、これなら最初に店を開く必要も無いし、すぐに出来そうでしょ?」
「分かった!早速やってみるとしよう!」
姫様が売り子をやってたら正直、僕がお金を持ってたら何かしら買っちゃう気がする。そのうち姫様ファンクラブとか出来たらどうしよう……
「気を付けるんだよー」
「分かっておる。行くぞ!」
「「「はいー」」」
ゴブリン達を引き連れて街の方に向かっていく姫様を見送り、今日は寝る前に氷の騎士の様子を見に行く事にした