解析
「船……じゃあこの島は飛行船って事?」
「飛行船とは少し違うな。調べてたら武装もあるから飛行戦艦と言った方が近いだろう」
「飛行……戦艦!?」
なにそれめっちゃロマンあるじゃん!
「一応聞くけど武装は使えるの?」
「使えなくはないが、現状を考えたら使用は絶対にするな」
「使用禁止ですか……」
「島にある物すべてが壊れるぞ」
「あぁ、それじゃあ武装は無い物として考えた方が良いですね。まぁこれだけデカい飛行戦艦の上に島が乗っかってるってだけで充分過ぎるか」
アニメでたまにみる戦艦が地面に埋まってる奴がそのまま土を乗せたまま飛んじゃってるような物だし、武装を使ったら反動で島としての機能が崩壊する可能性も充分にある。なら今まで通りの運用をするのが一番良いだろう。正直飛行戦艦はロマンだけど、それは単なるロマンであって皆の生活を破壊してまでやる事では無い。だが、戦艦というのであれば動かす事は出来るんじゃないか?
「じゃあこの空島を動かす事は出来そう?」
「それに関しては目途が立っているが、まだ動かせないな。自由に動かしたければ城を直せばこの島の操縦系統が使える様になるはずだ」
なるほど、城を修復し終えたらこの島が自由に動かせる様になると……それこそ地上に降り立つ事も出来るのかな?だとしたら主要都市と大規模な交流とか出来るかもしれないな……まぁ今の所そのつもりは無いけど
「じゃあこの城が島の操縦桿って感じなのか」
「あぁ、その認識で合っている。にしてもこの動力は凄いぞ!永久機関と言っても過言では無い!良いか?これはだな……」
ヘックスさんが専門用語で話すので細部までしっかりは理解出来なかったけど、要約すると巨大な魔石から魔力が出て、その魔力を増幅。魔石に魔力を再充填させて循環させながら島全体に魔力を巡らせる。そんな機構がこの島の動力に有るらしい。武装にもその魔力を使用するらしいから皆の生活を守るという事を考えたら武装の使用厳禁にも頷ける。それにしても魔力増幅機能がかなりヤバい代物な気がするなぁ……何だろう、永久機関ぽいからG〇ドライブ的な?
「あとまだ報告してなかったが、地熱を保つ機関の修復も既に済んでいる」
「あ、もしかして地面の切れ間ってあれ、損傷個所だったの?」
「あぁ、ついでにワザと地熱をカットして雪原を1か所勝手に作ったが、別に構わんだろう?」
僕がイベントの時に落下して死んだフリをしたあの場所は損傷してたのか……
「もしかしてそれって逆に火山地帯的な所も作れる?」
熱源をカットして雪原を作れるのなら逆に熱源を集中させて火山地帯的な所も作れそうな気がするが……
「もちろん出来るぞ?地形変化は力業になるが、環境を作り変える事は可能になった!」
ヘックスさん、島の環境を作り変える事出来るのか……調査が進んで凄い事になったな?
「あ、じゃあ氷の騎士さん用の場所も出来たんだ」
「あぁ、アイツも今頃楽しんでいると思うぞ?」
スケートでもしてるのかな?
「じゃあ後で会いに行ってみようかな」
まずは執事服と属性計を調べてからだけど……
「一応魔力供給を見直して資源の復活を早くしたりしてみたが、だめだったか?」
「むしろそっちの方が良いよ。皆助かるし」
島で素材を集める時に資源が枯渇してしまうと他の人が試作用の素材を集めたり出来なくなってしまうから資源復活が速くなるのはありがたい
「ヘックスさんは何か自分用に環境を弄ったりしたの?」
「まぁちょっとだけ村周りは改良させてもらったな。お陰で毎日すこぶる調子が良い!」
良かった。一応調査を任せていたし、ヘックスさんにもうま味が無いとちょっと良くないと思っていたが、しっかり自分の為に得をする行為をしてるのなら問題ないかな。一応調査の報酬って事で
「まぁ、満足してくれてるならそれで良いか。あっそうだ!ヘックスさん?ヘックスさんって属性の保存に関して何か知ってます?この装備……属性を保存出来るらしいんですが、保存のやり方がちょっと良く分からないんですよね」
執事服を着て、ヘックスさんに見せる
「属性保存?どれどれ……」
ヘックスさんの目が光り、何かを調べる様に僕を見てくる。今これスキャンされてるんだろうな
「なるほどな。その服のプリズムチャージという能力はその左胸のプリズムに属性攻撃を喰らうか、属性をそのプリズムに使えば属性を保存出来るみたいだぞ?」
「ほうほう……じゃあこれって属性変化に使えそう?」
ヘックスさんに変幻時在の属性計を渡す。パカッと属性計を開いて中を見るヘックスさん
「うおっ!これはまた凄い物を……バラしてみても?」
「それを使いたいから壊されるのは困るんだけど……」
やっぱりヘックスさんも中身が気になるのかバラしたいとか言い出した。これ、完全に壊れちゃったらもう二度と入手出来なくなってもおかしくないから流石に……
「そのアイテムのデータを取らせて欲しい。上手く行けば再現が出来るかもしれない」
「再現?」
「この発生する属性がドンドン切り替わっていく能力が備わったアイテム。これは人間が作った物だろう?」
どうなんだろう?でもトーマ君が倒した相手って実験とかしてたマッドサイエンティスト的な人だったのかもしれない
「多分、人工的に作り出した物だとは思う」
「なら、再現する事も可能だろう。どうだ?私にこのアイテムを預けてみないか?」
成功すれば量産。失敗すると消失的なギャンブルだろうか?これは……
「オッケー!じゃあこれの解析も任せた!」
「任された!」
ヘックスさんに任せてみる事にした。試してから失うのと、試す前に失うのでは試してから失う方が後悔が大きい気がするので、先にヘックスさんにこれを解析させてあげよう