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59/2016

氷の騎士

 剣を構える氷の騎士を見てとりあえず一歩下がる。すると氷の騎士は構えを解いた

「ふむふむ……」


 やっぱりあの山頂の建物に近寄ろうとしたらそれを妨害するように動くみたいだな……


「ほい、ほい、ほい、ほい」

 一歩前へ出る、構える。一歩引く、構えを解く。一歩前へ出る、構える。一歩引く、構えを解く


「大体この辺が妨害するラインなのかな?」

 どのくらい近寄れば氷の騎士が構えるのかのある程度見極められた


 攻撃されないギリギリラインででんぐり返しをしたり、側転をしてみる。相手は動かない


「やっぱりこのラインを越えない限りは大丈夫そうだね!」

 逆立ちをしながら確認する。普通の時に比べて頭が大きい分、三点倒立の状態で安定感が凄い。足で拍手(拍足?)するとポフポフと音が鳴る


「…………!」

「うおっ!?」

 急に氷の騎士が剣を上段から斬り下ろしてきた。逆立ちした状態から後ろに倒れた事で何とか斬撃を避ける事が出来た。頭上の地面に剣がザンッ!と突き刺さった


「…………!」

「あぶなっ!」

 即座に氷の騎士が体を時計回りに回転させて剣を横から切り払い。殺意高いよ……ひょっとして怒った?さっきの足での拍手が良くなかったんだろうか?


 横から迫る凶刃に【受け流し】をする。剣の腹部分に触れながら上に逸らして氷の騎士の体勢を崩し、その隙に立ち上がる


 僕が立ち上がった時には既に氷の騎士は剣を両手で構え、突きを放つ


 スローな世界でこれ白刃取りとか出来るかなぁ?とか考えていたけど、剣自体を捉える事は出来ても多分僕のSTRじゃそのままザックリ刺されるだろうなと結論付けてまた【受け流し】をする。だけど今回は受け流すだけじゃない


「見えるなら……出来るはず!」

「…………!」

 相手の突きをしっかりと見て、僕の体に剣が刺さる直前に体を右にずらし、左手で剣の腹に手を添えて反時計周りに体を回転させる。すると剣が僕の体の正面から逸れて突きを回避する。それを見た氷の騎士は若干驚いた様に握っていた剣を持つ手の力が若干抜けたのを見逃さなかった


「そこだっ!」

 フリーだった右手で剣の柄を掴み、右手を手前に引いて、左手を前に押し出す。すると剣が180度回転して騎士の頭に剣の腹がぶつかる。騎士は頭に剣の腹を喰らって頭が下がる


「おっと!」

 手に持っていた剣がバチンッと音がして手から弾かれる。そういえば初めて武器らしい武器を手に持ったけど装備制限ってこういう事なのか


 とりあえず弾かれた剣の柄を蹴っ飛ばして僕からも氷の騎士からも届かない場所まで飛ばした。これで奴は剣を使って攻撃出来ないハズだ


「…………」

 剣を吹っ飛ばされて動きが止まった氷の騎士


「…………」

 うな垂れて地面に崩れ落ちる氷の騎士……何か可哀想な事をしてしまったのかもしれない


「なんか、ゴメン……」

 剣を蹴り飛ばしたけど余りにも可哀想に感じてしまったので蹴り飛ばした剣を探す




「あった!」

 雪に埋もれた剣を雪ごと持ち上げる。よし、これなら持てるな?


「騎士さん的には剣が己の魂とかそういう物なのかな?もしそうだったらゴメンね?」

「…………!」

 雪ごと持った剣を騎士さんに差し出すととても嬉しそうに剣を受け取った


「……!…………!」

「ん?もしかしてさっきのもう一回やってみせて欲しいの?」

「……!……!」

 どうやらさっきの剣を奪った奴をまたやってみせて欲しいみたいだ


「ちょっと待ってね?ここって脱いでも大丈夫かな?おぉ……寒いけど一回くらいなら出来そうだ」

 流石にシロクマコスチュームでやるより普通の状態でやった方が頭が小さい分やり易いと思う。ただ結構寒いなぁ!


「上から斬りかかって来てくれればさっきと違うやり方で取るよ」

「…………!……!」

 ブンブンと剣を振りながらやる気満々だ。これ上手く取れなかったら僕バッサリやられるよね?


「ふぅ……良いよ」

「……!」

 力を抜き、緊張と寒さで体が強張らない様に気を付ける。氷の騎士が上段から斬り下ろそうとしてくる


 素手が剣に勝つには剣の間合いの外では無く、素手も届く超至近距離こそが答えだ。即ちビビったら負けだ


 振り下ろされる剣に対して臆さず前に進む。寸前で左に避け、振り下ろす剣の柄を一緒に握り、合気道の小手返しの要領で内側に一度引き込んで、騎士のバランスを崩してから反対に腕を引き上げてコケる氷の騎士から剣を奪う


『特殊スキル 【ディザーム】 を入手』

 なんかスキル入手出来た


「…………!」

 パチパチと拍手する氷の騎士。なんだろう……何か違う気がする。元々僕達侵入者と門番みたいな関係だったよね?


「……!」

 剣を騎士さんに返すとどうぞ!と言わんばかりに道を開けられた。それで良いのか門番さん……


「じゃあ通してもらうね?うぅ……さむっ」

 実はさっき氷の騎士さんから剣を奪う時、冷たくて手が張り付きかけて少し焦った。騎士さんとのやり取りを終えたらシロクマコスチュームにすぐに着替えた。あぁ、暖かいなぁ……


「とりあえず山頂の建物にレッツゴー!」

 謎の建物に向かって歩きながらさっき手に入れたスキルを確認する


『【ディザーム】 アクティブスキル 相手が武装していて、自身が両手に何も持っていない場合に限り、相手の武器を奪う事が出来る。但し、その武器の適性が無い場合一度その武器を使用すると手から弾き飛ばされる』


 このスキルは僕が使えば素手の戦いに持ち込める良いスキルだ。というかさっきアストレイ・オブ・アームズを装備しててもちゃんと奪えたから紋章は素手として扱ってくれるんだね



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― 新着の感想 ―
[良い点] 門番と侵入者が解り合える。優しい世界(*´ω`*) [一言] 柔軟性に富んだ展開がここがゲーム世界なんだとも思わせるし、変に意固地にならないところがリアルとも感じるこの不思議さよ。
[一言] 門番ェ……(´・ω・`)それでいいのか?
[一言] 「奪った武器を一度だけ使用できる」「使ったら手から弾き出される」っていうのは悪用できそうで笑っちゃうw
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