アビスコネクター
『称号 【深淵接続者】 を入手』
『【深淵接続者】 深淵の領域を利用出来る様になった者に与えられる称号 (繋がる所が)ヤバいわよ! MIND+20%アップ 特殊スキル【アビスコネクター】が使用可能になる』
『【アビスコネクター】パッシブスキル 自身の深淵領域を自由に使える』
頭に?マークが浮かんでいるのは自分でもよく分かる。これどういう事だ?
「えっと……とりあえずありがとうございます。でもこれって【アビスフォーム】と被っちゃうんじゃないですかね?」
能力的に【アビスフォーム】と被ってしまう気がしてならない。これはあっても良いんだろうか?
「それの使い方はハチ次第だ。深淵にこれと言った定形は無い」
「それの使い勝手は良いよぉ?まぁ、只の人間じゃ使いこなすのは難しいだろうけど、自身の限界を高めようとしてるハチ君みたいなのが持ったらそりゃあ面白い事になりそうだ!」
情報が少ないな……だけど確か、【アビスフォーム】使用中はアクティブスキルと魔法が使えなくなるけどこれはパッシブスキルだから併用する事も出来るんだろう。あとなんか使い勝手良いらしいけど、まずここじゃ深淵が使えているのかどうかすら分からないから地上に戻ってから使ってみるしかないか。これも深淵関係だからプラクティスじゃ使えないだろうし……
「とりあえず使ってみれば分かるって事ですね」
「そうそう。それを使ってもっと暴れる君を見たいな!」
「それを使えば我も更に世界を見やすくなる。そうだな、種の様な物と想像すると良いだろう。ハチが力を使う事でハチの深淵が徐々に広がって我が貸せる力もハチが扱える深淵も増す。まずは気に入った相手に深淵とはどういう物かを体験させ、見込みある者には我を広げる役目をやる。そうする事で力を増していくのだ」
【アビスフォーム】はあくまで体験版の様な物。【アビスコネクター】はアビス様から貰った深淵の種を育てて自身で扱える深淵の量を増やしていくとアビス様も更に大きくなるから大きく出来ると確信した相手に深淵の一部をあげるって事かな?じゃあ可能な限り大きく出来る様に使っていった方が良いのか。これはもしかして使用してもアビス様の手助けでは無い判定で経験値が大幅に減る事が無くなる?いや、経験値減少は【深淵の一撃】を使用した時か
「分かりました。自分なりに深淵を深めてみようと思います」
「頼んだぞ。では行ってこい」
「はい!行ってきます……あっ出来たら少しやさしっ、ぶへぇ……」
やっぱりというか突然穴が出てきて吸い出されるように深淵から放出された。また地面に投げ出されて口の中に土が……ぺっぺっ
「パッシブだからいつでも出せる状態なんだろうけど……うーむ、どうやって使うんだろ?」
まず深淵を使う方法が分からない。【アビスフォーム】を使えば少しは何か掴めるだろうか?
「【アビスフォーム】」
こういう時は深淵をまず纏ってみよう。【アビスコネクター】でどのくらいの深淵が使えるのか分からないけど、まずは深淵をしっかり感じ取る事から始めよう
「こうなっちゃうともう手足みたいに使えるんだけどなぁ……」
背中の触手4本になってしまえば簡単に扱えるんだけど、体に纏っている深淵を操れるかと言えばそれは出来ない。この触手は扱いやすいように具現化した深淵だとでも言うのだろうか?
「あ、そういえばアビス様は深淵に定形は無いって言ってたっけ……【触手攻撃】を使えば攻撃の種類が変わるのはその定形が無いって特性のお陰なのか?」
体に纏う深淵は多分あの場の深淵そのままを纏って、背中の触手の部分は扱いやすく、形を変えた深淵。そういう2パーツで構成されているから【淵伝】とかで触手を離して使用する事が出来るんだろう。となるとまずは、纏っている深淵の存在をしっかり認識する所から始めよう。背中の触手はそこから生えているような感覚だったから何も考えずに使用していたけど、今回は纏っている深淵を感じなければならないからいつも以上に真剣にやらないと
「…………」
まずは胡坐をして目を閉じ、集中する。目からの情報は今は必要無い。自分の体を包む深淵を感じる事が何よりも重要。不安や恐怖、高揚感や全能感。深淵を感じ取ろうとしたら様々な感情の様な物が体を駆け巡り、そしてすぐに無へと帰っていく。無から有へ、有から無へ。それを何度も色んな場所で繰り返して僕の体の表面に漂っている。これを掴むというのは無理なんじゃないだろうか?この変質こそ深淵の見えぬ奥底って奴?
「ダイラタンシー的な感じもありそうだな」
普段は液体の様でも衝撃が加われば即座に硬質化するような要素もこの纏っている深淵にはある。この掴めない物を掴もうって言うんだから難しい
「今のこの姿はアビス様がこれだって思ったからこの姿になっているのか?だったら僕が利用出来る深淵も僕がこうだ!って思ったら現れてくれるかも……」
どんな形にも変わってしまうのであれば僕がこの形であれと願えば僕の深淵は応えてくれるのでは?そう考えてまずは出現するイメージを強く頭の中に思い浮かべた
「出ろ!僕の深淵!」
傍から見れば痛い中二病と言われるかもしれない。だけどここには誰も居ない。そこでお腹の前で掌を上に向けてイメージしてみたら……
「出たっ!ってちっちゃ……」
親指サイズの黒い靄が掌の上に浮かんでいた