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城脱出

 なんとかチェルシーさんをリリウムさんに押し付けてフリーになったので、ミラ(ハスバさん)の元にそれと無く向かう。キリアさんは満足したからもう大丈夫だろう


(どうですか?そっちは上手くいきましたか?)

(あぁ、経験値アップのアイテムを貰えたよ。私としては貰う物を貰えたからいつでも撤退出来るぞ)

 互いに背中を向けながらウィスパーで会話する。いつでも撤退出来るっていうのはありがたい話だ。あとはどのタイミングでこの会場を後にしようか……


(じゃあ一応いつでも帰れるようにしておいてください。これでハスバさんがやりたい事は終わったみたいですし、バレない内にさっさと帰りましょう)

 12時まで待つ必要も無い。要件が終わったのなら帰ろう


「何を食べようかな?」

 まずはこの場から居なくなる為の言い訳をしながらフラフラと歩いて他の人から離れる。ついでにユイの方も動かすか、めろにゃんさんに知らせてユイのエスコートでも……


「執事君、ちょっと良いかな?」

「……何でしょう?リリウム様」

 チェルシーさんもっと足止めしてくれよ……まぁ僕もキリアさんと踊ったから時間的には頑張った方か……それで今度は僕に対して来たか。なんだ?とりあえず何もバレないように相手の目を見て逸らさないようにしないと……


「君は何か他の男性とは違う何かを感じるよ。どうだい?私と一曲踊ってみたいかい?」

「大変光栄な事とは存じますが、遠慮させていただきます。自分の様な者がリリウム様に釣り合えるとは思えません。男とは恥を嫌う生き物ですので」

「そうか……私が今日、ダンスを断られたのはこれで2人目だよ」

「誠に申し訳ありません。美しき華様達とのダンスをお楽しみください」

 適当な事言ってみたけどこれでちゃんと断れると思う。僕は絶対にリリウムさんとは踊らないぞ?ここで下手に踊る時に触られて、思考を読み取るとかそういう能力がリリウムさんにはあるかもしれない。プレイヤーじゃない相手はどれだけ理不尽な能力を持っているか分からないから可能な限り触れられるのも避けたいが……そういえばミラ(ハスバさん)の方は踊ったんだっけ?じゃあ踊っても大丈夫だったかもしれないな……まぁもう断っちゃったから知ーらない!




「私を見ると、男は大抵厭らしい目付きで見てくるが、ずっと目を見て話してくれたな……」

 男が嫌いという訳ではないが、大抵の男は自分の胸に厭らしい目線を向ける。チラチラ見る奴も居ればジッと顔を見ている時間より長く見る男も居た。今までずっとそういう目で見られてきた男を好きになれなかったリリウムがずっと目を見て話してくれたあの執事にはとても好感が持てた。だからダンスに誘ってみたのだが……彼はずっと私の目を見て丁寧にダンスへの誘いを断った。いつもの感じる厭らしい目線が微塵もなかった。彼はもしかすると私の様に異性からの厭らしい目に晒されて同性の方しか好きになれないようになってしまったのかもしれない。執事の仕事として自分の主人と友人とは踊るが、仕事でなければ感情がそれを拒否してしまうのだろうと……


 と、リリウムは考えていたが、本当はただハチが警戒していただけであった事を知る由もない




(11時半ですが、目的を達成したなら離脱しましょう。とりあえずユイで離脱します)

(了解だ。こそっと出よう)

【イリュジオ】のユイ、ミラ、僕が一緒には出ないようにタイミングをずらしてダンスホールを出る。ユイを出す時はめろにゃんさんがボディーガードよろしく男避けをしてくれたのでユイも無理なく離脱出来た。あとは人数を調整して城から出ればミッションコンプリートだ


「失礼」

「ちょまっ……」

「ひえっ」

 アイリスさん達の目を掻い潜る為にわざと人の多い所に突入して避けられそうになったけど、一歩引かれる前にこっちが先に動き、【擬態】で姿を隠す。これだけ人が居ればアイリスさんの生命探知でも僕を発見する事は無理だろう


「よし、【ヴァルゴ】」

 会場を後にしてユイに戻り、これでハチは消えた。まぁ自分の事だけどよく消えるし、問題無いだろう。2人に増えたユイは【イリュジオ】の方を消せば問題無い


「あらまぁ……一応筆談で状況は分かったけど、これは凄いわねぇ……」

「めろにゃんさんのお陰で助かりました。これから城を脱出するので、また何処かで会いましょう。良かったらフレンド登録しませんか?たまに時間が取れた時には例の魔法を使ってあげますよ」

「あらホント?それならお友達になってくれるかしら?」

「ええ、喜んで!」

 ドレスの製作、城への侵入手段、城内での手助け。これだけやってもらってまだフレンドじゃなかったんだからある意味驚きだよなぁ


『めろにゃん とフレンド登録しました』


 新しいフレンドの追加だ。ある意味共犯友達?


「じゃあ僕らはここで失礼します。めろにゃんさんはラギさんとパーティー楽しんでください」

「ええ、足止めはする?」

「やるなら不自然にならない程度で良いんでお願いします。無理はしないで」

「分かったわ!」

 こういう時の漢女はもの凄く心強い。後ろは気にせず城を出よう




「もうお帰りですか?」

「ええ、少し早いかもしれないけど満足したから。それに帰りはこの街を見てから帰ろうかと思ってね?」

「外のお祭りも見たいですから」

 ミラと適当な嘘を並べて門番の追及を躱す


「先程のお客様は?」

「誰の事かしら?」

「ミラ姉さま、ごめんなさい。先程入口で困っていた人を城に入れてあげる為に勝手に一度城を出て、その人のパートナーとして城に入ったの。あの人は中で知り合いの方とダンスをしていたわ。だからもう私が居なくても大丈夫かと思って……出る時は1人でも問題無いってさっき言ってましたよね?」

 適当に芝居をして門番さんに振る。ダメって言える訳無いよなぁ?さっきアリバイ作る為に一度出たんだから


「まぁ……はい」

 この言いよどむ門番の人の反応を見るに何となく背景としてリリウムさんが気に入った人が城に残って、相方だった人は一人で帰るとかあったのだろう。NTR?とかなんとかそういう奴?


「「では、さようなら。良い夜を」」

「良い夜を」

 2人でそう門番に言い残し、城を後にした。脱出成功だ!




「「かぁー!疲れたぁ!」」

 門番の目も届かなくなるくらい離れて、人気のない路地裏に入ったら服を着替えていつもの姿に。幾らオーダーメイド品で楽になったとはいえ、ヒールでずっと歩くのは疲れる。さっさと脱いで、あとは男に戻る時間までは人目に付かない所に隠れてやり過ごそう



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― 新着の感想 ―
[一言] 〉ドレスの製作、城への侵入手段、城内での手助け。これだけやってもらってまだフレンドじゃなかったんだからある意味驚きだよなぁ そういやそうか。確かに驚きだ。いい人だな。めろにゃんさん。 ………
[一言] ま~た変なフラグ立ててこの子はぁ~!
[一言] 主人公は何もアイテムを貰ってないのかぁ。
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