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58/2001

雪を越えて

「村から結構走って来たけど、着ぐるみなのに疲れないや」

 実際の着ぐるみなら走るだけで辛いだろうし、そもそも視界だって覗き穴くらいしか確保されないだろう。だけどこのシロクマコスチュームは視界は通常の視界と一緒だし、走っても体が熱くならない


「あっ、そういえば……【リインフォース】!」

 シロクマコスチュームで【リインフォース】を発動すると……


「おぉ!これ結構好きかも!」

 手足を包む薄い水色のオーラ。爪の部分とかもちゃんとオーラで包まれてちょっと強そう


「実際の熊もこんな崖登ったりするのかな……?」

 木を登ってみたり、崖を登ってみたり……動きを確認しているが、本当に自分の体っぽく感じて普通の服を着て動いている時と何ら変わらない気がする


「戦闘もやってみようかな……」

 崖を登り切って、地面に辿り着いたので今度は戦闘も出来るかチェックしたい。防寒具として作ってもらったけどこのまま戦えるかもチェックだ。体の動きは変わらなくても普段の僕とシロクマ状態の僕なら当たり判定(体の大きさ)が違うから戦闘中の感覚も分かっていないと手痛い一撃を貰いかねない


「アミュレットのお陰で大体先に攻撃されないっていうのがとてもありがたいな」

 周りを歩いたり這ったりしている生き物はこっちを見ても「何だ熊か……」みたいに素通りしていく


「うーん、あの猪とやりあってみようか」

 ミミックさんとヴァイア様を連れて村に向かった時にすれ違ってヴァイア様に瞬殺された猪と似た少し小ぶりの奴がフゴフゴと地面を嗅いで食べ物でも探している様に見えた。悪いけど相手になってもらおう


「そりゃ!」

「ブゴッ!?」

【投銭術】を使って先制攻撃。シロクマが銭投げをするシュールな光景だろう


「ブモォォ!」

 怒ってる。完全に怒ってる


「せぇい!」

 怒って突進してきた猪の顔面に鉄砂掌を炸裂させる。腕を振るい、顔面に僕の左手が叩きこまれる。何気に爪があるから顔に爪が食い込んで普通の鉄砂掌よりエグイ入り方をしたかもしれない


「ブギョッ……」

 突進に対して正面からの鉄砂掌を喰らい、突進のスピードと鉄砂掌の勢いが合わさり、猪の首の骨を簡単に破壊した。多分だけど【オーガン・ブレイカー】が作用してるかもしれない


「うん、ちゃんと動ける」

 ナイフを突き立て、素材にする


『猪の皮×1 猪の肉×1 入手』


「正直1発で決まるとは思ってなかったけど動きはスローに見えたし、キチンと一歩引いて当てやすい所で当てられたし、いつも通りで良いかも」

 シロクマコスチュームでも問題無く動ける事が分かったのでまた崖を登る


「普通のプレイヤーってどういう風に遊んでるんだろうね?」

 他の誰かとパーティを組んで戦闘……とかしてるのかなぁ?それとも鍛冶をして武器作ったりーとか?


「まぁ今の僕には関係無いか。少なくともシロクマの着ぐるみ着てロッククライミングやってるのは僕だけだろうな!」

 色んな人や色んなプレイスタイルとかもあるだろうし、街に行ったら他のプレイヤーがどんな風にプレイしているか観察とかしてみようかな?


「さて、独り言してても寂しいだけだからしっかり登ろう」

 登るスピードに関しては多分今の所トップクラスだと思ってる(僕調べ)


 ガシガシと崖を登る。そういえば魔法使う敵って全然会わないなぁ……あのアルビノグラットベアも口から氷柱ショットガンの魔法(?)攻撃をしてきたけどやっぱり魔法を使う敵って言ったら杖を持ってたり、本を持ってたりとこう、ザ・魔法で攻撃しますよ!感のある敵は崖の付近には居ないのかな?やっぱりそういう敵は登山道的な所に居るのかも?まぁ居たとしてもわざわざそっちの道を通ろうとは思わないけどね


 崖登りをして、遂に前回到達したアルビノグラットベアが居た所までやってきた


「凄い、寒くない!」

 雪が降っている場所までやってきたけど全く寒さを感じない。これがこのシロクマコスチュームの性能か……


「雪だるまでも作ろうかなぁ?」

 寒さを感じなかったので雪だるまでも作ろうとして地面にしゃがみ込み思い出す


「そうだよ!こんな所で遊んでるんじゃなくて僕は頂上を目指すんだった!」

 しゃがみ込んで雪に手を付けようとしたらふと山の先が見えたので目的を思い出した


 吹雪でも今のシロクマコスチュームなら登れると自信があったので立ち上がり、山の更に上に向かう事にする


「さて、気を取り直して……この先には何があるのか!いざ!登山!」

 雪の中でも【リインフォース】を使いながらガンガン進む。崖だろうがクレバスだろうが関係ない。全てを越えて山の頂上へ!




「おぉ?あれは何だろう?」

 山を登り、もうそろそろ頂上かな?って時に氷で出来た騎士っぽい物が置いてあった


「何だろうこれ?」

 氷の騎士に近寄ってよく見てみる


「……読めない」

 何か胸に文字が書いてあるみたいだけど読めない。日本語でも英語でもなさそう。独自の言語みたいだ


「んー?あっ!あれはひょっとして山頂かな?」

 雲が晴れて山の頂上に建物の様な物が見える。あそこに行けば人形のパーツが見つかるかな?


 1歩踏み出して建物に近寄ろうとしたら氷の騎士が動き出した。なるほど、門番って事か!



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