トーマ君恩返し
「ふぅ、やっぱり普通の靴が一番!」
「ハチ君が履いているのが普通かどうか分からないが……まぁ長時間ヒールを履くのは確かにキツイな」
踏み躙るエゴが普通の靴かと言われたら確かに違うかもしれない。でも踵の位置が低いとかなり歩きやすいからエゴも普通の靴だ
「じゃあ、お疲れ様でした」
「あぁ、お疲れ様」
城から出て、次にやる事は……
『トーマ君、今話出来る?』
トーマ君にメッセージを飛ばす
『はい、どうしました?』
『ちょっとトーマ君に聞きたい事があってね?』
『なんでしょう?』
『属性武器とか作ってたよね?それで属性攻撃について教えて欲しいなと思って』
正直属性攻撃の事を完全に知っている訳では無いし、属性攻撃系に詳しそうなのはチェルシーさんよりトーマ君かなと思って聞いてみた
『属性攻撃は火属性とか氷属性とかを武器に付与して攻撃する手段ですね。魔法みたいに直接的な攻撃手段では無いんですが、武器に属性を付与させるのでダメージを与える時に自分の武器の威力+その属性でのダメージになるので、相手に物理攻撃の威力を軽減されても属性によってダメージを上げる事も出来ます。ただ、相手の得意な属性だったりすると逆にダメージが減ったりします。関係無い属性は特に威力上昇とかは無いみたいです』
ふむふむ、弱点属性以外でダメージ上昇効果は無いと……逆に得意属性だと威力低下か……意外と属性攻撃は使い勝手が悪いのかもしれない
『INTが低くて魔法によるダメージを与えられない人でも、武器に属性を付与することで相手に属性でのダメージを与える事が出来ます』
『それなら戦士系の人でも属性攻撃の手段があれば魔法と同じような効果があると思えばいいのかな?』
魔法なら弱点属性じゃなくてもある程度のダメージを与えられるけど、属性攻撃は弱点属性を突いた時により大きくダメージを与えられると……相手の弱点属性を知り、それを突ける属性を持っていたら使えるという割と使いにくい物なのかもしれない……
『はい!武器自体に既に属性が付与された物を使う事で戦士系の人達はMP消費無しで属性攻撃を使えるので、今作っている属性武器は結構人気ですね』
戦士系の人がMPを使わないで属性攻撃出来る様になったらそりゃあ、ありがたいよな
『なるほどね。情報ありがとうトーマ君』
『お役に立てたようでなによりです!』
『そんなトーマ君に見て欲しいアイテムがあるんだけど、今から会えるかな?』
『今はフォーシアスに居ますね。空島に行きますか?』
来てくれるならありがたい
『じゃあ、空島の城前に来てくれるかな?どうしてもトーマ君に見てもらいたいんだ』
『分かりました!今すぐ行きます!』
情報料代わりに亡霊剣の柄をプレゼントだ
「遅くなりましたー」
「いや、全然遅くないよ。すぐ来てくれてありがとう」
走って来たんだろう。肩で息をしている
「どうしても見て欲しい物って何ですか?」
「これなんだけどね?ちょっと見てくれるかな」
そう言って亡霊剣の柄をトーマ君に手渡す
「な、なんですかこれ……?」
「武器の素材にするとその武器の重さを凄く軽くする物らしいんだけど、これだけでも重さを全く感じないし、ちょっとトーマ君のアレ試してみてくれない?」
「分かりました……」
トーマ君がポケットからインゴットを取り出し、恐る恐る亡霊剣の柄にインゴットの刃を着ける……どうだ?
「まるで重さを感じない……凄いです!」
「じゃあそれあげるよ」
「流石にそれは良くないです!ハチさんに色々貰っているのにまだ自分は恩を返せていません!なのにこんな凄い物まで貰うなんて……」
よし、良い感じに釣れたな?
「じゃあさ?僕と一緒に属性攻撃を入手する手段を探してくれない?1人より2人ならより効率が良いと思うし、それの報酬として先払いでその柄をトーマ君に授けよう!これでどうかな?」
流石に今まで無償で色々あげてたし、トーマ君も僕に悪いと思って断る事は何となく想像出来ていた。だったら恩を返せる状況を作ってあげれば受け入れやすいだろう
「ハチさんに恩を返せる!?やります!やらせてください!」
「一応言っておくけど、トーマ君?悪い人に騙されないように気を付けてね?」
恩を返す為に属性攻撃の手段を一緒に探してもらうという時間の掛かりそうな事を手伝ってもらう。これでトーマ君も正々堂々報酬を貰えるわけだ。ただ僕が用意した提案を凄く簡単に受け入れたし、悪い人に騙されないか心配になってくる
「悪い人……は多分大丈夫です!騙されてないです!」
「うん、トーマ君は悪い人とか怪しい人に騙されそうになったら他の大人とかにも聞いてそれが安全かどうか確認してみて。それで僕のお願いは武器じゃなくて、自分自身に属性を付与したいって話だからもしかしたらその手段を探していたら何か戦闘があるかもしれない。だから武器を軽くするその柄なら戦闘しやすいでしょ?その為の先払いだから遠慮しないで受け取ってよ」
「はい!絶対に探し出してみせます!」
「ゆっくりで良いからね?」
僕も探すつもりだし、どちらかが見つけられればラッキーくらいの内容だ。僕以外にも探してくれる人が居るのならその手段を発見するチャンスが広がると言う事……出来れば自分で見つけたいけど、手伝いを頼むくらいなら良いだろう