言い訳マジック
「今日はこの辺にしておこうか」
「歩ける様になっただけですけど、まぁこのくらいのペースで頑張って行きますか」
大分歩ける様になったけど、今日はこのくらいで止めておこう。ヒールに馴れ過ぎたら普通の靴での戦闘に影響が出るかもしれない。このくらいで止めておくのが良いだろう
「ダンスも良いが、他にもやりたい事とかあるだろう?」
「そうですね。色々やりたい事はあります」
今までは素手で刺突、斬撃、打撃の3種が使えれば充分かと思っていたけど、このまえのボス戦で属性攻撃も持っていないと今後やっていけないかもしれないと思ったので属性攻撃の手段を探さないといけないと思っていた
「次は何をする気だい?」
「属性攻撃が使える様になる手段でも探そうかと思ってます。これからも何とかやっていく為には今後は無効化に対抗出来る物が無いとダメだなと考えさせられる事がありまして……」
アーディと戦った時は完全にラッキーで打撃と聖属性が通ったから何とかなったけど、これからは火しか効かないとか、物理無効とか出てくるかもしれない。まぁ物理無効が来た場合は完全に詰みだけど……
「属性攻撃って基本的には武器に付与したり、武器を用いて使う物なんだが……」
「なるほど、そういう物なんですね」
まぁトーマ君が作ってる属性武器とかが特殊なだけで、基本はアイリスさんみたいに刀に属性を付与してから攻撃するみたいなのが属性攻撃の基本なんだろう。素手に付与はシスター服みたいな特殊な装備が無いと出来ないのかなぁ?魔法での攻撃が出来ないのは今後足を引っ張るのかもしれないな
「あっ、そういえば……」
あのボス戦で入手したアイテムの1つである亡霊剣の柄。これは武器の素材にすると武器の軽量化が出来るらしいけど、武器の素材じゃなくてそのまま使う場合はどうなるんだろうか?
「やりたい事も出来たので今日はこの辺にしましょう」
「あぁ、秘密のダンスレッスンは少しずつにしよう」
ハスバさんとのダンス練習初日はヒールで歩いただけだが、初日ならこれでも充分な気がする
「明日も出来ます?」
「明日は夜なら出来るな。これから夜に練習しようか」
「分かりました。じゃあ夜にやりましょう」
次の練習する時間も決めたし、まずはトーマ君に会いに行こう
「一緒に出るのは一応避けましょうか」
なんとなくハスバさんと一緒に出るのはマズい気がする。出るタイミングはずらした方が良いだろう
「そうだね。もうハチ君は芸能人みたいな物だし、スキャンダルは良くないね?」
「スキャンダルって……」
なんでそんな扱いなんだろう?まぁこれで下手にハスバさんとハチがデキてるとか言われた日には寝込むかもしれないけど……
「裏口でもあればそっちから出ようか?」
「裏口かぁ……多分城の塀を超えるくらいしかないんじゃないですかね?ロープでも用意します?」
「じゃあ、そうしてくれ。一応何か追及された時の言い訳は用意しておいた方が良いんじゃないか?」
「まぁ、ハスバさんが毎回来ていたら流石に怪しむ人は出てくるかもしれないし、何か別の事をしてるって言い訳はあった方が動きやすいか……マジックの練習をしているとかどうでしょう?こっそり練習して他の人に知られたくない、覗かれたくないって理由には良いと思うんですが……」
「おぉ、それは良いね!それなら覗きに来ようとした人を追い返す理由としてはかなり良いじゃないか」
マジック(いつ披露するか分からない)を練習中なので出来れば見ないで欲しいという言い訳を用意しておけばかなり強い言い訳になるんじゃないだろうか?サプライズしたいから出来るだけ見られたくない、助手役としてハスバさんに手伝ってもらっている等、言い訳としては充分強力な物が揃っている。これは実際に少しくらいはマジックが出来ないとダメかもしれないけど、ダンス練習のカモフラージュにするにはこのくらい強力な言い訳を用意した方が良いだろう
「私達は城でマジックの練習をしているから他の人に見せられる物にする為にコッソリ練習している。だから今は見られたくない。見せられないという訳だ」
「中身としてはミラとユイという姉妹でダンスパーティに出る為にダンスの練習ししている……まぁ1週間隠す為の嘘としては上出来なんじゃないでしょうか?」
これでもまだ覗きに来ようとする人はジェリスさんが止めてくれるだろう。安心安全である
「ハスバさんだと遠慮なしに聞いてくる人も居るかもしれませんからさっきのマジック言い訳で切り抜けましょう」
「あぁ、ハチ君だと多分聞こうとする人は少ないと思うが、私の方はバレたらなんとしても聞き出そうとしてくる人は居るかもしれない。情報を漏らす気はサラサラ無いが、ハチ君の為に手伝っていると言えば文句を言う奴は居ないだろう。ましてや、ハチ君の邪魔をする気か?と言えばそれ以上は誰も追及も出来ないだろうしな」
「僕ってそんなに他の人に怖がられてるんでしょうか?」
「そりゃあ、あのイベントで1人で何役もやってたんだ。フレンドじゃない人達はどれがハチ君の本当の顔か分からないだろう?」
そうかぁ……まぁそれは仕方ないかなぁ
「それで覗こうとする人が減るのなら今は好都合という事にしておきましょうか」
人の動きを完全にコントロールするのはまず無理だろう。ある程度のコントロールする要因がいくつもあってコントロール出来るだろうし、その1つだと思っておこう