防寒具完成!
「ハチぃ……もう一杯」
「ドナークさん飲み過ぎですよ……」
「お゛え゛ぇ゛気持ち悪ぃ……」
「あぁあぁ……ワリアさんは水でも飲んでください」
ワリアさんの家で急遽始まった飲み会で僕はお酌をしていた。ドナークさんは滅茶苦茶飲んでそれに付き合っていたワリアさんはグロッキーになって口から虹色の何かを吐いていた。これゲーム的な処理されてなかったらリアルゲ〇が……うん、考えるのはやめよう
「あの、もうそろそろドナークさんが作った物が見たいんですけど……」
「ハチぃ……サケ頂戴」
「どっちのですか?」
「どっちも!」
「せっかく作ったサケとばが……」
ワリアさんにあげた分のサケリンクスは既に完食。僕の為に作っておいたサケとばもほとんど食べられてしまった
流石にこのままだと話も出来ないと思い、ドナークさんとワリアさんにレストを掛けた
「いやぁ悪い悪い!美味くて手が止まらなかったんだよ!良い出来だったぞ!」
もう無くなりましたけどね?
「すっげぇな!二日酔いの感じも無く超スッキリだ!」
レストが解けてからワリアさんは体の調子がとても良くなったのか凄く機敏に動いていた
「2人共もう大丈夫ですか?」
「おぉ!レストだっけ?凄いな?」
「助かったよ。しこたま飲まされた時はいっつも気持ち悪くてな?ガッツリ飲んだし、また酒を造らないとなぁ……」
ワリアさんも苦労人だなぁ。自分で造ったお酒を付き合わされて気持ち悪くなるって……
「で、ご褒美のお酒タイムはこの辺で終わりとして……出来たって言ってましたよね?ドナークさん」
「あっそうだった!家に置いてあるから今から取りに来いよ」
「行ってこいハチ。後片付けはやっておくから」
「じゃあ行ってきます。ありがとうございましたワリアさん!」
ワリアさんの家から出て、ドナークさんと一緒に出来上がった防寒具を見に行く
「どんな風になりました?」
「まぁ見てからのお楽しみだ!」
ドナークさんに聞いても明確に答えてくれない。いったいどんな防寒具を作ったんだろう?ロシアとかで使ってそうなもこもこの帽子とかあったりして……
「ハチ、家に置いてあるから先に入って見てみろ」
「え?」
「いいからいいから、まずは1人で楽しんで来い」
「ん?」
防寒具なのに楽しんで来いってどういう事だろう?
ドナークさんに言われるがまま一人でドナークさんの家に入ってみる
「こ、これは!?」
全体的なシルエットは丸く、そして可愛らしい手足と僕が潰した鼻が活かされ、とてもマスコット風な顔のシロクマ……というかこれ
「着ぐるみ?」
僕が倒したシロクマがデフォルメされ、僕の体に合いそうなサイズの着ぐるみになって椅子に座っていた
「どうだ?凄いだろ!」
後ろからドナークさんが腕を組んで現れた
「いや、凄いですけどこれ……ホワッ!?」
『シロクマコスチューム を入手』
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シロクマコスチューム
レアリティ エピック
DEF +50
MIND +50
AGI +30
DEX +45
耐久値 200%
特殊能力 自動修復 超環境適応力(過酷な環境でもデバフが付かない)
アルビノグラットベアを丸ごと使った着ぐるみ。グラットベアの中でも特に適応力が高いアルビノ種を使った着ぐるみの為、火山だろうが永久凍土だろうがへっちゃらだ!
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シロクマコスチュームに手を触れると僕に所有権が来たのか、情報が出てきた。シンプルな事を書いてあるけどこれめっちゃ凄いじゃん!
「とりあえず着てみても良いですか?」
「おう!しっかり採寸したけどちゃんと着れるかどうか確認してくれ」
ドナークさんが一旦家から出て行った。着替えだから気を使ってくれたのかな?
「そういえば着ぐるみって装備状況とかどうなるんだろう?」
確か装備欄は頭、胴、腕、足、靴って5か所だった気がするけどこういう着ぐるみだと全部の枠を使って装備ってなるのかな?
どうなるか分からないし、物は試しと今の装備のまま入ってみようと思う。シロクマの背中にでっかいチャックが付いていたからそのチャックを下げて中に入ってみると装備していたローブとズボンと靴が青いポリゴンとなって消え、インベントリに装備していたアイテム達が入っていた。ほうほう?こうなるのか
「おぉーなんか快適!」
熱くも無く、冷たくもない。着ぐるみの中はとても快適な空間になっている
「これで脱ぐとどうなるんだ?」
今は着ぐるみを装備してるけどこれを解除したらどうなるのか……背中のチャックは内側からも開けられたので開けて外に出てみるとシロクマコスチュームが青いポリゴンになり、消えたと思ったらそのポリゴンが僕の体にくっ付いて来てローブ、ズボン、靴とシロクマコスチュームを着る前の服装に戻った。これは嬉しい効果だ。着替えする時にいちいち外したり付けたりしなくて良いから時間が結構短縮される。とりあえず気に入ったのでシロクマコスチュームを着て、ドナークさんの家から出る
「着ぐるみなのに本当に自分の体みたいだ……」
手をグーパーしたり、けんけんぱしたり体の動きをチェックしたけど全然着ぐるみで動きを阻害される感覚が無い
「はっはっは!シロクマだベアー!なんちゃって……ハッ!?」
「ぶっ!なーにやってんだハチ!うははは!」
ドナークさんにふざけていたシーンを思いっきり見られた