(ある意味)爆弾発言
「一応一旦落ちます。ハスバさん、いつ空いてます?」
「明日の午後は空いてるよ。そろそろ仕事が始まるからいつでもインは出来なくなるが、そのくらいの時間は作るさ」
「ハスバさんが仕事か……」
どうしてもスク水忍者頭巾がデスクワークしている所を想像してしまって吹き出しそうになる
「多分想像している事は分かるが、流石にこの恰好で仕事はしないぞ?」
「まぁそんな職場だったら間違いなく僕は辞めますね」
まだ僕は学生だけど、自分が働いていると想定するならそんな人が居る職場は嫌だ
「一応これでもそこそこ稼いでいるんだよ?」
「リアルの事は聞くつもりは無いんで、それはどうでも良いですが……とりあえず僕も明日の午後は行けるんで練習の場所とか詳細な時間は後でメッセージ送ります」
正直この事は誰にも知られたくない。というか、知られてはならない。可能な限り隠すには隠密に事を進めないと……
「分かった。じゃあメッセージ待っているよ」
「はい、めろにゃんさんもありがとうございました」
「ええ、またいらっしゃい?」
めろにゃんさんの店から出て、空島に戻りログアウトする……前に一応チェルシーさんのメッセージ拒否を解除しておくか。これでメッセージ連打をするようならまた拒否設定にしておこう
「おっ?いきなりか……いや、アイリスさんか」
解除した途端にメッセージが来たと思ったら、チェルシーさんでは無く、アイリスさんだ。何かな?
『ハチ君。1週間後にサーディライの城でパーティーがあるのですが、一緒に行きませんか?』
おっと、パーティーへ誘ってくれるのはとてもありがたいんだが……もうハスバさんと行くって約束してるから一緒には行けないな……
『ごめんなさい。そのパーティーですが、もう相手が居るので一緒には行けないです』
よし、一応返事はしたからこれで大丈夫だろう。さて、ログアウトして社交ダンスとかが題材の映画を探そう!
「ふぅ……よし!」
サーディライのお城で男女か女性ペアのダンスパーティー。ハチ君が誰か女性を誘ってこんなイベントに参加するとは思えない。それならと、誰かに誘われる前に私が誘えばハチ君と一緒に踊る事が出来ると考えた。悩みに悩んだアイリスは意を決してハチ君に連絡する。なお、この決断に至るまで、情報を入手してから約半日経過していた
『ハチ君。1週間後にサーディライの城でパーティーがあるのですが、一緒に行きませんか?』
この一文を書いて送るのでさえ、かなりの時間を要してしまった。だけど、これさえ送ってしまえばハチ君からの返事は……
『ごめんなさい。そのパーティーですが、もう相手が居るので一緒には行けないです』
「……え?」
誰?誰が相手?ハチ君に相手?お姉ちゃん?それともあの姉妹?チェルシーさん?それ以外の誰か?誰?誰?誰?
『いったい誰と行くんですか?』
『いつ誘われたんですか?』
『それともハチ君から誘ったんですか?』
「私は何を……」
焦って本音をぶちまけたメッセージを3件送ってしまったが、偶然にもまだ既読されていなかった。今の内に消去しておこう。こんな文章を見られたらそれこそハチ君に嫌われてしまう
「でも、ハチ君の相手っていったい誰?」
1週間経てば必ずハチ君はパーティーに参加する為に城に現れる。その時にハチ君の隣に誰が居るのかの答え合わせが出来るとしても、その時までハチ君の相手が誰なのか分からないのがとてもストレスだ
「アイリス、どうした?」
「お姉ちゃん。もしかしてとは思うけどハチ君を城のパーティーに誘った?」
お姉ちゃんがハチ君を誘っている可能性があると思い、聞いてみた
「いや、面倒事が起こらないようにアイリスと行こうかと……確かにハチ君を誘うのも考えてみたが、女性ペアで行けるのならアイリスと一緒に行くのが良いだろう?それにハチ君が参加するかどうか怪しいイベントじゃないか」
「誰かハチ君とダンスパーティーに参加するみたいなの」
「……何?」
流石にお姉ちゃんも聞き逃せなかったみたいだ
「ハチ君が……誰かとダンスパーティーに出るのか?」
「相手は分からないけど、さっき連絡してみたらもう相手が居るからごめんなさいって……」
「あのハチ君が?誰だ?誰と一緒に行くんだ……?連絡を取って確認した方が……いや、直接会いに行った方が……」
さっきの私はあのように取り乱していたんだ。一人だとあのままハチ君にメッセージを送ってしまうのは目に見えている
「お姉ちゃんストップ。それはもう私がやったから」
「そ、そうか……まぁハチ君だと誰かに一緒に行ってくれと言われたら余程嫌いな相手でもない限り人助けくらいの気分で参加するかもしれないな。そうだ!そうに違いない!」
「そ、そうだね!ハチ君なら私達が隠しダンジョンで困ってるって言った時にすぐに助けに来てくれたし、そのくらいの気持ちで誰か分からないけど、パーティーに行きたいから一緒に行ってと言われただけだよね!」
そう言って自分の気持ちを整理するアイリス
だが、真実は残酷かな。ハチ君をダンスパーティーに誘ったのはあろうことか青天の霹靂のハスバカゲロウである




