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無力なアーディ

「地獄?それはひょっとして死後の世界の話か?ふっ!私はもう不死だ!地獄など行った事も、これから行く予定もない!」

「それじゃあその予定の中にこれから地獄ツアーに行くって書いておきなっ!」

 魔硬貨を投げつけて僕も本格的に攻撃に参加する。ドクターが作ってくれた付け入る隙……ここで利用しないでどうする


「はっ!」

「ふんっ!」

【ミスティックミスト】は奴が人間になった時にあっという間に消えてしまったので、再展開したところで多分無意味だ。ならばと正面から掌底をすると、アーディは骨で出来た杖を地面から出現させて攻撃を防ぐ。ネクロマンサーらしい悪趣味な杖だ


「良い、馴染むぞ!この体!基本的な属性攻撃に対する耐性にこの魔力!」

「おっと!」

 魔力によるブーストだろうか?割と細めの腕で持っている杖に攻撃を止められて、そこからパワーで僕を吹き飛ばす。そんなパワーがあるようには見えない……って言ってもプレイヤーの中にも見た目とパワーが一致していない人は沢山居るか


「なるほどねぇ……口先だけじゃ無さそうだ」

 アイツは結構ヒントは言っていると思う。粘液状態だったら聖属性は最初は弱点だったけど、あとから克服して効かなくなった。だからあの時は本当に無敵状態だったのかもしれないけど、今アイツは僕の攻撃を杖で防いだ。ドクターみたいに肉体を吸収すれば良かったのにそれをしなかったという事は、今の体では相手の体を吸収出来ないって事だろう。さっきは魂と何かの骨だけという不安定な状況が今は肉体を取り戻し完全になったとアイツは思っているかもしれないが、僕としては打撃が通る人間というだけでさっきの粘液状態よりずっと戦いやすくなった


「じゃあ、僕にもう少し付き合ってもらおうかな?」

「なんだ?その踊りは……」

 カポエイラのジンガ。見慣れない人だと良く分からない動きにしか見えないだろう。まぁこれでこっちに集中している間にロザリーさんとアイリスさんが……ん?なんかスイッチの方に行ってないか?やっべ!多分なんか向こうは向こうでイベント発生してるぞコレ!


「こういうものだよ!」

「ぬっ!?」

 向こうに注目が行かないように攻撃を開始する。ジンガをしている最中に前に一歩踏み出す時にバッタパワーを使用して距離を一気に詰め、右足を外回しに回転させて相手の顎を狙うケイシャーダ。急に距離を詰められていきなり顎を蹴られそうになるという行為に驚いて後ろにスウェーして何とか躱すアーディ。あ、ダメじゃんそっちに行かれると困る


「よっ!」

「ぐおっ!?」

 回した右足が地面に着いたら、今度はその右足を軸に後掃腿で相手の足を狙う。左足がアーディの足を捉えて転ばせる


「それで?完全体なアーディ君は僕に転ばされる程度の実力しかないと……ふふっ、笑っちゃいますね?」

「貴様だけは八つ裂きでも物足りん!肉塊にしてやる!」

 何をしているのか知らないけど絶対に向こうを向かせてはいけない。僕にだけ意識を集中させるんだ


「じゃあ実力を見せてもらおうじゃないですか。完全体の力って奴を」

「……良いだろう。まずはその身に恐怖を刻み込んでやろう!【フィアーバインド】」

 僕に対して杖を向け、何かの魔法を使うアーディだが……


「なにそれ?それが恐怖?」

 黒い手の様な物が僕を掴もうとしてくるが、その黒い手に脅威を感じなかったので回避しなかったら僕に触れた途端、ビクッと震えて地面に消えていった


「馬鹿な!?コイツ、恐怖を感じないのか!?」

「少なくともその魔法は僕に恐怖を与えられるような魔法じゃないんでしょ。で?いつになったら恐怖とやらを教えてくれるのかな?」

 相手の注意を引く事を忘れない。煽りで僕に注目させて他の人の存在を忘れさせるくらいイラつかせてやる


「このぉ!」

 魔力の刃を付けて大きな鎌の様な見た目になった杖を僕に向かって振りかぶるアーディ。うん、良い感じに頭に血が上ってるな


「それじゃあ本物の恐怖って奴を教えてあげるよ」

 頼むよ?恐怖耐性とかついてたら僕もアイツみたいに恥をかく事になっちゃう……


「死ねぇ!」

「大鎌で近接戦するのって難しいんだよ?」

 鎌を右から横薙ぎに振り払い、僕を上半身と下半身に分かつ一撃。だが、その一撃は僕の【パルクール】によって鎌の柄に左手を置いて飛び越える。そしてついでに顔面に蹴りを一発お見舞いする


「がふっ、きさ……ま?そ、そんな!あり得ない!」

「それが恐怖って感情だよ」

 あっぶねぇ……恐怖の状態異常が通ってよかった。というか人型ボスだとこれ通るんだ


「こ、こんな事は……ぜ、絶対にあり得ない!」

「この世に絶対なんてありません!」

「喰らえ!」

 ロザリーさんとアイリスさんがようやく戻ってきた。ロザリーさんが何かを手に持っているが、あれは何だろう?


「邪な者を縛り付ける聖なる鎖。これでお前も終わりだ」

 ロザリーさんが手に持っている何かから光る鎖が何本もアーディに向かって伸びる。なんか1本僕にも向かってきて首を傾げるような動作をしてからアーディに向かい直して拘束した。ちょっと待って?今僕の事を一瞬、邪な者と勘違いしてなかったか?



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― 新着の感想 ―
いや草なんだけどww 邪な者ww
[一言] 【悲報】魔王指揮官、邪悪看破する鎖に捕縛されそうになる【判定辛うじて白】w 仕方ない。何せ…… 魔物由来紋所持、アビスの端末、深淵の玩具、呪具制作師、呪具✕3、悪(魔)友持、悪魔の師匠、悪…
[一言] 鎖が勘違いするのは草ですよ
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