表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/1991

サケとば

 村に帰って来てワリアさんの家にやってきた


「よーし、そんじゃ作るか!」

「そういえばジャーキーって何とか液とかに漬けるんでしたっけ?」

 何か味を付ける液に漬けてから乾燥とか燻したりするって事は何となーくは知ってる。でも知ってても知らなくてもこっちでのやり方とかあるだろうし、ワリアさん流とかあったら聞いてみたい


「あぁ、ソミュール液だな。あれの作り方を覚えていれば色々とジャーキーを作るのに利用出来るからな。俺の知ってるやり方を教えてやるよ」

「ありがとうございます!」

 ジャーキーの作り方をレクチャーしてもらう


「ここにある材料ならワインと塩と砂糖、後は胡椒も少し入れて……ハーブなんかも使うと良いな?この液に薄切りにした肉やらさっきのサケリンクスの切り身を漬け込むんだ。まぁワインが無かったらビアーをつかうと良いぞ」

「なるほど」

 ビアー……多分ビールの事だろう。まだ見てないけど多分街とかに行けば入手出来るかな?でも正直お酒は料理酒として使う以外別に要らないかなぁ……


「これをまぁ普通なら5~6時間程漬けて味をしみ込ませるんだけどな?ハチ、ちょっと魔力をコイツに流してくれ」

 そう言ってワリアさんは全てがガラスで出来た砂時計を出してきた


「これは?」

「昔倒しためっちゃ時間を遅くしてくる奴が持ってた物でよ?魔力を流せば対象の物の時間を操れるってアイテムだ」

 ボスドロップ品的な事かな?


「これに魔力を流すと上が赤く、下が青く光るんだ」

「おぉ、ぼわぁんって光りましたね?」

「今は早くしたいからそのまま赤が上の状態で地面にコンコンってしてみろ」

 言われた通りに砂時計をコンコンと地面に叩く


「大体1秒で1時間進むからな?」

「じゃあ5秒ですね?うっ……!?」

 5秒間MPを流すとMPがほとんど無くなった。僕の今のMPは575。それがほとんど無くなったから1秒でMPを100くらい持っていかれたのかな?


「どうだ?中々持っていかれるだろ?」

「まだ下味付けただけですよね……」

 この砂時計を使ってジャーキーを作ろうとしたら恐ろしい量のMPが必要になりそうだ……


「本来これは料理に使うもんじゃ無いからな。下味を付けるのはどうしようもなかったから今回使ったけどまぁこれで下味は付いた」

「これをどうするんですか?」

「今回はサケリンクスだからちょっとだけ水で洗うと良いが、肉とかでやる場合はここで塩抜きするんだ。じゃないとしょっぱくなりすぎるからな」

「魚と肉じゃ違うんですね」

 これは良い事を聞いた。肉は塩抜きしないとしょっぱくなり過ぎちゃうのか


「あぁ、塩抜きが終われば今度は乾燥だ。そん時に役に立つのはこれだ」

 何かドロッとした物が瓶に詰まっていた


「これは?」

「スライムゼリーだ。実はこのゼリーの中にこういうのを入れると水分を奪ってくれるんだ」

「おぉ……カチカチになってる」

 薄くスティック状に切っていたサケリンクスの切り身が乾燥した状態でスライムゼリーから出てきた。見た目がゼリーなのに水分を吸収するって真逆な感じで僕だったら分からなかっただろう


「そんでコイツを燻す!」

 乾燥したサケスティックを網に乗せ、木材の破片の様な物に火を付ける。モクモクと煙が出てきた


「この煙でじっくりと燻した後、最後にまたスライムゼリーに突っ込んでしっかり乾燥させればかなり長持ちするジャーキーが出来るぞ」

「おぉ!勉強になります!」

 何気にスライムゼリーってアイテムの存在と使い方が知れたのがデカい。言われた通りに調理して行くと最終的にこんなものが完成した




『サケとば 工夫された調理法で短時間で作られたサケリンクスのジャーキー。酒のつまみとしても抜群  空腹度+15%回復 空腹度消費軽減1時間 STR+5%』


 良い物が出来た……というかやっぱりこれ鮭とばじゃないか……


「出来た!じゃあ一口……おぉ中々噛み応えがあるし、噛めば噛むほど味が出てくる!」

「中々良い出来じゃないか。流石に砂時計はあげられないがスライムゼリーなら簡単に取れるからそのゼリーはやるよ。あとハチが作ったソミュール液もな」

 そこそこ大きめの瓶に入ったソミュール液とスライムゼリーを貰った。これがあればジャーキーを作るのも楽になるかな?


「燻製機もその内作ってみるかなぁ……」

 木のチップも作らないといけないけどいつか作って何処かで燻製を作るのも良いかも


「店で飯を喰うのも良いが自分で作った保存食を喰うってのも中々オツなものだぜ?」

「この村に来る前はアユを棒に刺して焚き火で炙って食べてましたよ?」

「あぁそれも良いなぁ……」

 ワリアさんと出来上がった鮭とばやアユの話をしていたらドアがノックされた


「おーい、ひょっとしてハチも居ないか?」

「ん?この声は」

「おぉ?どうしたよ?」

 ワリアさんがドアを開けるとそこにはドナークさんが居た


「なーんか美味そうな匂いがしてきたからよぉ?」

 飯ギャングだ……


「今ハチとサケジャーキーを作ってたんだ」

「サケジャーキー!?あるのか!?」

「はぁ……ほれ」

「おぉ!おいおい、酒は無いのか?」

 サケとばを見て酒を寄越せとドナークさん。あぁドナークさんのイメージが壊れるぅ


「しゃーねぇな?ほれ!」

「良いね良いねぇ!一杯やろうぜ!」

 完全にこれから飲み会でも始まりそうだ


「あぁハチ。頼まれてた物出来たぞ!これは祝いのサケだぁ!」

 どっちの()()なのか……どっちもか。とりあえずドナークさんが頑張って作ってくれたし、飲むくらいいっか



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ