弟子に報告
「それじゃあこの用地確保用の魔石を持って行ってくれ。これに門の大きさを登録してあるから門を設置出来る所に魔石を置いてくれればそこに門を造ろう」
『用地確保用魔石 を入手しました』
『用地確保用魔石 魔石に建築物の情報が記録された立体的設計図。等倍のサイズで記録されているので実際に建築物を建てる時の目安になる』
はぇ~これは確かに便利だ。まぁ滾々の石みたいにすぐに建築物が出来る訳じゃ無いみたいだけど、ここにこういう物が出来ると目安が作れるのなら建築家みたいな人達が喜びそうだな?まぁ僕には入手経路は分からないけど
「了解です。これを設置して、勝手に建ててくれるのなら良い感じの所に設置しておきますね」
これを設置する事で空島から冥界へのアクセスが良くなるのなら冥界や地獄に用事が出来た時に行きやすくなる。まぁあんまりそういう用事が出来るのは好ましくないのかもしれないけど……
「よし、もうそろそろ良いか?」
「はい、現世に帰ります。僕も色々やるべき事もあるので」
イベントも終わったし、そろそろ次の街を目指してみるのも頃合いかもしれない。フォーシアスで立ち止まるのは流石に勇者軍の人達に見つかって面倒な事になりそうなのは目に見えている。イベント終わりは隠れて次の街に進むのは恒例行事になるのかなぁ……
「よし!門の事は頼んだぞ!」
「任されましたー!」
敬礼をして死神さんに挨拶を終えたら現世に戻ってきた。うん、体に異常は無い。新しく装備した呪博徒の耳飾りの呪いの効果も残念ながら僕には攻撃魔法が無いのでデメリットは無いに等しい。ここまで来たらむしろ祝福と言っても良いんじゃ無いだろうか?
「さてと……それじゃあ魔石を設置してから一回弟子に師匠の頑張りを見せてこようかな?」
先に進むのは必要な事だけど、休んだり、多少戻ったり、寄り道する事だって僕にとっては重要だ。勿論弟子の様子を確認したり、呪具作りをやってやったぞと自慢する事だって重要だ
「おーい、モニクー」
「はひゃ!?え?師匠?もう帰って来たんですか!?」
「うん……頑張ったんだけどね……」
あえて残念そうに言う。さて、モニクはどう来るかな?
「やっぱり師匠でも無理な事があったんですね……でも、生きてて良かった……」
「モニクに貰った分の1つしか作れなかったよ……」
「うんうん、1つしか……へ?」
「ほら、見てよ。モニクに貰ったブラックイヤーカフが呪博徒の耳飾りって奴になっちゃったよ。いやぁ地獄も意外と凄い場所だったなぁ?」
「本当に呪具が出来てるぅ!」
腰を抜かすモニク。そんなに?
「どうだモニク!自分で決めつけなければ出来ない事なんてそんなに無いぞ!」
「いやいやいや……そんな心の持ちよう1つで出来るレベルの事じゃないですよそれ!?それに地獄に行ってきたって……悪魔と会わなかったんですか!?」
「悪魔とは会ったね。腕試ししようって言うから腕試ししたら何か手伝って欲しい事があったら呼びだせば手伝ってやるぜって言ってくれたよ」
「悪魔の呼び出し許可を貰うとか……どんな腕試ししたんですか」
「聞かない方が良いんじゃないかなぁ」
まぁやった事と言えば悪魔を【アビスフォーム】で脅しただけだから出来れば聞かないで欲しい
「遂に師匠が地獄まで進出したなんて……」
「モニクの為に頑張ったのになー」
嘘では無い。ニャラ様の要望とモニクに師匠として見本を見せるという2つを同時に完了する素晴らしい計画だ。モニクの為に頑張ったという言葉に嘘はない
「まさか、本当に出来るとは……自分で限界を作ったらダメなんですね」
「そうだよ。自分で限界を作って、それ以上は無理だって決めつける。それが当たり前って常識って言葉で自分を守る。そうしたらいつまで経っても成長なんて出来ないって僕は思うな」
常識って言葉は確かに物事の目安としては良い言葉だけど、個人の技量や努力の話になったら常識という言葉はただの邪魔でしかない。自分に出来ない事を相手がやっていたらそれは常識外れだと決めつける。それって自分の可能性を閉ざしているだけとしか思えない。勝ちたい、成長したいと思うのなら常識なんて破壊するくらいの気持ちが無きゃダメだろう
「やっぱり師匠は目標にするには一番良い人ですね。そういう気持ちってとても大事な気がします」
「まぁ、今回は言うだけじゃなくて実際にやってみせる事が出来たと思うんだけど……どうかな?」
自分で限界を作らない。やれば出来るって所をモニクに見せられたと思う。師匠ってこんな感じで良いのか分からないけど、結構頑張った方だと思う
「師匠がここまで頑張ってくれたんです!ボクも悪魔の常識を破壊する存在に……叛逆の悪魔に絶対になる!なってみせます!」
「素晴らしい!じゃあそんなモニクにこれ1枚あげる」
モニクに1枚地獄ッキーを差し出す
「これは、地獄ッキー!本当に地獄に行ったんですね……これ地獄じゃ無きゃほぼ絶対に入手出来ない代物ですよ……流石にこれは食べてないですよね?」
「これは流石に食べてないね。肺を焼かれるとか流石に味が気になる以前の問題だから」
限界を作らないとは言ったばかりだけど、流石に食べたら肺が焼かれると分かってるのに食べるのはリスキー過ぎて手を出していない
「師匠ならてっきり食べても問題ないくらい悪魔的なんですけどね……」
「おやおや~?デコピン連打を喰らいたい弟子が何処かに居るみたいですねぇ?」
「あっ!サクサクしてて美味しいこの地獄ッキー!いやーこんなお土産を持ってきてくれる師匠が悪魔だなんてそんな事……」
フォローが下手なら最初からフォローする必要が無いように言葉に気を付けなよ……