直通エレベーター
「ん?お前さんは……」
「あ、イケメンの死神さんだ」
なんとビックリ、僕を引き込んだ死神さんはあのイケメンの死神さんだった。これは都合が良い
「お久しぶりです。ちょっとしたお願いがあるんですがよろしいですか」
「何を頼みてぇんだ?」
「地獄まで行きたいんですが、あの亡者達が登ってくる場所から降りたら地獄まで行けますかね?」
地獄の存在を知ったのは確かこのイケメンの死神さんの仕事を手伝った時に地獄から登ってくる亡者を地獄に帰す仕事の手伝いをした時だ。だからあの亡者達が登ってきた所を逆に降りたらそのまま地獄まで降りていく事が出来るのではないかと考えた
「おいおい、何もしてないのにわざわざ自分から地獄に行くなんて随分なもの好きだな……」
「まぁ否定はしませんが、どうしてもやりたい事があるので地獄に行きたいんです。あそこから降りれば地獄まで辿り着けますか?」
「どうしても行きたいって言うならしょうがねぇから連れて行ってやるよ。お前さんには借りもあるしな!」
「何か貸しにするような事ありましたっけ?」
「まぁお前さんに出会った亡者が地獄でお前さんの噂を広めたせいでとんでもなく怖ぇ死神が居るって話になって亡者が登って来る回数が減ったんだよ。それのお陰で俺らもパトロール以外の仕事に着手出来る様になってな?まぁ休憩する時間も増えたし、お前さんには感謝してるんだ」
そういえば死神の仕事は色々ある中でパトロールをしてたんだったな。それが減ったなら確かに借りを感じてもおかしくない
「死神の仕事も大変そうですからねぇ……仕事を減らせたのなら良かったです。それで、地獄ってどう行くんです?」
「どう行くかは行ってからのお楽しみって奴だな!」
お楽しみですか……どこに連れて行かれるんだろう
「こいつは本来、死神専用の昇降機なんだが、お前さんも代行だし特別に乗せてやろう。これで地獄まで送ってやる」
「後半だけ聞いたら勘違いしそうですね。これで地獄まで行けるんですね」
地獄まで送ってやるという部分だけ聞いたらどんな所に連れて行かれるんだと思ったけど、連れてこられたのは冥界の中央部。その建物の1つに入ると中に浮いている逆さになった円錐状の足場?みたいな物が浮いていた。これが昇降機か
「そうそう使う事は無いんだがな。まぁ地獄の奴と話をする為にはコイツに乗るのが一番だ。乗った乗った!」
「はい!」
一応死神さんが直々に送ってくれるのだから何かが手出しをしてくるとかは無いだろう。でも悪魔と戦った経験と言えばモニクと戦った1回だけだけど……あの感じで戦闘するなら複数人相手だと厳しいかな。あの時は喰らわなかったけど、地獄の悪魔達だとモニクよりも強力かもしれない。一応いつでも戦闘出来る体勢にはなっておこう
「これ、乗ってる最中に攻撃されたりとか無いですよね?」
「まぁ命知らずの悪魔なら攻撃してくるんじゃないか。勿論攻撃して来たら反撃して良いぞ」
「oh……」
安全は保証されてないのかい!これ大丈夫なんだろうか……
「んじゃ出発だ」
「おぉ……」
最初はゆっくりと動き出した逆円錐の足場が徐々に加速して下に向かって進んで行く。そのまま数十秒も経たないうちに、冥界の地面を抜けたのか全体的に赤黒い感じの景色が辺り一面に広がった
「ここが地獄だ。生前に罪を背負った者や、冥界で迷惑を掛けた奴らの反省の場ぐらいに考えておけばいい。下手に探索しようと遠くまで行っちまったら冥界に帰るのがしんどくなるからあんまり遠くまで行くなよ?」
もしかしてエレベーターに乗れなかったら冥界登りを自力でしなければならないのか……というか冥界に伸びる柱みたいな岩だけじゃなく空中に浮いた岩とかも見るに、ただロッククライミングするだけじゃなくて空中に浮く岩を飛び移りながら上を目指すルートもあるみたいだ……一応確認しているだけだぞ
「気を付けます。地獄を案内してくれる人とか居ないかな……」
地獄を案内してくれる人が居れば呪いのアイテムを作る為の負の感情の溜まり場まですぐ行けるんだろうけど……流石にそこまで都合よくは行かないか
「地獄の案内か……悪魔と取り引きをするのは危険だからおすすめはしないぞ」
「死神さんでもやっぱり地獄についてはそこまで分からない感じですか」
「こっちは俺達の代わりに上位の悪魔達が管理してるからな。前回来た時と多少変わっている事もある。そういうのを確認するのにもたまに来るんだ」
なるほど、このエレベーターはその確認する為の物か。それならあまり使わないのも納得出来る
「んー、どうしよう。案内無しは流石にマズい所に入っちゃう可能性も高いな……でもそういう所じゃないと負の感情の溜まり場は無いかなぁ」
「おいおい、随分危険な所に行こうとする気だな?それならまだ案内出来るが、あの周辺に居る悪魔は結構危険な奴らが多いぞ」
やっぱり危険なんだな……この様子だと死神さんも付いて来てくれると考えても良いんだろうか
「じゃあ行くか」
「はい、お願いします」
死神さんに案内してもらって負の感情の溜まり場まで行く事にする。さぁ、どうなるかな