自作?
「さて、それじゃあ僕はそろそろ行くね。トーマ君の新しい戦闘スタイルが完成するのを期待してるよ」
「はい!必ずモノにしてみせます!」
眩しい笑顔だ。トーマ君がどういう成長をするかも楽しみだけど、僕もトーマ君に置いて行かれないように成長しないと……おっとと、すっかりコーグン達の事を忘れていた。そういえば焚き火をしてた時も全く反応が無かったから忘れていたけど、そっとボックスを開けてみたら皆グッスリ寝ている。こりゃあ反応が無い訳だ。無理に起こすより、こっそり城に戻してあげた方が良いか。それから出発するかな?
「よし、行くか」
最初は焚き火でまったりしてたのにトーマ君の戦闘スタイル研究をしていたらもう朝日が見える……空島だから朝が早いのか。まぁ、色々考えてみたけどトーマ君の真似は僕には出来ない。でも逆に他の人が僕の真似を出来ない物と言えば……多分アレが筆頭なんじゃ無いかな?
「起きてるかなぁ?」
夜明け直後に来てみたけどはたして対応してくれるかどうか……僕が呪いのアイテムに関する事で知っているのはただ一人……
「ふわぁ……お掃除しないと」
「あ、モニクおはよう」
「おはようございま……うぇ!?」
「いきなりのご挨拶だなぁ?そこまでビックリしなくても良いじゃないか」
シスター服を着て行ったから一瞬分からなかったかな?
「し、師匠!?どうしたんですかこんな朝早くに……」
「ちょっと聞きたい事……というか協力して欲しい事があってね?モニクにしか頼めない事なんだけど……」
「師匠がボクを頼って……?何を頼みたいんでしょうか!」
やっぱりモニクは頼られると断れない……というか頼られて嬉しいんだろうなぁ
「呪いのアイテムに関しての事なんだけど……」
「まだ解呪は出来ませんよ?」
「あぁいや、解呪じゃなくて呪いのアイテムを作るか、もしくは作り方を教えて欲しいなぁって」
「うえぇ!?新しい呪いのアイテムを作りたいんですか!?」
まぁそう言いたくなるのも分かる。好き好んで呪いのアイテムを装備する人はまず居ないし、モニクは叛逆の悪魔になる為に教会で頑張っている。そんな中、呪いのアイテムを作るか、作り方を教えて欲しいっていうのは結構複雑な心境になるだろう
「叛逆の悪魔的にはここで呪いのアイテムを新しく作るのは少し……いやでも……」
もの凄く葛藤している。教会でシスターをしているのに呪いのアイテムを作って良いものか、でも頼まれている(自分にしか出来ない)となれば作る事が良い事なのか、そこで迷っているんだろう
「もちろんモニクに強制はしないよ。そんな事したらせっかくのモニクの今までの頑張りを僕が全部壊しちゃう事になるからね。だからモニクがやらなくても良いように、僕に作り方を教えてくれるのなら自分で作ってみるからさ」
だからモニクに明確な道を示す。モニクが作るのが問題なら、モニクがやらなければ問題無いだろう
「師匠……ボクが叛逆の悪魔になろうとしているように師匠はドンドン人ならざる者になろうとしてませんか?」
「おやぁ?デコピンがご所望かなぁ?」
一応化け物のふりをした経験とかはあるけど、そんな存在になろうとはしてない……つもりだ
「師匠のデコピンは手加減されてるから幾らでも喰らいます。でも、師匠がこのまま行ってはいけない、道に行ってしまって、優しい師匠じゃなくなってしまうかもしれない……それが嫌なんです」
なんだか急にしんみりした雰囲気になった。モニクとしては僕が呪いのアイテムを作るのがあまり良くないと感じているのかな?
「そんなに……僕が呪いのアイテムを作るのは良くない事なのかな?」
今ここでへらへらした態度は良くないだろう。真剣に話を聞こう
「呪いのアイテムの製作は精神に多大な影響があります。悪魔で無ければ耐えられないでしょう。前に人間が悪魔の真似事をして呪いのアイテムを作ろうとして狂ってしまった。師匠が狂ってしまったら誰にも止める事は出来ない……そんな事になったらボクは!」
狂ってしまった人間を見て僕がそうなるかもしれないから教える事を渋ったのだろう。これで仮に僕が狂ってしまったら、その責任はモニクにある事になってしまう
「叛逆の悪魔になるのは諦めます。師匠の為に呪いのアイテムを作りますよ」
「それは違うな」
「え?」
モニクが叛逆の悪魔を諦める……それは今までの努力の否定だ。そんな事、僕がしていいハズが無い
「モニクが叛逆の悪魔になるって事は不可能を可能にする事だと思うんだよ。そんな事出来るはずがないじゃなくて、自分が最初の成功例になってみせる位の気持ちが無いとダメかな。モニクの師匠として僕は不可能を可能にする。人間が呪いのアイテムを作ったら狂ってしまうのなら僕が呪いのアイテムを作っても狂わない最初の人間になってやろうじゃないか」
モニクの夢を壊すのではなく、叶えるために師匠として呪いのアイテムを作る。それを考えたら僕が呪いのアイテムを作るべきなんだ
「やっぱり師匠は凄いです……本当に出来そうな気がしてきます。でも……」
「ていっ」
「いたたっ!」
モニクに軽めのデコピンを入れる
「僕もさっき友達に新しい可能性を見せてもらったんだけどさ?やっぱり最初の一歩を踏み出す勇気を持たないと何も出来ないよ?」
「……やっぱり師匠をまともな人間って考える方が間違ってますね!良いでしょう!呪いのアイテムの作り方をお教えしましょう!」
「ていっ!」
「ちょ!?さっきより力が入ってませんか!?」
「いやいや、そんな事無いよ?まともな人間じゃないらしいから手加減を弱めても良いかなって」
「謝ります!謝りますからぁ!だからその両手でデコピンの構えをするの止めてくださいー!」
モニクを弄るのは楽しいなぁ?




