星座魔法
「あれ?ここ何処だ?」
確か原っぱで寝転がっていたはずなのにいつの間にか全体的に暗い部屋に飛ばされた。ゲヘちゃんも居ない……うわっ、パンドーラも無いぞ?仲間は呼び出せない状況か
「うーん、とりあえず前に道があるし進んでみるか」
部屋から出る道があったから出てみよう。窓も何も無いからここが何処で、なんなのか全く分からないのでまずは情報を集める為にも行動しよう
「うーん、いきなり分かれ道か……これはもしかして迷路かな?」
見えてる範囲だと分かれた道の先もまた分かれ道になっているし、これはマッピングした方が良さそうだな?
「とりあえず右手法で進むか」
有難いことに通路は一定の間隔で切れ目の様な物が有ったのでマッピング作業をするのに凄く助かった。この迷路……何処が出口なんだろうな?
「おっとぉ……これは……」
右手法で壁に右手をつけて歩いたけど、見た事ある所に戻って来てしまった。僕が最初に居た部屋だなこれ?
「こっち側は内側だったか」
右手法で脱出が出来るのは入口と出口が外側の壁にある場合だ。多分だけどこの迷路……入口と出口が外側の壁と隣接してない可能性が高い。じゃ無ければ僕が右手を壁に触れた状態で出口に辿り着かずに僕の居た(多分)入口に戻って来る事は無いだろう。反対の壁伝いで行くべきだったかぁ……
「ただこの様子だと、出口も別の内側にありそうだな?」
迷路が簡単に突破されないように右手法じゃ突破出来ない様にされている可能性が高い。マッピングは丁寧にするべきだろう。どんな場所か分からないここではいつ敵が出てきてもおかしくない。今まではラッキー、もしくは飛ばされた場所の近くだったからまだセーフティエリアだった可能性も充分に考えられる。となるとこれからはより慎重に行くべきだろう
「敵が出てくるのか、それとも出てこないのか……どっちなんだい!」
慎重に行くとは言ったけど、まず敵が音で寄ってくるのかどうかを確認してみる。敵が来るようならマッピングが済んでる場所を回って逃走するのもアリだろう
「来ないみたいだね?」
大声を出してみたけど敵の類がやって来る事は無い。だとすると敵が居た場合は接近したら反応する系かな?
「出来れば敵が居ない事を祈ってマッピングしますか!」
マッピング作業の邪魔をされない事を祈りながら出口を探す。本当にここは何処なんだろう?
「敵は出てこなかったけど……この天秤がやっぱり怪しいな?」
マッピングが完了して敵が居ない事、出口が無い事を確認し、迷路の奥に広くなった部屋と大きな天秤を発見した
「これ以外何も無かったって事はこれがとりあえずゴールって事なんだろうか……」
マッピングが終わったけど、敵も出てこないし、他に宝箱とかアイテムがあった訳でも無いので、ここが目的地で間違いないと思う。この天秤に何かする事で帰れるんだろうか?
「うーむ……重りとかも無いから何かを量るって訳でも無いのかな?」
天秤と言えば重さを量る物だけど、天秤に乗せる様な重りは存在しない。当然迷路の中にもそんな物は無かった
「そこの者」
「おっ?」
声が何処からか聞こえる。とりあえず何もしないで聞いてみよう
「我がリブラの試験を受けるのか」
「リブラの試験?」
「何?知らずに来たのか?」
僕としては星空を眺めてただけだから急に試験とか言われても困るけど……
「良く分からないですけど、何をすれば良いんです?」
とりあえず受かるか落ちるかしないと帰れないだろうし、やるだけやってみよう
「貴様の存在としての格を量らせてもらおう。右の皿に乗るがよい」
この大きな天秤の右の皿に乗れって事か。左側には何も持ってないけど……と思ってたら何かオーラが左の皿の上に現れた。もしかしてリブラの存在が左の皿の上に居るんだろうか?
「格を量る……要するに僕を認めさせれば良いのか」
リブラと僕の格を量って僕の方が重ければ僕の勝ち、リブラの方が重ければ僕の負け。そういう試験なのか
「じゃあ勝負ですね。よっと!」
右の皿に飛び乗る。本当はこういうの良くないけど、まぁ左の皿に乗ってるオーラも中々の物だからビクともしないだろう
「うわっ!?」
「何ィ!?」
僕が天秤の右の皿に乗った途端、ガコンッと勢いよく天秤が右に傾いた。待ってくれ、僕そこまで重くないぞ!?
「馬鹿な……これほどとは!?」
「えっ……」
天秤が一気に右に傾いて、そのまま皿が地面を破壊した。すると無重力のような感覚が体を包む
「認めるしかないだろう。我、リブラは貴様に敗北した。故に我が力は貴様の物だ」
『【リブラ】 の性能が向上しました』
魔法強化イベだったのかこれ?やった事と言えば重さ比べしただけだぞ?
「あの!」
多分このままだと寝転がっていたあの原っぱに戻される。その前に聞きたい事がある
「他にもこういう試験……というか魔法があるんですね?」
「何を言っているのか意味が分からないが、星座魔法は12種ある。【リブラ】はその内の1つだ。覚えられる職はかなり少ないが、経験を積んで覚えたのなら他の物もその内覚えるだろう。もう時間だ。さらばだ」
「うおっ眩しっ!」
その声を最後に辺り一帯がかなり眩しく光る。流石に目を閉じないと目がやられそうだ
「あれ?帰ってきた?」
目を開けると原っぱに寝転がっていた。ゲヘちゃんも居る……空島に戻ってきたみたいだな?