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517/2016

魔動工具

「カモンゲヘちゃん!」

「オヨビデショウカ?」

 パンドーラを開き、ミニゲヘちゃんを呼び出す


「ゲヘちゃん?確かあの時指先をオーブンみたいにしてピザを作ったよね?」

「ハイ?タシカニヤリマシタガ……ソレガナニカ?」

 イベントの時、ゲヘちゃんが指先を影から出してオーブンみたいにして大量のピザを焼いた。それのお陰で全員分の料理を用意するのが間に合ったからツッコまなかったけど、ゲヘちゃん……なんで火を出せたんだ?


「ゲヘちゃん?ゲヘちゃんって炎を使う事が出来るの?」

「アレ?イッテマセンデシタッケ?」

「多分聞いてないと思うけど……」

「ワタシハ、ゲヘナ・マキア。ジゴクニユライスルチカラヲモチ、ヤキツクスホノオモツカエマス」

 ゲヘナ・マキア……ゲヘナは多分地獄の意味を持つ言葉。マキアは多分デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)のマキナ部分……機械。だからゲヘちゃんは地獄の機械という事になって、ゲヘナの火とかそういう所から火が使えるという事なんだろう。ゲヘちゃんの黒い煤まみれの金属のような体はマキナの機械とゲヘナの火が組み合わさり、煤けた金属みたいになってしまっていると考えればしっくり来るかも?


「カラダトホノオガノコッテイレバ、ソザイヲアツメテ、サイセイデキマス。ダカラアノトキモ、アタマヲフキトバサレテモ、ジツハイキノコッテイマシタ。アノトキハカラダトホノオノイチブヲ、シロニムカッテシャシュツシ、ノコッタカラダヲアツメルノデ、ジカンガカカッテイマシタ」

 ゲヘちゃんは体と炎が残っていれば再生が可能……あの地面から岩とかを吸収して巨大化したのはその再生能力を利用した物だった訳だ。でもこの理論ならゲヘちゃんが大量に分裂する事も可能なのでは?


「ゲヘちゃん?それってゲヘちゃんが分裂する事にならない?」

「ドノホノオニジブンノイシキヲウツスカエラベマス」

 なるほど、分裂するんじゃなくて飛び散ったならそのどれかに移動が出来るって感じなのか。イベントの時はあまりゲヘちゃんの能力を隅々まで考えていなかったが、能力を理解する事で新しい力の使い方を見つける事が出来る……やっぱり色々考えるのは面白いな!


「オッケー。ゲヘちゃんが緊急離脱とか可能なのは分かった。で、物は相談なんだけど、ゲヘちゃん?あの時みたいに指先オーブンの火力を更に上げて鉄鉱石を融かすとか出来ないかな?」

「ソレナラカノウデス」

 ゲヘちゃんのお陰で製鉄が可能になったみたいだ。これはかなり進んだぞ?


「ナニカ、カタハ、アリマスカ?」

 型……ピンを作ると考えるのなら必要なのは


「ごめん、型は無いんだけど棒状にしたいんだ」

「ナルホド……ワカリマシタ!」

 魔法体でも炎を使えるみたいで体の形状を少し変えてミニゲヘちゃんのお腹の部分にオーブン……いや、この場合は炉かな?とにかく扉の様な物が出来た。そして僕が取ってきた鉄鉱石を飲み込み、ちょっと待っているとチンッと電子レンジの様な音が鳴り、ゲヘちゃんのお腹の扉がオープンする


「コレデドウデショウ?」

「おぉ、アツアツ……」

 まだ真っ赤な鉄がゲヘちゃんのお腹からにゅーっと出てきた。これまだ熱すぎて触れないな?


「出来立ての鉄……とりあえず何かで冷まさないと触れないな……でもありがとうゲヘちゃん!お陰で何とかなりそうだよ」

 アツアツで触れないけどこれで僕にも鉄を入手する手段が手に入った訳だ。鉄鉱石10個で直径2~3cm、長さ50cmの棒が出来たけど……やっぱり損失がデカいと言うべきか、消費した鉄鉱石の数の割には出来た鉄が少ないかもしれない。これはもしかしてゲヘちゃんの火力が高過ぎるのか、もしかして鉄鉱石だけじゃ駄目なのかもしれないな……現実に戻ったらちょっと調べてみようかな?


「ゲヘちゃん?これ、今の内にもう少し細く伸ばせるかな?」

 赤熱した鉄ならまだ加工は容易かもしれない。ハンマーで叩けば伸ばせるかもしれないけど、それだと平らに広がってしまうだろうし、ここはゲヘちゃんが出来るのであれば圧延とか出来るかな?


「ワカリマシタ。モウスコシ、ホソナガクシマス」

 そう言ってお腹から取り出したアツアツの鉄の棒をもう一度ゲヘちゃんが口に入れると細く長くなった鉄の棒がまたお腹の扉から出てきた。流石にこの細さで真っ直ぐを維持するのは厳しいかな?


「おぉ、良い感じ!それじゃああとは冷めるまでとりあえず放置して、出来上がったらコーグン達の出番だね」

 本当なら油に突っ込んだりして冷ますべきなんだろうけど、残念ながら今は用意して無い。触れるくらいまで冷えたら工具を使ってピンの製作をしてみようか


「「「「「分かったー!」」」」」

 保育園児と散歩してるみたいだな。横断歩道が有ったら手を挙げないと……




「もう触れそうだ。よし」

 そもそもコーグン達を使うってどうするのか良く分かってなかった。コーグン達がやってくれるのか、僕がやるのか、まずはそこだ


「えっと……」

 コーグン・ボックスを開くと、小さなウィンドウが出て、色んな工具の名前が書かれていた。ここから選べばいいのかな?


「ファ!?」

 ウィンドウを見て、ハンマー、やドライバーの簡単な工具の名前が目に入ったけど、それよりなにより気になってしまったディスクグラインダー。これ、電動工具じゃ無いの?


「なるほど、魔動工具って訳か」

 ウィンドウにあったディスクグラインダーの文字をタップするとコーグンの1人がボックスから飛び出し、僕の掌に乗った。そしてその姿が工具に変わったのだ。グラインダーにスイッチがあったから押してみたら僕のMPが少し減ったから電動……魔動工具はMPを消費して使える物なんだろう。これはコーグン達のお陰で鉄の棒を綺麗に切断出来るぞ?



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― 新着の感想 ―
[一言] >「ファ!?」 悔しがったり、驚いたり、最近のハチ君は表情が豊かになったな~ >ウィンドウを見て、ハンマー、やドライバーの簡単な工具の名前が目に入ったけど、それよりなにより気になってしま…
[一言] (圭)<工具と聞いて
[一言] 冥界に深淵に地獄……ハチ君の行動範囲と交友関係が深すぎる
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