工具群
「さて、それじゃあ誰か居るかな?」
眷属部屋に入り、中を確認してみる。やっぱりもう外が安全になったからか、眷属部屋に眷属はほとんど残っていなかった
「やっぱりそんなに残っていないか……」
本当に暗闇とかが好きな奴とかじゃないとここに残る理由が無いか
「でも一応オーラは感じるんだよな」
だが、ほとんど残っていないだけで完全に居ない訳では無い。はたしてこの状況で残っている眷属にどんなのが居るのか……
「ここかな?」
部屋の隅にオーラの集まりを感じる。小さい存在が沢山居るみたいだ
「「「「「見つかっちゃった!」」」」」
おぉ、なんか小人っぽいのがいっぱい居るぞ?
「君達は眷属……で良いのかな?」
とりあえず目線を可能な限り合わせる為にしゃがむ
「「「「「あれ?新しい主様?」」」」」
近くで良く見てみるとその小人っぽい者達は全員ハンマーとかペンチとかドライバーのような工具を全員がそれぞれ持っている。何と言うか違和感が凄い。この魔法だスキルだのファンタジー世界でペンチとかドライバーを見る事なんて無いと思っていた
「そうなるのかな?」
一応バルミュラ様からこの島を託されたし、新しい主になるのかな?
「とりあえず君達は……」
「「「「「コーグン!」」」」」
コーグン……工具の群って事かな?
「じゃあコーグン達はどうしてこんな所に居るの?外に出ないの?」
見た感じ工具を扱えるのであれば、外でも大活躍するハズだ。それなのにこんな所に居るのは勿体無い
「「「「「お外怖い!」」」」」
外が怖くてここに残っていたのか
「お外の何が怖い?」
「「「「「広い所!」」」」」
確かにコーグン達は小さいから100mを移動するだけでも大変かもしれない。この部屋の外に向かうだけでも一苦労だろう。眷属達の食事は魔力で事足りるから部屋の外に出る必要も無いし、危険が無いならここに留まった方が良いと考えたんだろう
「そっかー広いのは怖いかぁ……」
それなら連れ出すのも可哀想だな……でもコーグン達の力を借りれるのならカンテレを作るのに一役買ってくれるかもしれない。何かコーグン達を連れ出せるようなモノとか無いだろうか?
「何かコーグン達の乗り物にでもなるようなモノがあれば外も怖くないかな?僕が運ぶって事で」
1人(集団だけど)が怖いのであれば誰かが付き添う事でその怖さも軽減する事が出来るだろう
「「「「「じゃあこれ!」」」」」
そういうとコーグン達が固まっていた隅から退ける。するとそこには金属製の長方形の箱……いやこれ工具箱だよね?
「これは?」
「「「「「おうち!」」」」」
このどう見ても工具箱な箱はコーグン達の家らしい。家と一緒なら不安も減るんじゃないだろうか?
「じゃあおうちを僕が運ぶなら一緒に外にも行けそうかな?」
「「「「「それなら行けそう!」」」」」
『おうち』を一緒に持っていく事がコーグン達を連れて行く条件なのかな?
『コーグン・ボックス を入手』
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コーグン・ボックス
レアリティ ユニーク
耐久値 破壊不可
特殊効果 コーグンズ・ツール(様々な工具を使用する事が出来る)インベントリ収納不可(このアイテムはインベントリに収納する事は出来ない)
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「おうち……中にコーグン達が入るからインベントリには仕舞えないのかな?だとしたら下手に持ち歩くよりはこの島オンリーでの使用とかにしたほうが良さそうだ」
そもそもインベントリに仕舞えないのであれば戦闘が起こるたびにボックスを置いて戦闘をする事になる。流石にコーグン達の家を投げ捨てて戦闘ないしは逃走なんて僕には出来ない
「じゃあコーグン達。ちょっと力を貸してもらえるかな?」
「「「「「いいよー!」」」」」
工具の妖精?達が協力してくれるならピンの自作も出来るかもしれない。あとは素材だけど……
「鉱山までひとっ走りするか。いや、ここはひと滑りかな?」
走って行っても良いかもしれないけど、コーグン達の事を考えたら走るより紫電ボードで鉱山まで滑って行った方が良いのかもしれない
「よし、それじゃあ行こうか」
コーグン・ボックス……もとい工具箱を持って鉱山に向かう。おかしいな?今日はまったりするって決めてたはずなのにやっぱり忙しなく動く事になってる……
「うーん、メッチャ見られたな……やっぱり街の近辺で使用するのは良くなかったか」
紫電ボードで移動した時に街の近くで使ったので結構な人達に見られた。詳細を聞かれても何も答えないようにしよう
「とにかくここで鉄を入手しよう」
まずは鉄鉱石を入手する必要がある。鉄があればピンの材料になるだろう
「さぁ掘るぞぉ!」
気合いを入れているけど、ピンの量を考えると実際必要な鉄の量はめちゃめちゃ少ないだろう
「鉄鉱石は10個取れたけど……多分ピンに使うならこれ以上は必要無いよな?」
ただ問題は鉄鉱石は取れたけど、これを鉄にしなきゃいけないって事だ
溶鉱炉なんてそんなものすぐに用意なんて……いや待てよ?あの時僕は確か……