ゆったりフィッシング
「さて、それじゃあまずは川に行くか」
露店通りの喧騒も良いけど、川でゆったり釣りでもしよう。夜食べる分の魚があれば良いし、正直取れなくてもまだ一応お肉もあるから焚き火で焼く分の食べ物はある
「おい、何処か行くみたいだぞ?」
「どうする?」
「追いかけた方が良いか?」
なんか追いかけてくる気満々だな?
「おっと、流石にこれ以上は無遠慮と言う物だぞ?」
流石ハスバさん。こういう時に間に入ってくれるのはイケメンポイント高いなぁ?恰好は論外だけど
「君達だってやりたい事を邪魔されたらムカつくだろう?レベル上げしてる最中にメッセージ連打とかされたいかい?」
「「「うぐっ……」」」
それされたら僕もキレる自信あるなぁ……別に緊急でも何でもない「あ」とか「え」とかメッセージ連打されたら即ブロックだ
「流石にこれ以上は失礼になりますね。これ以上の詮索は辞めましょう。我々もゲーマーである前に大人です」
タナカムさんが話の分かる人で良かった。釣りをするのに後ろから見られてあーだこーだ言われるのはゆったりしたい今の僕の気持ちに反しているからここで退いてくれないと困った事になる所だった。今居る勇者軍の中だったらタナカムさんが一番分かり合えるかな?まぁ自分から声を掛けるつもりは無いけど……
「この川の始まりと終わりは空島の枠でぶった切られている感じなのに流れがあるのも不思議だなぁ……」
箱庭空間みたいな空島の川の不思議な流れを見ながらも釣りをする。今は難しい事を考えずにただゆったりと流れる時間の中で釣りを楽しもう
「ふぅ……やっと落ち着けるなぁ」
戦争イベントにニャラ様のお使いイベントと立て続けに来てたから流石にゆっくりしたい。別にすぐ釣れなくても全然構わないぞ?
「ありゃ?すぐ釣れちゃうな……DEXが高いせいかな?」
まったり釣りをしようと思ったけどすぐに釣れてしまった。装備の類を一度外して、シスター服を着る。これならDEXが上がる事も無いし問題無いだろう
「ついでにもっと下げておくか【リブラ XtoM】」
糸を川に垂らした瞬間の値が使われるのか、リアルタイムで釣れやすさが変わるのか分からないけどこれならDEXの値も低いし、魚がヒットするまで時間はゆっくり取れるだろう
「そうそう、こういうスローライフな感じも良いよなぁ」
ゆったりした時間の流れに思わず言葉が漏れる。今までのイベントの様な激しい戦闘も良いけどゆったりした時間を過ごすのも良い。今度この島の一角で畑を作るとかも良いかもなぁ……
「川のせせらぎにそよ風……本当にゆったりした良い時間だ」
現実じゃあこういう経験が出来る場所も少ないしなぁ……
「夜になったら何か作ろうかな?」
焚き火をただ見ているだけでも良いかもしれないけど、やっぱりそれだけだとちょっと手持無沙汰になりそうだし、何か暇つぶし出来そうなモノを作るのも良いだろう。何が良いかな……楽器とか良さそうかな?まぁチューニングとかしっかり出来るとは限らないし、適当な物になってしまうだろうけど、自分で演奏するだけの物ならそれでも良いだろう
「そうと決まれば木材も調達しておくか」
釣りをしてある程度釣れたら木材を入手して楽器作りもやろうか。形状的に作り易そうな物と言えば……板と糸とピンで作れるカンテレとか?まぁ流石にそれで作ったとしても良い音になるかは分からないけど……
「ピンの入手が若干ネックかな?出来れば金属のピンが良いけど……」
一旦街に戻ってみるのも手かな?
「おー、中々のサイズ。もう少し釣っておこうかな?」
何か街に行ったら誰かしらついて来そうな気がする。仮にハスバさんがついて来たとしてもさっきのお礼って事で1匹くらいはご馳走するべきだろう。数匹釣って何人か増えても問題無いようにしておこうか
「このくらい釣れたら充分かな。よし、一旦戻るか」
ある程度魚は釣れたし、白ローブに着替えて街に戻る。勇者軍の人達がもう帰っていると良いんだけど……
「おや?ハチ君どうしたんだい?」
街に戻ってみたらハスバさんがまだ居た。せっかくだし聞いてみるか
「とりあえず釣りしてたんですけど、ちょっと欲しいものがあってここに来たら何かあるかなぁと」
「何を探してるんだい?」
「金属製のピンがあるとちょっと作りたいモノが作れそうだと思いまして……」
「金属製のピンか……流石にそれだけだとどういう物が欲しいか分からないな」
確かにピンと言ってもどんな形状のピンが必要か分からないよな。まぁ会話してればどんな形か何となくイメージ出来るかな?
「夜になったら焚き火を囲んで焼き魚でも食べようかと思ってたんですが、楽器とかあると良いかなと思ったんで、形状的にカンテレが作れそうかなぁと思ったんで、弦を張る為のピンが欲しかったんですよね」
「カンテレとはまた若干マイナーな楽器を……まぁ確かに形だけならギターやウクレレよりもずっと簡単だな?」
おっと、ハスバさんもカンテレを知っていたか。母さん達の職場にフィンランド出身の人が居て、その人に僕の事を話した母さんが何を言ったのか分からないけど僕宛にカンテレが届いた事があったから知っていたけど、ハスバさんも知っていたか……ちょっと悔しいな?




