メモリーシアター
『特殊クエスト 這い寄る記憶 をクリアしました』
「いやぁ、お疲れさま。まさかここまで早いとは思って無かったねぇ?」
「って事はもう何日か向こうに居る予定だったという事ですか?」
触手で空に連れ去られて深淵に戻ってきたみたいだけど、この様子を見るにもう何日か向こうで生活させる予定だったように聞こえる
「面倒になる前に戻ってこれて良かったです。僕もこっちでちょっと気になる事が起こってるみたいだったから帰りたいなぁと考えていた所だったので」
「それはもしかしてハチ君達の活躍の記憶の事かな?」
活躍の記憶……多分PVの事だよね?
「そうですね。それです」
「あぁ!あれが見たくて戻りたかったのか。それならハチ君の島で全部見られるんじゃないかな?」
やっぱりあの空島だと3つ目のPVも見られるのかな?
「本当ですか?じゃあ早速島に戻してもらえると……」
「まぁ待ちなよ。君はしっかり役目を果たした。それなのに報酬も無しじゃ次何か頼みたい事が有っても聞いてくれないだろう?」
まぁ、多分ニャラ様が何か頼みたいって場合は拒否権が無い気がするけど、それでも報酬を用意してくれるのであれば頼まれた仕事に対するモチベーションは上がる。やる気が起きなきゃクエストの成功率にも関わってくる
「てな訳で、ほい!」
『アクセサリー装備枠が1つ増えました』
「ファ!?」
何か物をくれるかと思ったらまさかのアクセサリー枠増加クエストだと……?
「良いんでしょうか?」
「良いんです!」
何かカッコつけた言い方だったけど、これは望外の報酬だ。外していたお守りも付けられるぞ?
「それと、これはお願いというより見てみたいなんだけど、もう一つくらい呪い装備付けてみてくれない?」
「え?」
「いやぁ、呪い装備を使いこなしている人間そこまで見た事無いしさぁ?もうちょっと増やしたらどうなるのか見てみたいし、たーのーむーよー。呪い装備着けて着けてー」
急に駄々っ子の様に言い出すニャラ様。そんな事言ったって呪い装備なんてそう簡単に見つかる物じゃない。ましてや僕が扱える物じゃないと確実に戦闘力が下がるというリスクがある。魔硬貨と呪枷は僕にとって呪いのデメリットがほとんど気にならない物だったから解呪せずにずっと使っているけど、これが例えばDEX50%ダウンの不器用の何とか~とかだったら間違いなく僕は使わない。そんな呪い装備をもう一つ増やすって……結構難しい事言うなぁ?
「着けてくれよーその為にアクセサリー枠増やしたんだしさぁ?」
「やっぱりかぁ……」
アクセサリー枠の増加。天衣無縫の器をレベルアップさせた時に1つ増えたけど、それ以外でアクセサリー枠が増える事なんてなかった。それを考えるとニャラ様が呪い装備用に枠をくれたんだろう。その枠に通常のアクセサリーを装備してたら怒られて枠を剥奪されるかもしれないな……
「一応探してみますが、呪いの装備がそう、簡単、に……あれ?」
魔硬貨……モニク作。呪枷……モニク作。これ、モニクに頼めばもうひとつくらい呪いの装備を作ってもらえるのでは?
「ちょっと入手出来そうな気がしてきました」
「うんうん、やっぱ君ならもっと面白い所まで行けるさ」
面白い所まで行ける……それは場所的な意味なのか、それとも別の意味なのか……
「そろそろ帰してやれ。あの島も面白い事になっているぞ?」
「おっ?ほほぉ……これはこれは、是非ともハチ君には行ってもらわないとだねぇ?」
「え?何が……ぐへぇ」
アビス様とニャラ様が多分悪い会話をして僕を深淵から弾き出した
「ちょっと雑なんだよなぁ……ぺっぺっ」
地面に投げつけられる様に深淵から弾き出されたので、土が口に入った
「おっ!指揮官!」
「指揮官!」
「どこ行ってたんですか指揮官!」
「もう皆さんの指揮官じゃないですけどね?」
とっくにイベントは終わってるし、指揮官はもう引退?したはずなんだけど皆ずっと指揮官呼びするのは慣れと言う奴だろうか?
「というか、かなり変わりましたね?1日2日程度しか経ってないはずなのに……」
城の前の通りには沢山の露店が立ち並び、消費アイテム、アクセサリー、武器、料理と色んな物が並んでいた。発展するの早過ぎでは?
「そりゃあこんな何処からもアクセスが良い場所でしかも破格の場所代。盛り上がらない訳が無いでしょ!」
「属性系の武器とか作れるし、米喰えるし、正直拠点として使いたいくらいだからなぁ……」
「クラン拠点置きたいよなぁ」
「指揮官がクラン入ってないのにクラン拠点置かせてくれとか流石にダメだろ。指揮官がクラン立てるなら話は別かもしれないけど……」
「流石にそれは許可出来ないですね……そもそもクラン内で秘密の会話とかして情報が漏れたとしても僕は責任を持てないので、そういう事を考えるとクランの拠点とかを立てるのはちょっと……」
クランは確かに便利だろう。だけどそれはクランに参加している人にとって便利であって、参加してない僕にとっては厄介事の種だ。それは回避出来るなら回避しよう
「おっ!指揮官じゃん!指揮官のPV見たよ!あれ凄かった!」
「僕のPVですか?どこで見れます?」
「それならあっちに新しく出来たメモリーシアターって所で見れるよ?」
そんな所出来たんだ……とりあえず見てみよう
僕が気にしてた僕のPV。どんな状態か確認しようじゃないか