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写本入手

 一応窓の外に居る相手を確認する。見回りの先生かもしれないし、自分で危険を防げそうにない相手ならアイツを止めなければ……


「鍵を閉め忘れなんて……」

「マジか……」

 ルクレシアさん。なんでこのタイミングで図書館に来るんだ……


「入ると同時にぶっ放してやる」

 じゃあその前にお前をぶっ潰すか


「【恐怖圧】【幻覚圧】起動」

 圧を両解放し、天井から跳び降りて写本を持っている男の頭を捕まえて地面に叩きつける。この人をクッション替わりにして足を痛めたりはしてないからすぐ動ける


「がふっ!?」

「な、なんっ!?」

「えっ、誰!?」

 突然上から人が降ってきたらそりゃあ驚く。今は追加で両圧解放してるし、恐怖と幻覚なら……狂気?両圧解放は【狂気圧】とでも言えば良いかな?それで完全にこの3人の先手を取った。いきなり上から狂気を振りまく相手が降りて来たらどうなるか


「ば、化け物ぉ!」

「うわぁぁぁ!」

「お、置いて行くなぁ!」

 図書館を飛び出していく2人と置いて行かれる1人。今の僕は相手にとってどんな姿に見えているんだろう?


「た、助けて……死にたくない、死にたくない!」

「不正は良くない。本を、返せ」

 とりあえず禁書を使用して魔戦会を勝ち抜くとか考えているのなら考えを改めるべきだろう。あとルクレシアさんに横暴な態度を取っていたからこの人はもっと真っ当なやり方という物を知っておいた方が良い。ああいう横暴がまかり通らない狂気の存在が居る事をニャラ様の代わりに教えておこう


「わ、分かった。返す!返すから!」

 後ろ手に写本を差し出してきたので、受け取る


『ナコト写本 を入手しました』

 ゲットしてしまったなぁ……多分想定されていたルートのどれでもない方法で写本を入手してしまったかも……というか僕が想定していたのは全部魔戦会が始まってからの想定だったかもしれない。魔戦会が始まる前に終わらせる事が出来たのはラッキーだ


「次やったら……」

「もうしない!図書館にも近寄らない!約束する!だから許してくれ!」

 まぁ僕が帰った後ならこの人がどうするか知らないし、約束する必要は無いんだよな


「次は無い……」

 そう言って掴んでいた頭を一度地面に叩きつけて離す。写本は既にこっちの手の中だし、必要以上に痛めつける事も無い。それにずっと【狂気圧】の効果範囲内だ


「ひええええ!!」

男としてはあんまり見せたくないだろうな。まぁ鼻っ柱をへし折るとか何とか考えたらこのくらい喰らった方が良いだろうし……

「え、ハチ……さん?」

 おっともう来てしまったか。ルクレシアさん


「申し訳ありません。僕もやらなきゃいけないことがあるので、そこを退いていただけますか。ルクレシアさん」

「何で……その手に持っている本は本来外に出てはいけない物なんです!早く戻してください!」

「僕が用のある本がコレなんですよ。これの書き直しの為に僕はここに居るんです」

 この写本の書き直しをする為には多分この図書館から脱出して外でニャラ様に書き直してもらって、それで禁書保管庫に戻す。それが必要なんだろう……


「ど、どうしてもと言うのなら私も黙って見過ごすわけには……」

「それじゃあもう遅いです」

「ひっ!?」

 杖を構えようとしたルクレシアさんにベルトパワーを使って急接近し、杖を持つ右手を掴む。突然距離を詰められて、しかも【狂気圧】を放ったままなので、足に力が入らずに地面にへたり込む。これでもう妨害する人は居ない。さっさと図書館から出て、書き直してもらおう


「この学園に来て、まず思ったのは攻撃魔法至上主義過ぎますね。魔戦会という物自体がそれを体現してます」

 やって無いけど


「攻撃方法が攻撃魔法だけで物理攻撃は禁止。攻撃魔法があればどんな相手にも勝てると思っているから他の攻撃は必要ないとでも思っているんでしょう。だけど逆です。攻撃魔法しか出来ないんじゃどんなに優秀だろうと、僕は評価しないし、されない。むしろお荷物だと思ってます」

「て、訂正してください……私達はお荷物じゃない」

 この魔法学園そのものを真っ向から批判するような内容に流石のルクレシアさんも怖いながらも反論をしてきた


「この学園で学んで、力を付けてきた。大規模魔法だって使えます……そんな私達の何処がお荷物だって言うんですか!」

 そりゃあそうだ。勉強してきた事が無駄だと言われたらそりゃあ学生は誰だってムカつく。僕だってムカつく


「攻撃魔法の力は確かに凄いと思います」

 授業を受けた時に外で攻撃魔法の授業をやっているのをチラッと見たけど、威力は確かに凄かった


「でもそれはエリアが限定された場所、人数や自分と同じくらいの力量を持ってる相手とか、整った環境下での話です。実戦で人や生き物相手に使うのにそんな隙だらけじゃ死んじゃいますよ?」

 勉強としての戦いの場ならこの学園はとてもいい場所だと思う。それこそ貴族とかが護身の為に魔法を身に付けるとかならね?でも実戦を考えたら杖を出さなきゃ魔法が使えないなら取り出すまでに矢を放たれたら?相手が攻撃魔法を無効化したら?とかを考えられていない。現にあの3人組は天井に張り付いていた僕を見つけられなかったし、ルクレシアさんも杖を構えるのが遅れたから僕に妨害されて恐怖と幻覚を喰らっている……って、あっ!そっか。パーティ戦闘で考えれば魔法使いとか完全に後衛じゃん。そりゃあ攻撃力だけ高めるのが普通か……僕の方が間違ってた奴だこれ……


「もちろん、僕はルクレシアさんを殺すつもりは毛頭ありません。ただ、この本の間違いを直して本を返却するだけです。それで僕は元の場所に帰る事が出来るので」

とりあえず散々言うだけ言って間違ってた事を今更訂正するのもアレなのでとりあえず誤魔化すしかない。ちゃんとこれで帰れるよね?


「え?」

「僕は元居た所に帰りたいだけなんですよ。なのでそこ通らせてもらいますよ?」

 ニャラ様に早い所修正してもらって、島に帰らないと……PVの件とか色々気になる物もあるし、いつまでもこんな所で足止めを喰らっている訳にはいかないんだ



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― 新着の感想 ―
[一言] 〉それこそ貴族とかが護身の為に魔法を身に付けるとかならね? いやぁ、どうかな? 護身ならむしろ多少の実戦は体験させないと「俺は護身術できるから」で根拠のない自信を持つと、護身が必要なときにポ…
[一言] まあ、不意の遭遇戦や奇襲、バックアタックとか有るから間違っては居ないけど、仕方がないとは言えボッチでいると認識が片寄ってしまうのは遺憾ともし難いね。
[一言] ルクレシアさんとのこのやり取りが原因で攻撃魔法以外が取り入れられた瞬間でもあった ぶっちゃけバインド等で術者を縛っちゃえば攻撃魔法等封じられるんじゃないかな?
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