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実質的決着

「くっ、そぉぉぉぉ!」

「ガチ宮!?」

「おっと、これはマズい」

 ジェイドさんの張ったバリアの中で自爆して勇者軍の全滅を狙ったが、ガチ宮さんが最後の根性で紫の炎を大量に出しながら鳥の様になって上昇してバリアから出る。そうなっちゃうと僕もあの自爆に巻き込まれちゃうな……じゃあアレも使っちゃうか




「ガチ宮……最後に皆の迷惑にならない様に……」

 最後の最後で味方を巻き込まない様に何とかバリアの外に抜け出したガチ宮の判断が無ければガチ宮の自爆でバリア内に居た勇者軍が全滅していた可能性があった。だが、バリアの外で自爆したお陰であの魔王にもダメージを与えられたはず……と思ってるだろうなぁ?


「全く、急に爆発するとか危ない人ですねぇ?」

「馬鹿な!?」

「自爆すると分かっていれば対処の仕方もあるんですよ」

 ガチ宮さんが上昇する所を見てすぐに【解除】をして【コンバートマジック HP】を使い、必要分のMPを消費して【決闘領域】を展開。ジェイドさんが範囲に入っていたから範囲外のガチ宮さんの自爆攻撃は【決闘領域】によって阻まれた


「さぁ、ショーも終わりが近付いてきましたよ?」

更に【パフォムエフェクター】を使用して空中に四天王の4人(全部自分)を出す


「え……アイツらって」

「嘘だろ……アイツら死んで無かったのかよ!?」

「そんな事ある訳が無い!だって俺達の目の前で死んでただろ!」

「ええ、私があの世から魂だけ連れて来たんですよ。力を借りる為にね?」

 口からでまかせパーティだ


「さぁ、ラウンド3と行きましょうか」

 現れた4体の僕を一体ずつ自分に重ねる様に動かす。これで何となく四天王の力が僕に集まったように見えるかな?


「怯むな!ここで怯んだら相手の思うツボだ!」

「もう既に思うツボなんですよ。貴方達に勝ち目はもう無いのです」

 ほぼ最初から僕の思うツボなんだよなぁ……怯んでも怯まなくてもほとんど何も変わらないだろう


「さようならなんですよ」

 集めた四天王の力を使うように、服から口を出したり、撃たれた矢などをキャッチ、格闘しながら最後の数枚残ったコインを投げたり、魔法を撃たれたら【決闘領域】より外側で【ディスラプトマイン】で消滅させたり……四天王パワーの全部を使って残りの勇者軍を削っていく。そして遂にアレを使う時が来た


「【アビスフォーム】【深淵の一撃】」

 アビス様がこっちの世界に干渉する攻撃の【深淵の一撃】。どんな攻撃になるか発動するその時まで分からないけど、威力はその時にアビス様の気持ちによって変化する。今回みたいに盛り上がる様な場面であれば……




「え、雨?」

 バリアに何かが阻まれてボツボツと水を弾く様な音がする


「なんで急に部屋の中で雨が……」

「ぐぅぅっ!?」

 他の人にはただ雨が降っている様にしか見えないが、バリアを展開しているジェイドにはただの雨では無かった。この雨の一粒一粒が大剣を振り下ろされた時の様な衝撃。それが雨の様に無数にバリアに対して叩きつけられる。一度ガチ宮が自爆した後にバリアを張り直したが、これはノータイムで更に強いバリアを再展開出来なければ全員がこのとんでもない攻撃に晒される。だが……


「も、もう持たない……!誰か一瞬で良い!上にバリアを張ってくれ!」

 他の誰かにバリアを一瞬張ってもらい、その隙に強力なバリアを……


「だからもう言ったでしょう?さようならだって」

「ぐはっ!?」

 内腿を何者かに斬られる感覚があり、それに気を取られたのが不味かった。一体どこからの攻撃かと思ったらバリアの内側の地面に黒い穴があり、そこから触手の様な物の先が鋭利な状態になっていて、それが自分の内腿を斬ったと理解した時には既に遅かった


「「「「「うぎゃあぁぁぁ!」」」」」

 たった一撃。自分の気を逸らす為だろう内腿を切り裂いたその一撃によってバリアの維持が出来なくなり、崩壊した


「強過ぎるだろ……」

 全身を貫くこの重撃雨。防御力には自信のあった自分でさえ、この攻撃に晒されたら生存はほぼ不可能だ。即死攻撃以外なら残存HPを吹き飛ばす一撃死を耐える【ド根性】が発動したとしても、雨はまだ降り止まない。HPをガリガリ削られて、一人また一人と赤ポリゴンになっていき、雨が止んだ時には耐久型のプレイヤーと勇者しか生き残っていなかった。まさに格が違う。こんな奴相手に勝てる訳が無い


「あれを喰らって生き残りましたか。強いですねぇ?まぁでもここで貴方達の冒険もおしまいです」

「そん、な……」

 いつの間にか近くまできていた魔王がくるりとその場でターンしたと思ったら、腹の部分に痛みを感じ、気が付くと自分の足が目の前に立っていた。勇者があの魔王に鋏の様にした触手で首を両断されたものがジェイドの最後に見た光景だった




「よし、勝った」

 誰も何も声を上げない静寂に包まれた玉座の間。正直【決闘領域】を思ったより有効的に使えなくてちょっと残念だ……最後はジェイドさんがギリギリ生き残っている状態にし、決闘領域内の人数を2人以上に維持する事で、勇者に【決闘領域】のバフ、デバフ効果+遺志の権利を行使して、首を切って自軍に帰る流れ星にしてあげた。実質ここでイベントの勝敗は既に決まったも同然だ。体を壊し、心を壊して最後に圧倒的なアビス様の力を見せつけた。残り時間もかなり少なくなった。だから僕は急いで外に向かう


「指揮官!次はいったい何をするおつもりで?」

「最後の演出ですよ」

「どんな演出ですか?」

「勇者軍の勝利って奴の演出ですよ」

 イベントの勝敗は既に決まっている。だけど、ここから先は勇者軍を騙してより勝ちを確実な物にするグランドフィナーレに向けた時間だ


「最後まで楽しませてこそのエンターテインメント。僕達のショーで途中退出はさせませんよ」



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― 新着の感想 ―
[一言] 〉僕達のショーで途中退出はさせませんよ 戦争が何時の間にかサーカスか劇場になっていたwww
[一言] 一応全力応戦したけど、ハチ君まだまだ手札残っているよな(アイテムとか)
[一言] ふと、四天王のくだりで、 もし、四天王の力の一部を借りる際に、一部装備が変更されるという設定があるとしたら (NG集風に) 「あっ! 間違えた!」と、ハスバさんの力を合成して、 スク水を…
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